マンションや共同住宅での暮らしというと「ご近所付き合いが煩わしい」と感じる方が多いようです。しかし昨今では、住人の高齢化や震災などの影響で、コミュニティの大切さが見直されています。共同生活の中で挨拶が気持ちよく交わされる関係。そして、いざというときに頼れる専門家がいる。そんな新しい暮らしのかたちが求められています。

分譲マンションの役員(理事・監事)のなり手不足の対処法

分譲マンションでは、居住者の高齢化や、無関心層の増加などにより、役員(理事・監事)の「なり手不足」が社会問題化しています。
実際に理事のなり手がいないため、理事会がまともに開催できない管理組合などが増えています。
ここでは、こうした理事のなり手不足対策を検討していきます。

マンション住人の高齢化問題と理事のなり手不足の問題

マンションの高齢化問題

管理組合役員の担い手が不足し、管理組合の運営もままならないマンションも増えています。これからますますマンションの高齢化問題は深刻になっていくなか、理事のなり手の確保は、マンションにとって取り組むべき課題です。

分譲マンションは一戸建てとちがい、複数の所有者が共同で所有し、協力しあって共同で管理をおこないます。分譲マンションに住む以上、マンションの理事を引き受けるのは当然の義務です。

とはいっても実際にほとんどの分譲マンションでは、高齢化や管理に対する意識の希薄化などを背景に理事のなり手を確保するのは困難になってきているのが実情です。

分譲マンション管理組合の理事のなり手を増やすことは簡単なことではありません。役員のなり手不足の原因は高齢化といわれていますが、実際は、管理組合のために率先して働こうという意識が低下したことがなり手が不足した最大の原因だからです。

分譲マンション管理組合の理事のなり手を増やすための抜本的な解決方法は残念ながらありません。

理事(役員)を引き受けない理由

管理組合の役員就任を引き受けない理由

平成25年度マンション総合調査│管理組合の役員就任を引き受けない理由

国土交通省の調査では、管理組合の役員就任を引き受けない理由では「高齢のため」が30.4%と最も多く、次に「仕事等が忙しく時間的に無理だから」が23.2%となっています。

役員(理事)のなり手不足対策

対策1|役員資格の範囲を拡大する

 

法令上は役員の資格についての定めはないため、管理規約を改定することにより役員の資格要件を拡大することができます。

多くの管理組合では役員の資格については、管理規約では「区分所有者であること」「マンションに居住していること」の2つを要件としていることが多いですが、理事のなり手を確保するということであれば、こうした要件を廃止することも有効です。

区分所有者以外の賃借人等が理事になった場合には、区分所有者の利益に反する方向に進んでしまう可能性がありますので、こうした場合には、理事長には就任できないルールを制定した方が良いでしょう。

対策2|役員の人数を減らす

役員資格と同様に、法令上は役員の人数についての規定はありません。管理組合の役員の人数は、マンション毎に管理規約に定められています。一般的には、10から15戸に1名程度の役員としています。極端に多い場合には管理規約を改正し役員の定数を減らすこともひとつの方法です。なお、役員の適正な人数は、一概には言えませんが管理会社に業務委託している一般的なマンションでは、役員の人数があまり多くないほうが速やかな理事会の運営がされることが多いと感じています。

対策3|役員に報酬を支払う

理事への報酬役員の負担軽減の一策として、役員に報酬を支払うことも考えられます。役員に報酬を支払うことは、規約で定めたり総会決議により決定することができます。もともと規約で無報酬とされている場合には、規約の変更手続きが必要となるので特別決議が必要です。

順番でまわってくる理事を拒否した方には負担金などの罰則規定を設ける方法もありますが狙いとは反対に、罰金を支払ったから理事をやらなくても良いだろうということになりかねません。

対策4|役員の賠償保険に加入する

理事の保険

理事が理事会活動などに関して関係者から訴えられた場合に金銭的な負担を補償する「マンション管理組合役員向けの賠償保険」を付保することで、理事が精神的に安心して理事会の業務ができるようになるのであれば、理事のなり手不足解消の一助になるでしょう。

この保険は共用部分の火災保険の特約です。費用は役員個人が負担するわけではなく管理組合の管理費からの支出になりますが年間で数万円程度の負担ですので検討の価値があるでしょう。

対策5|理事の外部委託(第三者管理方式)

マンション理事の外部委託
理事の外部委託とは、区分所有者以外の専門家に理事を委託する方法です。理事を外部に委託するメリットは、理事の負担が軽減することはもちろんのこと、より専門的で客観的な対応が期待できます。一方、デメリットとしては、委託報酬による追加費用の発生や、区分所有者の管理に対しての意識低下などがあげられます。
なお、理事長を外部委託する方式は「管理者管理方式」「第三者管理方式」とも呼ばれています。特にマンション管理業者が理事長(管理者)を兼ねることを一般的に管理者管理方式と呼び、投資型・リゾート型マンションにでは既に多くの管理組合がこの方式を採用しています。また、理事長にマンション管理士等の専門家が就任する仕組み全般を「第三者管理方式」「理事長代行方式」等と呼んでいます。
役員の中でも、理事長を外部委託する場合においては影響が大きいのでメリットとデメリットを理解したうえで理事会や総会などで十分な議論が必要です。

補足│防火管理者の外部委託

マンションの防火管理者分譲マンションにおいて理事のなり手不足と並んで問題になっているのが、防火管理者のなり手がいないことです。副理事長が防火管理者になるといったルールを設けている例がありますが、防火管理者資格を取得するのは主に平日の2日間にわたって講習を受ける必要がありますので、なかなか、なり手がいないのが実情です。そこで、防火管理者は一定の要件を充たせば、区分所有者以外から選出することが可能なことから、専門家に防火管理者を委託するマンションが増えてきました。専門家が防火管理者に就任することで、防火管理者のなり手を確保できるだけでなく、日常の点検や消防訓練などが確実におこなわれることがメリットです。

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