マンションや共同住宅での暮らしというと「ご近所付き合いが煩わしい」と感じる方が多いようです。しかし昨今では、住人の高齢化や震災などの影響で、コミュニティの大切さが見直されています。共同生活の中で挨拶が気持ちよく交わされる関係。そして、いざというときに頼れる専門家がいる。そんな新しい暮らしのかたちが求められています。

マンション管理士を顧問として採用して理事(役員)の負担を減らす

マンション管理士は、理事会運営をサポートしてくれる頼もしい存在です。管理組合がマンション管理士を顧問として採用すれば、理事会に出席して、理事会の進行をサポートしてくれます。例えば管理会社からの提案が管理組合にとって有益なものかアドバイスをしてくれるので、理事の心理的負担も大幅に減少します。

マンション管理のコンサルタントであるマンション管理士の仕事とは

マンション管理士の最も基本的な業務は、総会や理事会に出席し、マンション管理の経験や知識の乏しい管理組合員に対して、助言やアドバイスをおこなうことです。

マンション管理士とは― マンション管理適正化法第2条 ―
国土交通大臣の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする者をいう。

マンション管理の問題は複雑

また、マンションが抱えているトラブルやクレーム等に対しても強力なサポーターです。例えば「理事会の運営に関する不満」「生活音やペット飼育等のマナーをめぐる対立」、「漏水や劣化などの建物の不具合」などすでに起こった問題に関する支援も業務としています。築年数が古くなれば増え、設備に関するトラブルや、空き家、高齢化の問題などが露呈します。新しいマンションでは、居住者間のマナーに関するトラブルや、価値観の違いによるクレーム等が発生しがちです

こうした、複雑なマンション管理の現場では、マンション管理士のような中立公正な立場で客観的に判断できる専門家が必要とされることがあります。

例えば「定期清掃を毎月実施」が適切かどうか判断する場合には、契約の当事者である管理会社よりも、第三者の立場であるマンション管理士の方が管理会社よりも適切なアドバイスができるのではないでしょうか。

このように、マンション管理士という第三者の専門家をうまく活用することで、よりよいマンション管理を実現することができるのではないでしょうか。

専門家が理事会にいるのであれば理事をやっても良い?

マンション管理士を顧問として採用することによって、これまで理事になるのを嫌がっていた方も専門家がフォローしてくれるのならやっても良いとかわる事もあります。特に「理事のなり手がいない」「理事に管理の知識が不足している」といった管理組合では、マンション管理士を顧問として採用することをおすすめします。

マンション管理士は、マンション管理組合や理事会のコンサルタントとしての専門知識を持つ国家資格者です。

同じ不動産の資格でももっともメジャーな宅建士と比較して、マンション管理士はあまり知られていませんが、実はかなり難易度が高い国家資格です。

マンション管理士の合格率は、7~9%となっています。それだけマンション管理のコンサルティングをおこなうには必要な知識が多いということでしょう。

マンション管理士と顧問契約を締結すると、理事会や総会に出席し、管理に不慣れな管理組合の手助けをしてくれます。

マンションが抱えている「騒音」「居住者間のマナー」と運営に関する不満や「理事のなり手がいない」「漏水等の建物の不具合」など、誰に相談してよいのかわからない問題を、よろず相談先としてマンション管理士を活用することができます。

築年数が古く、高齢化が高くなるほど多くなる課題や問題についてマンション管理士が具体的なアドバイスをおこないます。

マンション管理適正化法第2条
マンション管理士とは、国土交通大臣の登録を受け,マンション管理士の名称を用いて,専門的知識をもって,管理組合の運営その他マンションの管理に関し,管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うことを業務とする者をいう。

管理会社がいてもマンション管理士は必要

ほとんどのマンションでは、管理会社に業務を委託していますが、管理会社に契約以外のことを求めるのは無理があります。例えば、管理会社への業務委託費は妥当か、管理会社が代理店となっている共用部分に掛けられている損害保険料が適切であるかといった判断は、日常管理を委託している管理会社よりも、第三者であるマンション管理士の方がより適切なアドバイスができるでしょう。

マンション管理士と顧問契約をするメリット

顧問契約のメリット

  • メリット1│理事会内・居住者間のトラブルを防ぐ
  • メリット2│理事会の業務に継続性をもたせる

マンション管理士を顧問に採用する最大の大きなメリットは、管理組合が抱える悩みをいつでも相談できることです。マンション管理士が理事会や総会に常に出席することで、管理組合のちょっとしたトラブルや問題でも気兼ねなく相談に応じてもらえます。
また、マンション管理の専門家が管理組合運営に携わることで、管理組合の問題を未然に防ぐ効果が期待できます。重大な問題が起きる毎に、マンション管理士事務所等のコンサルタントに支援業務を依頼しても、マンション管理組合の抱えている問題の全体像を把握するのは困難です。マンション管理士が管理組合運営の隅々まで把握することで、理事の負担を大幅に削減することが可能です。

メリット1│理事会内・居住者間のトラブルを防ぐ

分譲マンションは購入目的が違いますし、20代の独身者や80代の高齢者にいたるまで年齢やライフスタイルが異なるため意見の対立が起こりがちです。理事会内や、理事会と居住者といった対立を防ぐためにマンション管理士等のコンサルタントが有効です。単にマンション管理の専門知識を補うだけではなく、ファシリテーターとしての役割を担います。

メリット2│理事会の業務に継続性をもたせる

管理組合の理事会のメンバーは輪番により毎年人員が入れ替わるのが一般的です。特に大規模修繕工事や管理規約の変更などのプロジェクトが進行しても一年で理事が入れ替わってしまっては適切な理事会の運営をおこなうことができません。

マンション管理士が顧問になることにより、継続性をもった長期的な管理組合運営をおこなうことができます。

マンション管理士の顧問契約の報酬額の目安

マンション管理士との顧問契約の有効性は理解できても、どれくらいの費用負担が必要か気になるところです。マンション管理士事務所の報酬額を調べてみると、マンションの立地や設備、戸数などによって大きくかわりますので、一概には言えませんが、以下の費用を参考として下さい。

マンション管理士の顧問契約では、基本的にマンション管理士が実際に理事会に参加しますので、理事会の開催頻度によって金額は大幅に変動します。

管理組合がマンション管理士を雇用する際には、マンション管理士を理事会に招いた上で希望の内容や理事会の頻度などを打ち合わせ後に見積もりを作成する方法が一般的です。

報酬額の目安

~100戸50,000円/月
~200戸80,000円/月
~300戸100,000円/月
300戸~110,000円/月
マンションの戸数や形態により報酬費用は大きく変動します。マンションを調査の上で見積書を作成する方式が一般的です。また、店舗が併設しているマンションなどは追加費用が発生することが多いようです。

マンション管理士の顧問契約の業務内容

主な業務内容

  • 理事会に出席・助言
    理事会にマンション管理士が出席し、必要な助言や提案をおこないます。
  • 総会に出席・助言
    「通常総会」「臨時総会」にマンション管理士が出席し、必要な助言や議案に対する、組合員からの質問に対して、回答補助をおこないます。
  • 理事会・総会議事録(案)の確認
    管理会社が作成する議事録(案)について、マンション管理士が内容の妥当性を確認し、必要な校閲をおこないます。
  • 管理会社作成資料の確認
    管理会社から理事会へ提出された資料(月次業務資料、会計資料、見積書)等の内容を、マンション管理士が確認し、必要な助言や指摘をおこないます。
  • 理事会からの依頼事項
    「管理規約の改正」「管理費の削減」などが顧問契約の業務に含まれることがありますが、マンション管理士事務所に対応が大きく異なりますので、確認が必要です。

マンション管理士事務所により、業務内容は大きくかわりますので、業務内容について不明な点がある場合には、納得するまで説明を受けることが大切です。また、採用にあたっては説明会を開催するなど、理事会だけではなく組合員全体が理解することが大切です。

顧問契約でのマンション管理士導入をおすすめする理由

マンション管理士の顧問業務は一般的に毎月固定の定額制のため、管理組合の予算を立てやすいことも分譲マンションにとっては導入しやすいポイントです。一般的には、管理組合では、問題が起きてからマンション管理士等のコンサルタントにアドバイスや支援を受けるケースが多いようです。しかし、依頼を受けたマンション管理士等のコンサルタントは、問題の状況把握などの労力と手間がかかることから、時間給として管理組合側が負担する費用がかさみます。
顧問として採用することで、マンション管理士が常に管理組合の運営状況を把握することができ、迅速な対応と管理組合側の費用負担も抑える効果があります。

マンション管理士の活用の実態

マンション管理士の活用方法(出所:平成25年度マンション総合調査)

平成25年度マンション総合調査│マンション管理士の活用方法

平成25年度マンション総合調査結果によれば、必要に応じてマンション管理士に支援を求める管理組合が約半数となっています。

マンション管理士の業務には「管理規約変更」や「管理費削減」など短期間(スポット)契約でおこなわれることもありますが、管理組合では追加予算などが発生した場合の対応が難しいため、できるだけ毎月固定の顧問契約での採用をおすすめします。

総括

近年、建物の老朽化、居住者の高齢化などを背景に、マンションの管理は、専門的な知識を必要とすることが多く、複雑化しています。

管理会社では対応できない問題も多くでてきています。管理組合とって、マンション管理士は、マンション管理組合が抱える問題や課題に合わせてマンション管理に関するあらゆるお悩みについても相談できる存在です。

このように、マンション管理士という国家資格をもった第三者の専門家をうまく活用することで、理事会の負担を減らし、理事のなり手が不足しているマンションなどでは、少しでも立候補者を増やすことができるのはないでしょうか。

管理組合の運営を長期的な視点で、マンションを見守ってもらうならマンション管理士と顧問契約するのが有効な方法です。