マンションや共同住宅での暮らしというと「ご近所付き合いが煩わしい」と感じる方が多いようです。しかし昨今では、住人の高齢化や震災などの影響で、コミュニティの大切さが見直されています。共同生活の中で挨拶が気持ちよく交わされる関係。そして、いざというときに頼れる専門家がいる。そんな新しい暮らしのかたちが求められています。

理事(役員)の引継ぎに必要な3つの項目「物品」「業務」「懸案事項」

マンションのルールで、年度ごとに理事が全員交代になってしまう場合には、前期理事会の取り組みを新しい理事会に継承することが困難です。今回は理事会の引き継ぎの重要性について学んでいきます。

引継ぎの内容

理事会の3つの引継ぎ項目

実際の引継ぎにあたっては、通常総会での理事(役員)の交代の前に、役員候補者に理事会に出席してもらい、理事会の中で引継ぎをおこなうようにします。

引継ぎ1│重要書類や鍵などの物品

  1. 会計関連
    (収支決算書、管理事務報告書、請求書・領収書、預金通帳、印鑑、等)
  2. 工事関連
    (長期修繕計画書、修繕等工事履歴、修繕工事請負契約書等)
  3. 総会・理事会関連
    (総会議案書、総会議事録、理事会議事録等)
  4. 建物・設備管理関連
    (設計図書、建物・設備点検等契約書及び点検等報告書等)
  5. 管理業者関連
    (管理委託契約書、重要事項説明書等)
  6. 管理規約・契約書関連
    (管理規約原本、各種細則、駐車場等の使用契約書等)
  7. 名簿・届出書関連
    (組合員名簿、組合員変更届出書等)
  8. その他
    (マンション売買契約書関係書類、有部分修繕等工事申請書等)
書類・印鑑・鍵・通帳などの物品の引継ぎについては「名称」「保管者」「保管場所」など、何がどこにあるか記録を残すためのチェックリストを作成しておくといいでしょう。

引継ぎ2│理事会や役員の業務内容

  1. 理事会の担当業務の内容
  2. 当期計画されている事業計画の内容
  3. 明文化されていない管理組合運営上のルール
    (理事会の運営、集会所等の使用等)等
理事会運営についての基本的な事項を引継ぐことも大切です。特に明文化されていない役職ごとの業務内容や、慣例などは必ず引継ぎをおこないます。

引継ぎ3│管理組合の懸案事項等

  1. 総会決議された事項等の未処理事項
  2. マンション内の事件・事故等
  3. 組合員等からの要望・苦情
  4. 管理業者との協議事項等
  5. マンション売主等との協議事項等
  6. 大規模修繕工事等の長期検討事項の進捗状況等
物の受け渡し以外にも、引き継ぎにあたっては前期からの申し送りや未解決の案件等を伝えることが重要です。継続して取り組んでる問題についてはその経緯や理事会の方針などを正確に引き継ぐことが重要です。

理事(役員)の引き継ぎの必要性

一般的な管理規約では新旧理事の引継ぎに関する規定はありません。しかし、管理組合にとって業務の継続性を確保するために「保管書類」や「懸案事項」等について新旧理事で引継ぎを行うことは極めて重要です。

理事の引き継ぎを確実におこなわないと管理組合の運営に支障をきたすため、引継書を作成して文章で記録を残すことが基本です。しかし、居住者のトラブルなどは文章に残すことは不適切ですので、できれば直接口頭で伝えます。

そのためには、理事の交代前に次期の理事候補者を理事会に招き引き継ぎをおこなうか、交代後に引継ぎ理事会を開催します。不十分な引継ぎでは、 たちまち管理組合の運営に支障をきたします。

総括

理事会の引継ぎは、重要書類や印鑑などの物品の他、マンション内で発生している問題や管理会社への依頼事項の処理など様々な引継ぎが必要になります。

管理組合の懸案事項は役員の任期をまたぐことも多く、理事(役員)の任期が終了したから終わりではなく、次期の理事会に引き継ぐところまでが理事としての仕事です。

特に、理事会の基本的な運営を管理会社任せの場合には、引き継ぎの重要性を忘れがちですが、管理人やフロントマン(担当者)も定期的に人員の交代がありますので引継ぎが重要であることに変わりはありません。