マンションや共同住宅での暮らしというと「ご近所付き合いが煩わしい」と感じる方が多いようです。しかし昨今では、住人の高齢化や震災などの影響で、コミュニティの大切さが見直されています。共同生活の中で挨拶が気持ちよく交わされる関係。そして、いざというときに頼れる専門家がいる。そんな新しい暮らしのかたちが求められています。

外部監査とは、マンションでも外部の専門家の会計監査が必要になる?

監事は、一般的に区分所有者から選任されますが、区分所有者からの選任が困難な場合やタワー等の大規模マンション、複合用途など管理の難易度の高いマンションにおいては、高度な知識が必要となることから、区分所有者とマンション管理士や公認会計士等の複数の監事を選任して外部監査をおこなう方法もあります。

区分所有者による監査の実際

監事は管理組合においては、理事の業務執行状況を監視する重要な業務があり、標準管理規約第41条においても、臨時総会の招集権などの強い権限が与えられています。

監事の行う監査の具体的内容については、マンション管理業協会 が作成した『管理組合監査(主要項目チェックリストについて)』が参考になりますが、実際には区分所有者から選任された監事では、その全部をおこなうことは非常に困難です。

区分所有者がおこなっている監査の実際は、定期総会前に管理会社の担当者からの指示に従って、領収書や会計書類に軽く目をとおすだけといったマンションがほとんどです。

専門家による外部監査の仕組み

外部監査の仕組み
外部監査の仕組みには主に2つの方式があります。

【監事就任】専門家が監事に就任
専門家が管理組合の役員である監事に就任し、これまでの区分所有者による監事の仕事を専門家がおこないます。
【外部監査】専門家が外部監査をおこなう
専門家は監事にはなりませんが、監事に代わって監査業務を行います。中立公正な立場で監査を行います。

外部監査を誰に依頼するか

外部監査の依頼先
分譲マンションの監査には主に2つの業務があります。

会計監査
主に、総会に提出される決算書・収支報告書(案)及び貸借対照表(案)が適正に作成されているかを監査します。
業務監査
理事会が管理規約や総会決議に従い適正に運営されているか。計画された点検や改修工事等が適切に行なわれたか監査します。

会計監査は、理事会が実施した取引の正しく記帳されていることを監査するので、会計士の業務の範疇でしょう。
また、業務監査については主に理事会のチェックといった趣旨ですので、管理組合の運営に精通したマンション管理士が適任でしょう。
両方を採用できればそれに越したことはありませんが、実際には費用面で困難ですので管理組合がどちらの監査に重点を置くのかにもよりますが、ある程度の規模の管理会社が決算書を作成していると想定すれば、小型のマンションでは業務監査、大型のマンションでは会計監査を重点に外部監査をおこなう専門家を選択すれば良いでしょう。

補足│監査の実施者

会計監査の実施者(出所:平成25年度マンション総合調査)

平成25年度マンション総合調査│会計監査の実施者

現状では会計士等による外部監査は「費用負担」が大きいことと、そして、外部の専門家による監査の仕組み自体が知られていなことから導入しているマンションは少数です。
マンション管理組合も数百戸の規模ともなれば、年間の管理費や修繕積立金のは、億を超えることも珍しいことではありません。こうした管理組合で動く金額は、とても監事個人が責任を負えるものではありません。

管理会社に原因がある場合には、管理会社が補償する可能性はありますが、監事個人の責任が問われない保証はありません。
しかし、現状では、ほとんどのマンションで区分所有者による監査がおこなわれています。

総括

監事の仕事には、理事の業務をチェックするという主旨があります。区分所有者による監事では同じマンションに暮らす理事の会計処理や違反などを厳しくチェックするのは心理的にも困難です。
監事は理事の活動をチェックする役割が大きいですが、実際には「監事」と「理事」は同じマンションに暮らす居住者同士の関係ですので、一般的な会社での監査役と同じような機能を管理組合の監事に求めるのは非現実的です。

そのため、監事を専門家に依頼するのは有効な方法ではありますが、監事を別途専門家に委託する場合には、報酬が追加的に生じるため、特に規模の小さいマンションでは、経済的な負担との兼ね合いを踏まえて検討する必要があります。

そこで、外部監査を採用すれば、監事による決算書、各種証憑をチェックするといった手間を省くことができるとともに、その監査の信頼性は大幅にアップします。
なお、第三者管理方式を導入して、区分所有者以外の専門家が理事長に就任している場合には、特に第三者による外部監査が望ましいでしょう。

費用面で、マンション管理士等による外部監査は難しくてもや「アドバイス」や「相談」には応じてもらえますので、外部の専門家を有効に活用することは大切です。