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マンションでの「騒音トラブルの対策」と理事会の基本的なスタンス

マンションの騒音問題管理組合向け
管理組合向け
マンションで頻繁に発生するトラブルのひとつである騒音問題は、当事者同士での話し合いでの解決が基本ですが、理事会に解決を求められるケースもあります。今回は、理事会の騒音トラブルに対する基本的な対応方法(スタンス)について考えていきます。

マンションの騒音トラブルの原因


マンション発生する騒音問題は、マンションで最も起こりやすいトラブルの一つです。「上階の足音」や「深夜の楽器演奏」など生活騒音のトラブルは深刻化しやすいのが特徴です。

騒音は、仮に上階から足音が聞こえても「普段から交流」があって「顔」や「名前」を知っている人の足音はあまり気になりません。例えば入居時に「小さい子供がいるからご迷惑をおかけします」という挨拶をしていれば大きなトラブルになるケースはあまりありません。

一方で「誰が住んでいるかわからない」部屋からの騒音はとても耳につきます。したがって、日頃からマンション内で軽く挨拶をするだけでも住人同士の騒音のトラブルを予防することができます。

騒音問題の解決策の基本6つ

マンション内での騒音問題の解決で難しいことは、騒音(音量)は主観によるものだということです。音を出す方は、たいした音ではないと思っていても、耳に入る側は眠れないほど気になって生活に支障をきたすということがあります。

解決策1│当事者同士の話し合い

基本的に騒音トラブルは「加害者」と「被害者」といった当事者間の問題のため「理事会」や「管理会社」ができることは限られています。仮に騒音被害者から理事会になんとかしてほしいという依頼があっても、原則として理事会が主体となって解決を目指すのではなく、直接騒音を出している方に注意を伝えるように促します。
いきなり「理事会」や「管理会社」が対応することで注意を受けた方は、告げ口をされたように受け取り、むしろ感情的な問題に発展しやすいからです。直接、当事者から音を控えるように注意を受けた場合には、意外とすんなりと解決することが多くあります。

解決策2│理事会での対策

当事者同士で解決できなかった場合には、理事会での対応を検討します。このときにも当事者両者の話を、あくまで第三者の立場で聞くことが重要です。その上で、妥協案を提案して両者が納得するかたちでの解決をめざします。
理事会は、騒音問題の当事者ではないため無理やり解決を迫るような対応をすると、「理事(役員)」と「加害者」といった新たな対立に発展することがあるため注意が必要です。

解決策3│注意文の配布・掲示

被害を受けた方がどうしても直接、加害者に注意にいくのは難しいといった場合には、騒音についての注意文の「配布」や「掲示」をおこないます。この場合は、差出人は管理組合名とすることで「被害者」と「加害者」が特定されないのがメリットですが、加害者に騒音をだしているという自覚がないと改善されないことがデメリットです。

解決策4│管理会社(騒音測定器)

騒音測定器を使用して騒音を測定して改善を図る方法もあります。騒音測定器の操作は「管理会社」や「専門業者」に依頼します。客観的な測定データによって解決につながる場合もありますが、同じ建物内で暮らす住人同士でこうした大掛かりな方法がふさわしいか慎重に考える必要があります。

解決策5│弁護士に依頼する

最終的に当事者同士での解決が難しいほどのトラブルにまで発展した場合には、弁護士に相談するのもひとつの方法です。ただし、いうまでもなく同じ建物内に暮らす者同士の問題ですので、その後のマンションでの生活を考えれば法的に訴える方法は最後の手段です。なお、裁判所は、受忍限度を超える騒音であるかといった基準で総合的に判断します。

解決策6│ADR制度を利用した解決

一般社団法人日本マンション管理士会連合会では、マンション紛争解決センターを設けています。ADR制度は民法上の紛争を「当事者」と「利害関係のない公正中立な第三者」が当事者の言い分を聞きながら解決を図るもので、裁判制度とは違い「迅速」で「安価」「非公開」が特徴です。マンションでの騒音トラブルの解決には有効な解決方法です。

日管連、ADR認証取得と「マンション紛争解決センター」設立のお知らせ | 日本マンション管理士会連合会
平成30年8月24日、日管連は法務省より「裁判外紛争解決手続きの利用促進に関する法律」(ADR法)に定められている法務省の認証を取得しました。それに伴い日管連では、マンション紛争の解決サポートを行う「マンション紛争解決センター」を設立し、9月12日、国土交通省において記者会見を行いました。「マンション紛争解決センター」 […]

この記事のまとめ

マンションの騒音問題は、事情によりその対策も異なり解決までに時間を要する場合もあります。一般的に、日頃からコミュニケーションがとれていて、挨拶などが日常的におこなわれているマンションでは、騒音問題から大きなトラブル発展するケースはあまりありません。繰り返しになりますが、騒音問題の「未然防止」や「解決」には、日頃の挨拶などのマンション内のコミュニティがしっかりしていることが重要です。
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