マンションでの生活のルール
分譲マンションは世代や生活スタイルが異なる多くの方たちの共同生活の場です。みんなが快適に気持ちよく暮らすためにあ、生活上の決め事を「管理規約」や「使用細則」によって定めることが必要です。管理規約や使用細則は見たことはあっても、内容まで詳しく把握している方は少ないでしょう。
管理規約はマンションの憲法
区分所有者は、全員で区分所有建物の維持管理を行わなければなりません。区分所有法では、建物、敷地、付属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができると定め(法31条1項)、幅広く管理規約に基づく管理を認めています。
管理規約は、管理組合のルールブックであり「マンションの憲法」と呼ぶにふさわしいものです。
管理規約は誰に効力が及ぶ?
管理規約の改正は、総会の特別多数決議によって行われますが、いったん定められた管理規約は、区分所有者全員に効力が及びます。たとえば相続や売買などで交替した場合には、新たな区分所有者に対しても管理規約の効力が及ぶわけです。
また、管理規約は、賃借人などの占有者に対しても一定の範囲内で効力が及びます。したがって、賃借人も、たとえば専有部分を住居としてのみ使用することやペット飼育禁止や楽器の演奏時間の制限などを守らなければなりません。
このように賃借人は建物の使用方法については管理規約を守らなくてはならない一方で、それ以外の事柄については管理規約の効力は及びません。たとえば、管理費や修繕積立金の支払いは、区分所有者の義務ですので、賃借人には効力は及びません。
管理規約はどうやってつくられる?
区分所有法上は、管理規約を定めるか否かは区分所有者の自由に委ねられており、法律上の義務ではありません。管理規約はマンションごとの個別の事情などを加味して独自に定めるべきものです。一般的には新築マンションの場合には国土交通省が雛形として公表している標準管理規約をベースにしていることが多いでしょう。これに管理会社が手を加え最初の総会で承認したものが管理組合の最初の管理規約になります。
この管理規約成立後は、これがマンションのルールブックとなります。しかしマンションの状況は社会情勢の変化変化や環境の変化していくものですので都度、見直しを行っていく必要があります。
マンション標準管理規約を参考にしよう
管理規約の標準的な雛形として国土交通省がマンション標準管理規約を公表しています。標準管理規約には住居専用の「単棟型」、敷地内に複数棟所在している「団地型」、住居と店舗併用の「複合用途型」の3タイプが用意されています。これを基準とすることで管理規約の作成が用意になります。
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管理規約の改定の必要性
例えば、最近では2018年に施行された民泊新法によってマンションごとに民泊を認めるのかどうか管理規約で定めたマンションが数多くありました。こうした対応を行わないで時代に取り残されてしまうとマンションにとっても不利益な事態が生じる可能性もあるわけです。
管理規約に対して使用細則はどういった役割をもつのでしょうか?
簡単に言えば使用細則は管理規約を補うものです。例えば「ペット飼育のルール」や「防犯カメラの運用細則」「ゴミ置き場の利用方法」などマンションで生活する上での日常的な細かなルールを定めるものです。
管理規約は「特別決議」、使用細則は「普通決議」
実務上は使用細則は管理規約とは違って普通決議で変更や制定ができるということもあって、例えば、駐車場や自転車置き場の料金や抽選方法を使用細則で定めることによって、その時の空き状況などによって柔軟、迅速にルールを変更できるといった特徴があるため、管理組合では数多くの使用細則がつくられます。
管理規約では決められないこと
管理規約は、区分所有者や賃借人に対しても強い効力を有するものですが、万能ではありません。区分所有法との関係から、管理規約に定めさえすればすべて有効かというとそうではありません。管理規約による別段の定めを認めていないものについて、区分所有法で定めた内容と異なる定めをしても、効力は生じません。
たとえば、区分所有法では、管理規約の制定や改正等は区分所有者及び議決権のそれぞれ四分の三以上の多数による集会の決議によってすると定めており、この点について管理規約による別段の定めを認めていないので、管理規約で「理事会の決議で決する」などと定めることはできません。
また、区分所有法には直接定められていない事項でも、他の法律によって禁止されていることや法律一般の精神に反する事柄については、やはり管理規約に定めても無効です。