マンション管理のヒントがいっぱい

マンションや共同住宅での暮らしというと「ご近所付き合いが煩わしい」と感じる方が多いようです。しかし昨今では、住人の高齢化や震災などの影響で、コミュニティの大切さが見直されています。共同生活の中で挨拶が気持ちよく交わされる関係。そして、いざというときに頼れる専門家がいる。そんな新しい暮らしのかたちが求められています。

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不適切コンサルだらけの時代に見直される責任施工方式による大規模修繕工事

中立公正が求められているコンサルタントの立場では、大規模修繕工事にかかわらず、特定の業者を管理組合にすすめないのがあたり前とされていますので、「責任施工方式」ではなく、公募を前提とした「設計監理方式」を管理組合に勧めるのが現在では当然となっています。

コンサルタントは不正をしない?

設計監理方式が、優れている方式であるのは、設計コンサルが中立公正であるのが大前提ですので、国土交通省が、設計コンサルタントと施工会社の癒着やバックマージンに対する警鐘をならすなど、そこの信頼がなくなった以上、はたして「設計監理方式」が管理組合にとって、正しい方式であるか疑問符がついています。

国土交通省からの設計コンサルタントについての通知

設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について-国土交通省通知
<現状の課題>
マンションの大規模修繕工事等において、診断、設計、工事監理等を担う設計コンサルタントが技術資料を作成し、管理組合の意思決定をサポートする、いわゆる「設計監理方式」は、適切な情報を基に透明な形で施工会社の選定を
進めていくためにも有効であるとされています。しかしながら、別紙1の通り、発注者たる管理組合の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタントの存在が指摘されています。

設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について
(国土交通省のウェブサイトからのダウンロードが非常に遅いため、こちらにコピーを置いています。)

<別紙1より抜粋>

不適切コンサル・指摘されている事例1不適切コンサル・指摘されている事例1

不適切コンサル・指摘されている事例2不適切コンサル・指摘されている事例2

不適切コンサル・指摘されている事例3不適切コンサル・指摘されている事例3

マンション管理会社に大規模修繕工事を依頼することは、金額が割高になるリスクはあっても、日常の管理を依頼している以上、その施工品質については、ある程度担保され、マンションのことをよく理解している管理会社であれば理事の負担も最小限に抑えられるからです。設計コンサルタントの不正がこれだけはびこると、正直なところ、これなら日常管理を依頼している管理会社に大規模修繕工事を依頼するのもひとつの候補として検討するのも選択肢としてあり得ます。

「責任施工方式」のメリット

責任施工方式の依頼先としては、日常管理を依頼している管理会社の他、大規模修繕工事を専門とした業者が一般的です。設計監理方式と違って、設計と施工を同じ会社が行うため、チェック機能が働かないため、修繕項目の見落としや施工不良など施工品質が落ちるケースもあります。

しかし、設計・施工をひとつの業者に任せられるため、信頼できる業者に発注をすれば、無駄のない一貫した工事計画のもと管理組合の労力が少なく、そして責任の所在が明確ですので安心して工事をすすめることができます。

また、費用面においても設計コンサル会社への支払いがありませんので、その分安価に抑えられるメリットがあります。

いずれにしても、「責任施工方式」においては、信頼できる業者をみつけることがもっとも重要なことになります。

「責任施工方式」は、「設計監理方式」のように設計と施工をおこなう業者を分けず、ひとつの業者に診断・設計・工事を任せる方式です。

現在は設計監理方式が主流だが過信は禁物

設計と施工を別の業者に依頼することによるデメリットもあります。もともと分譲マンションでの大規模修繕工事は、管理会社にまかせるのが一般的でしたが管理会社が手配した施工会社により工事費用が割高になる傾向がありました。そこで現在では、診断、設計、監理は設計コンサル会社が行い、工事は別の施工会社が担当する「設計監理方式」が主流となりました。しかしながら以下のような問題もあり、現在では「責任施工方式」が見直されてきています。

設計監理方式の問題点

現在主流になっている「設計監理方式」は一見、管理組合にとってメリットが多いように思えますが、以下のような問題点が指摘されています。

1)設計費用が別途発生する

設計監理方式では、設計事務所等への費用負担が工事会社への支払いとは別に発生します。設計事務所等への支払いは主に、診断、設計、施工監理に発生し、費用相場は、大規模修繕工事の総費用に対して10%前後となっています。

2)施工会社のバックマージンの問題

もともとマンションの大規模修繕工事における設計監理方式は、高額で不透明な大規模修繕工事の解決策として主流となった経緯にもかかわらず、現在では設計コンサルが施工会社からバックマージンをもらうなどの不正行為が行われ、結果として管理組合が不利益を被っています。
今年1月には、国土交通省が、設計コンサルタントと施工会社の癒着やバックマージンに対する警鐘をならしています。

3)責任の所在が不明瞭である

仮に、工事結果に瑕疵があったとして、設計コンサル会社と施工会社との癒着やつながりから、互いがかばいあって責任の所在がはっきりしないケースがあります。

4)設計コンサルが設計をおこなう必然性がうすい

エントランスのデザインを大きく変更するといった工事であれば、設計コンサルが介在することは理解ができますが、経年劣化による修繕をおこなうにあたって必ずしも大掛かりな設計をする必要性はありません。

5)工事監理の必要性がうすれてきた

大規模修繕工事の瑕疵保険の付保が一般的になりましたので、第三者による工事監理は必ずしも必須ではなくなりました。

6)理事や修繕委員の負担が重すぎる

設計監理方式ではその仕組から、設計コンサルタントの選定や公募による施工会社の選定など、そのつど理事会や説明会、総会の開催などが必要になり、管理組合に大きな負担が掛かります。

7)共通見積書にも過信は禁物

設計事務所の大きな役割としてあげられているのが、複数の施工会社を選ぶ際の共通見積書の作成です。
複数の施工会社から見積りをとる場合、各社が異なる項目で工事内訳を表示すると、金額の比較をすることが困難です。そこで共通仕様書を作成しますが、見積りを依頼された施工会社は、共通仕様書の中に不必要な工事項目が含まれていても、それを訂正することが困難です。また設計コンサルにしてみれば、工事の範囲を広げて施工費用が高くなるほど、施工費用の何割といった自社の取り分が増えますので、不必要な修繕項目を共通仕様書に含めるケースも見受けられます。結果として、共通仕様書をつくることがかえって見積り費用を高くする結果を招きます。

総括

現在では、設計・監理は設計コンサルタントが行い、工事は別の施工会社が担当する設計監理方式が一般的となっています。

しかし、今年1月には、国土交通省が、設計コンサルタントと施工会社の癒着やバックマージンに対する警鐘をならしました。

実際に施工業者から話を伺うと、昨今の大規模修繕工事では、バックマージンを要求する設計コンサルや設計事務所が多数あり、昨今の大規模修繕工事では、こうした不適切な行為をしない設計事務所をさがすのは困難になっています。

理事会や修繕委員会としても、施工会社と癒着のない適切なコンサルタントさがしの手間がかかった上に、重ねて入札等を経て施工業者を選ぶ際にも不正が行なわれないかチェックが必要になります。

必ずしも設計監理方式で設計事務所等のコンサルタントを導入したからといって、理事等の手間暇がなくなるわけではないわけです。

こうした中、実は「責任施工方式」にも数多くのメリットがありますので、現在主流の「設計監理方式」と決めつけないで責任施工方式も検討してはいかがでしょうか。

ただし、競争原理を働かすために管理会社以外の選択肢(責任施工方式の依頼先)もあげて、相見積りを取得するなどの理事会や修繕委員会の努力は必要となります。

補足│国交省が設置した相談窓口の活用