マンションや共同住宅での暮らしというと「ご近所付き合いが煩わしい」と感じる方が多いようです。しかし昨今では、住人の高齢化や震災などの影響で、コミュニティの大切さが見直されています。共同生活の中で挨拶が気持ちよく交わされる関係。そして、いざというときに頼れる専門家がいる。そんな新しい暮らしのかたちが求められています。

マンション管理組合の理事の任期の設定と半数改選をおすすめする理由

理事会の運営は、業務の継続性が求められますが、不適切に役員(理事)の任期が長すぎると、管理会社との不適切な関係を疑われたり、他の区分所有者が無関心になってしまう弊害もあります。今回は、役員(理事)の適切な任期の設定について学んでいきます。

理事の任期

万年理事長による弊害は時に問題になることは事実ですが、かといってやる気があって熱心な理事長を、後になって「長すぎるからやめてくれ」と再任を妨げるのも不合理です。そのため、事前に理事の任期が明確に定めておくことが重要です。
役員(理事)は任期を明確に定めた上で、輪番制などを用いて、各区分所有者が平等に役員(理事)を務めることが原則です。

役員の任期の実態

マンションの任期は標準的なものが定められているわけではないので、マンション毎に自由に定めることができます。

大多数のマンションで役員の任期は1年

役員の任期(出所:平成25年度マンション総合調査)

平成25年度マンション総合調査│役員の任期

平成25年度マンション総合調査によると、マンションでの役員(理事)の任期は、 「1年」が59.6%と最も多く、つぎに「2年」が35.4%となっています。ほとんどのマンションで役員(理事)の任期は2年以内であることがみてとれます。マンション運営は事案によっては、長期的な議論が必要な場合がありますので、1年毎に役員が全員がいれかわる選任方法は継続性に不安が残ります。

あまりにも理事の任期が長すぎると、理事会の私物化といった問題がおこる事態が懸念されますので、1~2年程度の任期が適切といえます。

半数改選をおすすめする理由

役員が毎年全員交代すると、理事会でのこれまでの議論や活動の経緯がわからなくなったり、理事会活動そのものが停滞しかねません。理事会業務の継続性ということであれば、任期を2年とし、任期が来たら半数ずつ交代していく半数改選の方法が有効です。

しかし任期が2年となるため1年任期と比較すると理事の負担が増えてしまいます。理事のなり手がいないといったマンションでは半数改選での運用は実質的に困難でしょう。

実際には、多くのマンションで、1年もしくは2年で役員が一斉に交代します。その場合には継続性を確保するためにも引継ぎをしっかりと行うことが重要です。管理組合運営の継続性を確保するためにできれば役員(理事)の変更は半数改選の2年任期をお勧めします。

半数改選としているマンションは『24.7%』

役員の改選人数(出所:平成25年度マンション総合調査)

平成25年度マンション総合調査│役員の改選人数

平成25年度マンション総合調査によると、役員の改選人数は、「全員同時期に改選」が59.2%、「半数ごとの改選」が24.7%となっていますまだまだ、半数回数としている管理組合は少ないようです。半数改選とすると任期が伸びてしまうことが敬遠されているためでしょう。

マンション管理標準指針・理事の改選方法(抜粋)
任期満了に伴い、全役員(理事)が交代するということになると、業務の継続性にやや欠ける感もあります。そこで、この点を重視すれば、役員(理事)の改選を半数ずつとすることが望ましくなります。この場合は、年度途中で役員(理事)を交代させることは適当ではないので、任期を2年とする必要があります。
一方、現状では、任期2年、半数改選としている管理組合は多くなく、マンションによっては2年任期に抵抗感をもつ区分所有者がいることも考えられることから、これは「望ましい対応」としました。

総括

役員(理事)の任期が長期間にわたると、馴れ合いや癒着といった不正行為がおこなわれる危険性があります。

一方で、役員(理事)が同時に交代してしまうと、引き継ぎを十分におこなうことが困難であり、管理組合の運営に支障をきたす場合があります。

例えば、滞納者への対応や、大規模修繕工事に向けた取り組みなど引き継ぎを正確におこなう必要があります。

管理組合の不利益を防ぐためにも、半数改選とするかマンション管理士等のコンサルタントと顧問契約をむすび、理事会運営の継続性を確保する方法もあります。