マンションや共同住宅での暮らしというと「ご近所付き合いが煩わしい」と感じる方が多いようです。しかし昨今では、住人の高齢化や震災などの影響で、コミュニティの大切さが見直されています。共同生活の中で挨拶が気持ちよく交わされる関係。そして、いざというときに頼れる専門家がいる。そんな新しい暮らしのかたちが求められています。

第三者管理方式導入までのトラブルのない安全な進め方と手続きの方法

外部専門家を役員として導入する第三者管理方式の導入するまでの大きな流れとしては、現体制の理事等が主体となり、区分所有者への説明会等で情報共有・意向把握を重ねながら検討し最終的な総会決議において決定します。なお、総会での導入決議と同時に必要な規約・細則についての決議もされるケースが多いようです。

1)理事会が中心となって検討開始

第三者管理方式の導入に向けた必要な検討は、基本的に理事会で行うこととなりますが、区分所有者や管理組合にとって重大な事項ですので、理事会として具体的な検討に着手することを、アンケートや掲示板などを通してマンションの居住者や区分所有者に周知しておくことが大切です。

外部専門家の候補者の選定

外部専門家候補の選定は、理事が自らインターネットをなどで情報収集やリストアップするほか、公募などで探す方法などもありますが、一般的には、役員のなり手不足の課題に直面しているマンションでは、理事長を公募によって募り、審査することは現実的には困難です。まずは、マンション管理士との顧問契約やコンサル業務で支援を受け、その過程で信頼関係を構築できると判断できた方に理事長への就任を依頼するケースが多いようです。

2)区分所有者に対する説明会

正式な総会決議の前に、区分所有者向けに説明会を開催し、議案、スケジュール、諸条件等について説明・質疑を行う場を設けることも考えられます。この際、議案の他、「区分所有者のみによる理事会運営が継続できない理由」など、導入が必要と判断されるに至った過程についても丁寧に説明することが後々のトラブルを防ぐことにつながります。

3)総会で外部専門家の導入推進決議(省略可)

最終的な外部専門家の導入決議をおこなう総会の前に、「導入推進」についての総会をおこなうとより丁寧です。この決議は必ずしも必要ではありませんが、外部専門家役員の導入に向けて、今後具体的な手続を進めていく旨を決議しておくことで、正式な「外部専門家の役員導入」決議に向けてスムースな合意形成につながります。

4)総会で外部専門家の役員導入決議

外部専門家役員を正式に導入するには、役員の選任、細則、契約書、報酬等について、総会決議を経る必要があります。また、規約で役員の要件が「組合員のうちから」となっている場合等には、外部専門家も選任可能とするための規約改正や細則制定等をおこなう必要があります。

議決事項

【普通決議】外部専門家である候補者を役員に選任する旨
【特別決議】管理規約(必要に応じ)

  1. 規約において役員の要件が「組合員のうちから」となっている場合
  2. 理事長でない組合員が総会招集を行う場合の要件を「組合員の 10 分の1以上の同意」等に緩和することとする場合

【普通決議】細則の制定・改正(案)※1
【普通決議】外部専門家と締結する契約書(案)
【普通決議】外部専門家の報酬に関する予算(案)

【特別決議】では(区分所有者及び議決権の 4 分の 3 以上の特別多数決議)が必要です。
※1 外部専門家の選任方法については、標準管理規約第35条第4項で細則に委任されています。よって、細則において、外部専門家が役員に加わることに伴う理事会運営等の特別ルール(監視体制、業務内容、理事会の議決権の有無等)について定めておく必要があります。

外部専門家の選任手続等に関して細則で定めておくべき事項の例

外部専門家の活用ガイドラインより抜粋

第○条 ○○マンション管理規約(以下「規約」という。)第 35 条第 4 項及び第 70 条の規定に基づき、この細則を制定する。
(補足:便宜上、規約の条番号は標準管理規約に準拠した。以下同じ。)

第○条 規約第 35 条第 3 項に基づく役員の選任において、組合員以外のマンションの管理に関する専門的知識を有する役員(以下「外部専門家役員」という。)を選任する場合については、同項の規定にかかわらず、総会の決議において、理事長、副理事長、会計担当理事、その他理事又は監事のいずれであるかをも決定するものとする。

第○条 外部専門家役員を選任しようとするときは、理事会において外部専門家役員の選任に関する議案を作成し、総会に提出し、その承認を得られなければならない。

第○条 外部専門家役員は、理事会における議決権を有しない。

第○条 本細則に定めるもののほか、外部専門家役員の選任及び解任に係る細目は、外部専門家と管理組合との間で締結される契約に定めるところによる。

第○条 外部専門家役員は、○○○円以上の経費の支出が必要となる場合には、あらかじめ、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。 等

標準管理規約における外部専門家の役員就任に係る規定

標準管理規約(役員)
第35条
※外部専門家を役員として選任できることとする場合
2 理事及び監事は、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
4 組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。

標準管理規約【コメント】
第35条関係
① 管理組合は、建物、敷地等の管理を行うために区分所有者全員で構成される団体であることを踏まえ、役員の資格要件を、当該マンションへの居住の有無に関わりなく区分所有者であるという点に着目して、「組合員」としているが、全般関係③で示したとおり、必要に応じて、マンション管理に係る専門知識を有する外部の専門家の選任も可能とするように当該要件を外すことも考えられる。この場合においては、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」の第4項のように、選任方法について細則で定める旨の規定を置くことが考えられる。(略)

⑤ 第4項の選任方法に関する細則の内容としては、選任の対象となる外部の専門家の要件や選任の具体的な手続等を想定している。なお、⑥及び第36条の2関係②について併せて参照のこと。

総括

第三者管理方式の導入については、これまで説明してきたとおり、管理規約や細則の変更や制定の他、説明会等が必要となりかなりの手間がかかります。

理事のなり手不足が課題となっているマンションでは、理事だけでこうした業務をおこなうことは実質的に困難でしょう。

ですから、このような導入段階においても、外部専門家の支援を受けることも考えられます。事前に役員候補者となる外部の専門家を探し、その方の支援を受けて導入まで至るのが現実的でしょう。