UPDATE|平成30年度マンション総合調査を基に分析
マンション管理会社への業務委託の実態を国の調査データから徹底解説。全部委託74.1%、単棟型と団地型の比較、標準管理委託契約書への準拠94.6%、分譲時の管理会社がそのまま73.1%、リプレイスの割合、委託内容まで網羅。統計から学ぶ管理委託の実用ガイド。
マンションの「共用部分や敷地」などの管理は「管理組合」や「理事会」が主体となっておこなっていくのが原則です。しかし実際には管理の知識が乏しい理事だけで「管理の仕事」をおこなうのは現実的ではありません。そこで、ほとんどのマンションでは管理会社に管理業務を委託しています。
本記事では、平成30年度マンション総合調査を基にマンション管理会社への業務委託の実態、管理会社の決定方法、管理委託契約書の準拠状況、リプレイスの割合まで網羅して解説します。
こんな方におすすめの記事です
- 管理委託の実態を統計で把握したい理事会
- リプレイスの検討材料を探している管理組合
- 自分たちのマンションの委託方式を見直したい方
- 業界標準を知りたい新任理事
マンション管理業者への委託意向
国土交通省の平成30年度マンション総合調査では、管理業務をマンション管理業者に委託する意向についての調査結果が示されています。
| 委託意向 | 割合 |
|---|---|
| マンション管理業者に任せても良いが、その方針は出来る限り管理組合で決めるべきである | 74.2% |
| マンション管理業者に全て任せた方が良い | 19.5% |
| その他・無回答 | 6.3% |
約74.2%の管理組合が「方針は管理組合で決めるべき」と考えており、管理会社任せではなく主体性を保つ姿勢が主流であることがわかります。
管理業務の委託状況
マンション管理会社に任せている業務に関する調査では、以下の結果となっています。
| 委託状況 | 全体 |
|---|---|
| 基幹事務を含め管理事務の全てをマンション管理業者に委託 | 74.1% |
| 基幹事務以外の一部のみ委託 | 約19% |
| 管理組合が全ての管理事務を行っている(自主管理) | 6.8% |
単棟型と団地型の比較
単棟型と団地型を比較すると、委託状況に明確な違いが見られます。
| 項目 | 単棟型 | 団地型 |
|---|---|---|
| 全てを管理会社に委託 | 77.2% | 63.2% |
| 管理組合が全ての管理事務を行っている(自主管理) | 5.0% | 15.6% |
団地型は自主管理の割合が約3倍と高く、これは団地型マンションでは管理組合員の数が多く、理事のなり手が確保しやすいことが背景と考えられます。
管理会社の決定方法
マンション管理会社の決定方法についての調査では、興味深い結果が示されています。
| 決定方法 | 割合 |
|---|---|
| 分譲時に分譲業者が提示したマンション管理業者 | 73.1% |
| 管理組合が公募・選考した | 約15% |
| リプレイスにより変更した | 約10% |
| その他 | 約2% |
7割以上が分譲時のままの管理会社を継続している状況ですが、管理会社を変更(リプレイス)するマンションもかなり増えています。
管理委託契約書の準拠状況
マンション管理委託契約書についての調査では、マンション標準管理委託契約書への準拠状況は以下の通りです。
| 準拠状況 | 割合 |
|---|---|
| 概ね準拠している | 94.6% |
| 準拠していない | 約3% |
| 不明・無回答 | 約2% |
標準契約書への準拠率は94.6%と高い水準です。自分たちのマンションの委託契約書の内容が、マンション標準管理委託契約書と大きく異なる場合などには、管理組合にとって不利益な内容になっていないかマンション管理士等の専門家に調査を依頼するのが望ましいでしょう。
管理会社が担う主な業務
大多数のマンションでは「共用部分や敷地」などの管理は、管理組合が管理会社に業務を委託しています。マンションの管理の仕事は以下のように多岐にわたるため、マンションの管理業務を専門におこなう業者としてマンションの管理会社が必要となります。
| 業務分類 | 具体的な業務 |
|---|---|
| 事務管理業務 | 管理費の徴収・滞納者への督促業務・決算書作成 |
| 設備の維持管理 | 保守点検・法定点検の手配・緊急対応 |
| 管理員業務 | 現地管理員の派遣・居住者対応 |
| 清掃業務 | 日常清掃・定期清掃・特別清掃 |
| 居住者対応 | 居住者同士のトラブルの仲裁・クレーム対応 |
| 理事会・総会支援 | 議事録作成・会場設営・議案書準備 |
管理委託契約の注意点
ここで注意しなくてはならないのが、管理会社との管理委託契約書は「管理の専門家である管理会社」と「管理の知識の乏しい管理組合」による契約であることです。そのため、管理組合にとって不利な契約(管理会社にとって有利な契約)を知らないうちに締結していることが往々にして見受けられます。
見直し時にチェックすべきポイント
- 契約期間・更新条件:自動更新条項の有無
- 解約条件:解約予告期間・違約金
- 業務範囲:別途費用となる業務の範囲
- 再委託の条件:第三者への再委託の制限
- 免責条項:管理会社の責任範囲
- 工事発注の優先権:独占的な発注権の有無
- 報告義務:月次・年次の報告内容
外部専門家の活用
マンション管理会社に業務を委託している場合には、管理会社の業務が適切に行われているかチェック機能を確保するために、マンション管理士等の外部の専門家(コンサルタント)を上手に活用していくことも大切です。
- マンション管理士の顧問契約:月額数万円〜
- マンション管理センター無料相談:初期相談に活用
- 自治体の無料相談制度:東京都等で実施
- 外部監査の導入:公認会計士・税理士の活用
マンション管理適正化法は、主にマンションの管理会社の業務の規制などを定めた法律です。理事会で管理会社の業務に不信感を抱いた場合などには、管理会社が適正化法違反をおこなっていないか確認をおこないましょう。
自分たちのマンションの委託状況チェックリスト
統計データと比較して、自分たちのマンションの委託状況を確認しましょう。
- □ 全部委託・一部委託・自主管理のどれか把握しているか
- □ 現行の管理会社は分譲時のままか、リプレイス実施済みか
- □ 管理委託契約書は標準管理委託契約書に準拠しているか
- □ 契約更新時に内容の見直しをしているか
- □ 委託費の相場との比較を行っているか
- □ 外部専門家(マンション管理士等)に相談したことがあるか
- □ 管理会社の業務品質に満足しているか
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まとめ|統計を踏まえた主体的な委託管理を
平成30年度マンション総合調査によると、全部委託が74.1%、標準契約書への準拠94.6%、分譲時の管理会社がそのままが73.1%と、多くのマンションが管理会社任せになりがちな実態が見えます。
しかし、委託意向調査では74.2%が「方針は管理組合で決めるべき」と考えており、主体性を保ちつつ管理会社を活用することが望まれています。自分たちのマンションの委託状況を統計と比較し、必要に応じて契約の見直しや、外部専門家の活用、リプレイスの検討を進めましょう。
