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マンションの消防設備点検の内容と「竣工後10年経過後の追加項目」

管理組合向け
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マンションに設置されている消防設備は、万が一の場合に設備が正常に動作するかを確認するために「消防法で定められている点検」を適切に実施する必要があります。消防設備点検は「共用部分」の他、「専有部分(住戸内)」への立入りも必要となるため、住人の協力が欠かせません。したがって点検の実施率を向上させることも重要な課題です。今回は、万が一の火災の際に住人を守る大切な役割をもつマンションでの消防設備点検について学んでいきます。

マンションの消防設備点検とは?

万が一、マンションで火災が起きた場合に、消火設備が正常に動作するように、消防法で、マンションでの消防設備点検の実施が義務付けられています。

消防法(消防法第 17 条の3の3)により消防用設備等を設置することが義務づけられている建物の関係者(所有者・管理者・占有者)は、設置した消防用設備等を定期的に点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告するが義務があります。

消防設備点検の内容

マンションでは共用部分の消防設備である「消火器」や「誘導灯」「避難ハッチ」のほか、各戸内にある感知器等の設備の点検を実施する義務があります。また、その点検結果を3年に1度、消防署へ報告しなければなりません。点検作業は、消防設備点検の資格を有する者がおこなう必要があるので、消防設備点検は専門業者が実施するのが一般的です。

消防設備点検1│機器点検

法律で定められた基準に従って目視点検や簡単な操作によって正常に作動することを確認します。(6ヶ月に1回)

消防設備点検2│総合点検

法律で定められた基準に従って消防設備を起動させ、設備が正常に作動することを点検基準に従い確認します。(1年に1回)

消防設備点検3│消防署への報告

マンションでは3年に1回、点検結果の報告書を消防署へ提出することが義務付けられています。(3年に1回)
消防設備点検終了後には、管理会社や業者から理事長(もしくは理事会)に点検報告書が提出されるので、不良箇所の指摘があった場合には、速やかに修繕がおこなわれるように理事会で検討していくことが必要です。

竣工後10年経過した場合の追加点検項目

マンションが竣工10年を経過すると、点検項目に「連結送水管耐圧検査」と「消防ホース耐圧試験」が追加されます。この2つの点検の実施には、追加費用が発生するため、事前に管理組合の予算の中に追加費用を見込んでおく必要があります。

追加項目1│連結送水管耐圧試験

連結送水管は、設置後10年を経過すると機器点検時に配管に所定の水圧をかけて漏水がないことを確認することが義務付けられています。(3年毎に実施)

追加項目2│消防ホース耐圧試験

消防用ホースは、設置後10年を経過すると機器点検時にホースに所定の水圧をかけて漏水がないことを確認することが義務付けられています。(3年毎に実施)
なお、消防用ホースを交換した場合には、その後10年間は消防用ホースの耐圧試験が免除になります。消防ホースが耐圧試験で不合格になった場合には、ホースの交換が必要になるため、事前にすべての交換をおこない、耐圧試験を免除とする選択肢もあります。

消防設備点検には、部屋内の点検が含まれる

消防設備点検には、マンションの「共用部分」だけでなく「専有部分(部屋内)」の点検も含まれています。室内の消防設備点検では、実際に点検業者が「専有部分(部屋内)」に入室して、天井に設置されている「感知器」や「ベランダの避難ハッチ」等の動作確認をおこないます。

補足│各住戸の消防設備点検は拒否できる?

各戸内の消防設備点検をおこなうには住人が点検日に在宅するほかありません。この消防設備点検を受けなかったからといって、居住者に対しての罰則はありません。しかし、マンションで生活する以上、万が一の際に他の居住者に被害を与えないように消防設備点検を受けることは居住者の義務といえるものです。

この記事のまとめ

「消防設備点検」は、人命にかかわる点検のため確実に実施することは当然です。しかし、雑排水管清掃と同様に、各戸への立ち入りが必要な作業を含むため、多くのマンションで、「専有部分(部屋内)」の点検の実施率が低い問題があります。
実施率が低い場合には、理事会が実施率を向上するための対策をおこなう必要があります。各戸の実施率を向上するには、まずは早めの作業日程のお知らせが重要です。次に「平日のみ」に消防設備点検が実施されている場合には、管理会社と協議して消防設備点検の実施日を「土・日曜日」へ変更することも検討していきます。
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この記事を書いたヒト

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