マンションや共同住宅での暮らしというと「ご近所付き合いが煩わしい」と感じる方が多いようです。しかし昨今では、住人の高齢化や震災などの影響で、コミュニティの大切さが見直されています。共同生活の中で挨拶が気持ちよく交わされる関係。そして、いざというときに頼れる専門家がいる。そんな新しい暮らしのかたちが求められています。

マンション管理組合がコンサルタント(専門家)を必要とする理由と背景

マンションの管理は、日々トラブルへの迅速な対応や長期的な視点での運営も求められています。しかし、ボランティアでおこなう理事会の活動には限界があります。そこでマンション管理のコンサルタントが必要になっています。

コンサルタントを必要とする理由

理由1|理事会へのクレームは増えるばかり

分譲マンションに暮らす方の意識がかわり、理事会へのクレームは増加するとともに、建物の老朽化なども進み、理事の負担が増えたことが理事をやりたくない理由のひとつとなっています。

マンション管理で最も難しいことは、住人同士の価値観の違いです。理事会が良かれと思って企画したことでも、他の住人にとっては迷惑ということも少なくありません。

第三者の立場であるマンション管理のコンサルタントを活用することによって、居住者間の価値観の違い埋め、理事会と管理会社間のクッションとしての役割を担います。

理由2|マンション管理は法律・権利関係など複雑

マンションは一つの建物を多くの人が所有していますので、権利・利用関係の複雑さ、建物・設備の技術的な難しさなどがあり、区分所有者間の合意形成が非常に困難です。

このような中で、管理組合の運営を適切におこなっていくには、区分所有法などの「法律」や「技術的」な専門的知識が必要となります。

理由3|マンション管理会社に不満をもっている

マンション管理組合にとって一番頼りにすべき専門家は日常業務を依頼しているマンション管理会社ですが、その業務の「質(クオリティ)」や「金額」に、不満や不信感を持つケースがあります。

本来であれば頼るべき存在であるマンション管理会社ですがきちんと機能していなかったり不信感を与えるなどした場合には問題の解決は非常に難しくなります。こうした場合には外部のコンサルタントの活用が必要になります。

理由4|標準管理規約改正で専門家の活用が明記

マンション管理規約の雛形である国土交通省作成の標準管理規約では、これまでも「専門家の活用」に関する条文がありましたが、平成28年の改正では理事に居住者以外が就任することを前提とした「外部専門家を役員として選任できることとする場合」という条文が新たに追加されました。

標準管理規約の変更にともなって、管理組合がコンサルタントを積極的に活用する流れができてきました。

標準管理規約の役割
標準管理規約には強制力はありませんが、実際にはほとんどのマンションでは標準管理規約に準拠した規約がつくられるため、以後竣工するマンションでは、これらの条文が追加されます。

補足│標準管理規約における「専門家活用」に係る規定

標準管理規約(専門的知識を有する者の活用)
第34条 管理組合は、マンション管理士(適正化法第2条第五号の「マンション管理士」をいう。)その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。

標準管理規約(役員)
第35条 管理組合に次の役員を置く。
<外部専門家を役員として選任できることとする場合>
2 理事及び監事は、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。

補足│コンサルタント(専門家)の活用状況

専門家の活用状況(出所:平成25年度マンション総合調査)

平成25年度マンション総合調査│管理組合の専門家の活用状況

平成25年度マンション総合調査によると、マンションで専門家を活用した割合は、「48.1%」あって約半数のマンションで何からのかたちで外部の専門家を活用しています。また、実際に活用した専門家は、建築士が「24.4%」と最も多く、次いで弁護士が「18.7%」、マンション管理士が「16.4%」となっています。

総括

大規模修繕工事の際に、設計事務所等のコンサルタントを活用するケースや滞納者への対応を弁護士などに相談することは管理組合では当たり前になっています。

今後はトラブルや課題が表に出てくる前の予防策として、マンション管理士等のコンサルタントを活用するケースが増えてくるでしょう。