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マンションの「立体機械式駐車場」を解体・撤去する『平面化工事』とは?

マンションの「立体機械式駐車場」を解体・撤去する『平面化工事』管理組合向け
管理組合向け
かつては分譲時のセールスポイントの一つでもあったマンションの「立体機械式駐車場」も、数十年の時を経て、維持管理に多額のメンテナンス費用が掛かるお荷物になりつつあります。マイカーの保有率が高いころはマンションに駐車場があることはマンション購入の大きな動機となりました。それが今や管理組合のなかで立体機械式駐車場を存続するのか解体・撤去するかの判断を迫られています。しかし、立体機械式駐車場を解体するにも費用がかかるので管理組合の中でも判断が分かれるところです。今回は『立体機械式駐車場の解体・撤去の現状』について考えていきます。

駐車場の空き問題の抜本的な解決方法は「撤去」しかない?

「住人の高齢化」「若者の車離れ」に加えて特に都市部のマンションではカーシェアリングの普及等により車を手放す住民が増える一方です。このためマンション内の駐車場で「空き」が目立ち始めています。

「駐車場に空きが目立つ」状況の中で、点検業者から「駐車場設備の更新が必要」と言われ、高額な見積り提出があった時点で、駐車場の撤去を検討する管理組合が多いようです。管理組合にとっては、自分たちの大切な財産である駐車場の撤去をおこなうことは重要な事案のため「駐車場の契約状況の推移」や「住人アンケート」などの資料を参考に「駐車場の撤去」が管理組合にとって最善の対策であるか十分に検討する必要があります。

駐車場の解体には、跡地を有効に使えるといったメリットもあるので、解体と合わせて駐車場解体後の平面化スペースのを有効活用方法についてもあわせて検討をおこないましょう

駐車場の外部貸し出しの方法もあるけど。。。

最近では「駐車場の外部貸し」に関する話題も多くなっていますが、駐車場の「外部への有料での貸し出し」は「収益事業」とみなされて課税の対象となるため、積極的な外部への貸し出しもおこなわれていないのが実情です。分譲マンションでの駐車場の貸し出しは管理組合の負担を避けるためにサブリース会社に委託するケースがほとんどですが、その場合には管理組合が受け取れる使用料は駐車料金の3割から4割程度になってしまいます。また、住人以外の第三者が敷地に出入りすることからセキュリティの確保が課題になります。

今後もマンションの駐車場の空きが増加する理由


今後も「若者を中心とした車離れ」や「シェア自動車の発展」「クルマのEV化」が増々進行して、マンション管理組合が、これまでの駐車場の契約台数を維持することは困難でしょう。
現時点で、あまりにも「駐車場の空き率」が高い状況では、将来を見据えて立体機械式駐車場の解体・撤去をおこなって「駐車場の廃止」や「平置き」への変更を検討することには合理的な理由があります。

  1. 少子高齢化や交通利便性の向上といった社会情勢の変化
  2. RVやミニバンが立体機械式駐車場には収納できない
  3. EV充電スタンドなどの電気自動車への対応が遅れている

附置義務により必要以上につくられる駐車場


最近の都市部のマンションの駐車場の主流は機械式駐車場ですが、これは路上での違法駐車が社会問題になっていた時代に行政が駐車場の「附置義務」を設けたからです。附置義務というのは、マンションなどの集合住宅の戸数に応じて一定数以上の駐車場の設置を義務づけるものです。敷地面積が十分に取れない都市型のマンションの場合には機械式立体駐車場によりこの条件をクリアしています。ですから、そもそもマンションの駐車場の数は、駐車場の需要を想定して決められているわけではないということです。

国も機械式駐車場の除去を検討すべきとしている

国土交通省が作成する「長期修繕計画作成ガイドライン」にも以下のような記述があり、駐車区画の空きが続くようであれば機械式駐車場の解体・撤去も検討するべきとされています。

駐車場数が住戸数の 100%未満で、駐車場使用料で駐車場の点検や修繕の費用が賄えないときは、収支計画の見直しが必要となりますが、近隣の駐車場使用料がマンション内よりも低く駐車場使用料の値上げが難しい場合や、駐車場の稼働率の低下が恒常的であり、駐車場使用料収入の改善が見込まれない場合には、機械式駐車場の除却の検討も必要となります。

住宅:マンション管理について - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

立体機械式駐車場の「解体・撤去」及び「平面化」工事


マンションの長期修繕計画では、機械式駐車場の更新費用が莫大な金額で計上されており、いずれはこの費用を捻出するための修繕積立金が足りないといった事態に陥る可能性があります。

こうした事態をさけるため、思い切って機械式駐車場の全部、または一部を解体・撤去してしまうという選択肢があります。機械式駐車場の解体とは、駐車装置を撤去した後に残った地下ピットを、土砂などで埋め戻したり、鋼製の板でフタをすることです。

機械式駐車場を「平面化」するための2つの工法

機械式駐車場の撤去・平面化の主な工法には「土砂による埋戻し」「鋼製平面化工法」があります。この2つの工法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、理事会での検討においては、この2つの工法の特徴について理解しておく必要があります。

■ 鋼製平面工法


「鋼製平面化工法」は機械式駐車場を解体した後の地下ピットのスペースに鉄骨の柱や梁を組立て、その上に鋼製の板を載せて平面化する工法です。構造が軽いため周囲への悪影響を最小限に抑えることができます。また、将来的に駐車場需要が増加した場合には、機械式駐車場を再建することができます。

■ 土砂による埋戻し


「土砂による埋戻し」は機械式駐車場を解体した後の地下ピットを土砂により埋め戻す工法です。埋戻しには大量の土砂が必要なため、地盤の弱い地域やマンション内に駐車場が配置されている場合には、周辺地盤の陥没や建物のクラックといった事故につながる可能性があります。

■「鋼製平面工法」「土砂による埋戻し」のメリット・デメリット

「土砂による埋戻し」は埋め戻しに使用した土砂による重みで、建物や周辺地盤にひび割れや破損の恐れがあることがデメリットです。ただし「土砂による埋戻し」は、施工できる業者が多いため安価で工事ができるメリットがあるため資金が乏しい場合には「土砂による埋戻し」を選択する管理組合もあります。

鋼製平面工法の場合には、埋戻しと比較して多少施工費用が高額になることがデメリットです。メリットは、鋼製平面工法に使用する柱や床材は、機械式駐車場設備と比較して軽量なため建物や周辺地盤に悪影響を及ぼす恐れがありません。また、地下ピットや排水ポンプも維持することから、将来駐車場需要が増加した場合には、比較的容易に再設置することが可能です。

鋼製平面工法土砂による埋戻し
工事費用高い安い
工期短い長い
駐車場の再建ピットを残すため比較的簡単困難
その他建物内でも工事可能地盤の悪い場所は不可

機械式駐車場解体後の平面化スペースの有効活用


機械式駐車場を解体・撤去して得られるメリットに挙げられるのは、まず機械式駐車場設備の「点検費用」や「更新・リニュアル」費用が不要になることです。次に解体後の平面化スペースは、使い勝手に優れる平面駐車場として利用できるほか、様々な用途で活用できます。平面化スペースを「駐輪場」や「備蓄倉庫」に用途変更することで、マンションの限られた敷地の有効活用につながります。

電気自動車用のEV充電スタンドの設置

多くのマンションで共用充電設備が設置されていないために住人が電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車を購入できない事態が生じています。

昨今の新築マンションでは、将来に向けて充電設備があるほうが価値が高まるとの考えもあり、デベロッパーがあらかじめ充電スタンドを設置するケースも増えています。
しかし、後付けで機械式駐車場設備に電気自動車用の充電設備を設置することは技術的に困難です。また、敷地内に充電スタンドを新規設置するにも200Vの電源を引いてこなくてはならないため簡単な工事ではありません。

機械式駐車場の解体して平面化した場合には充電スタンドの設置が容易です。もともと機械式駐車場設備は200Vの電源を引いているために、それを利用することが可能だからです。

機械式駐車場は空きであっても点検費用が掛かる

一昔前はマンションの敷地内の駐車場はとても人気が高く空き待ちが出るほどでした。最近では特に若年層の車離れが進んで特に都市部の駐車場では空きスペースが増えています。契約台数が減ることで管理組合の収入は減少しますが、空き区画であってもメンテナンスのための点検費用がかかることには変わりはありません。そこでメンテナンス費用のかかる機械式駐車場を潰して平置きの駐車場に変更したり、駐輪場や、電気自動車の充電スタンドのスペースとして活用するといった管理組合が増加しています。
マンションの立体機械式駐車場の耐用年数まで、まだまだ余裕があるのになぜ撤去・解体が必要になるのでしょうか?理由として挙げられるのは、よく知られている「車離れによる契約台数の減少」のほか、RVやミニバンなどの車高の高いクルマが人気をよび「収納できる車両サイズに制限」のある立体機械式駐車場が避けられる傾向にあるからです。

立体機械式駐車場を「一部」を解体する方法が主流

すべての立体機械式駐車場を解体するということであれば、管理組合の判断も慎重にならざるを得ません。すでに駐車場を契約している者にとっては非常に影響の大きいことだからです。

立体機械式駐車場を撤去することによってマンションの敷地内に駐車場を確保できないといった事態になれば、敷地外の月極の有料駐車場を管理組合が紹介するなどの対応も必要になります。実際に立体機械式駐車場の解体・撤去をおこなった事例を見ても、敷地内の駐車場の一部を撤去するケースがほとんどです。

マンションの駐車場の全ての解体・撤去は難しい!

仮に敷地内の立体機械式駐車場のすべてを解体・撤去する場合には、以下で説明するように立体機械式駐車場導入に関わる総会の決議要件も「現行の駐車場利用者に特別の影響を与える」ことになり、現行の駐車場利用者からの承諾は不可欠です。

一方で立体機械式駐車場の「一部を解体もしくは平面置き」として引き続き利用できる場合には、駐車場の利用者に特別の影響を与えないため「総会の特別決議(区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成)」を履行すれば問題ないでしょう。

立体機械式駐車場解体の決議要件

マンション立体機械式駐車場の解体・撤去は「共用部分の変更」に該当するため、原則として「総会の特別決議(区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成)」が必要です。争点は、この共用部分の変更が「特別の影響を及ぼすべきとき」に該当するか否かということです。立体機械式駐車場を解体・撤去することで、マンション敷地内から駐車場が全くなくなってしまい駐車場をすでに利用している区分所有者が、マンションの敷地外の代替の駐車場を借りるということであれば「特別の影響を及ぼす」とされ、現行の機械式駐車場利用者の個別の承諾が必要となるでしょう。

この記事のまとめ

立体機械式駐車場を抱えるマンションにとって駐車場の稼働率低下による使用料の減少は頭の痛い問題です。駐車場の契約数が減っても、稼働状況に関わりなく駐車場の保守点検費用は支払い続けなければならないからです。

また将来は莫大な費用が掛かる「駐車場を全面的に入れ替える」リニューアル工事も控えています。立体機械式駐車場を解体・撤去すれば、こうした費用を削減することができます。現在では「駐車場の空きが社会問題化」していることもあってマンションでの駐車場の「附置率の緩和」措置を講じている自治体も増えています。こうした流れを受け今後は「立体機械式駐車場を解体・撤去」をおこなう管理組合も増えてくるでしょう。

もちろん、管理組合で機械式駐車場の解体・撤去を検討した結果、当面は駐車場の撤去は行わないという結論に達することもあるでしょう。この場合には駐車場の使用料を全額管理費会計に入れるのではなく、長期修繕計画に将来の駐車場設備の更新費用を計上した上で、修繕積立金会計にも費用を入れておくことが大切です。

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