【第7章】管理員業務における重大ミスを未然に防ぐ

マンション管理人の教科書管理員向け
編集部

「マンション管理の教科書」は『伝え方を変えれば管理組合に届く』をコンセプトに多くの問題を抱える管理組合に有益な情報提供や魅力的なサービスをつなげるプラットフォームです。

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マンション管理業界未経験で定年退職後に管理人に挑戦する皆さんが、初めてでも安心できるように現場で直面することの多い悩みの解決方法や必要なノウハウなど、管理人として最低限必要な知識をまとめています。

【第1章】マンション管理会社総論
【第2章】管理員に必要な予備知識と心構え
【第3章】マンションから求められている管理人像
【第4章】管理人業務の基本
【第5章】管理員の実務
【第6章】ルール違反者やクレーマーへの対応方法

【第7章】管理員業務における重大ミスを未然に防ぐ

【第8章】管理委託契約書の遵守と契約外事項の対応
【第9章】マンション管理の基礎知識

金銭の紛失を防ぐ

管理会社の大切な役割のひとつとしてマンションの財産を守ることがあげられます。万が一、管理組合の財産を紛失するようなことがあれば金額の大小にかかわらず管理会社が信頼を失うことになります。

  • 会社のルールにしたがって金銭を管理
  • 管理組合と自分のお財布を区別する

現実には、管理人さんがかかわる金銭の紛失は後を絶ちません。残念ながら管理人さんによる横領などの犯罪行為もあります。しかし、ほとんどの場合、管理人さんによる金銭事故はほんの小さな不注意がきっかけになります。

不注意を起こさないために大切なことは会社の「金銭の取り扱いルール」に従うことです。

例えば、管理室で小口現金を運用する場合には備え付けの金庫や施錠できる引き出しで管理することが会社で義務付けられているでしょう。そして、金銭の出し入れの際には所定の用紙に記載するなどのルールが定められていることが一般的です。

また、おつりの小銭が足りないなどの理由でとりあえず自分の財布から出すなど、管理組合と自分のお財布を一緒にする行為は禁止事項です。

個人情報の管理を徹底する

分譲マンションでは「入居者名簿」や「理事会の議事録」など多様な個人情報を扱うことから「個人情報保護法」により個人情報の取扱いのルールが定められています。

また、個人情報保護法に抵触しなくても、マンションにお住まいの方に関する情報は細心の注意をもって管理をしなくてはなりません。

もちろん、管理人さんはマンションの住人に関する情報を外部に漏らさないことが大原則です。

例えば「あの部屋には、どんな方が住んでいるの?」と仲良くなった住人から聞かれることもあります。うっかり「あの方は最近失業していつも家にいるみたいですよ」なんて発言をしたら、マンション内でうわさが広がるのはあっという間です。

また、外部から悪意をもって近づいてくる輩もいます。「すみません、理事長は何号室ですか?」こんなことを聞いてくるスーツ姿の男性には安易に理事長の部屋番号を教えてはいけません。

もしも、管理人さんから理事長の部屋番号を聞いた男性が理事長宅にセールスをおこなえば、理事長から「なんで俺が理事長だって知っている」なんてクレームが管理会社に寄せられるでしょう。

また、管理室は管理人さんだけはなく「管理組合の役員」や「協力会社」など不特定の方が出入りする場所ですので、個人情報につながる書類などを無造作に放置してはいけません。

重要書類は施錠できる書庫や引き出しに保管する他、メモは一冊のノートにまとめて記載して管理室の施錠できる場所に保管して帰宅するようにします。

管理室には不特定多数の方が出入りすることを念頭において書類の管理をおこないましょう。また、帰宅の際には管理室の窓から個人につながる情報が覗かれないか必ずチェックをする癖をつけましょう。

共用部の鍵の紛失に注意

マンションの共用部には「エントランス」「ポンプ室」「屋上」など、各部位に驚くほどたくさんの鍵が備え付けられています。

当然、管理会社ごとに共用部分の鍵の取り扱いに関する厳格なルールが定められているはずです。例えば、管理人さんには鍵を紛失しないように鍵とベルトを結ぶロープの着用が義務付けられているケースも多いでしょう。

仮に、管理人さんがこうしたルールを破って、万が一鍵を紛失してしまったら鍵を複製しておわりというわけにはいきません。

紛失した鍵を犯罪者が拾って、マンション内に侵入を試みる可能性だって否定できません。

管理会社が費用を負担して、鍵だけではなく対応する複数のシリンダーを交換しなければならないこともあり得ます。この場合には相当な費用が必要になるほか、管理会社が失う信頼は大変なものです。

万が一、紛失に気がついた場合には、落とした鍵が原因で盗難や事件がおきるなどの被害が拡大しないように、物件担当者や上司、コールセンター等に速やかに報告するようにします。

管理室での重要書類の保管

マンション内には「管理組合」と「管理会社」所有の物品があります。当然ながら管理組合所有の物品を管理人さんの判断で勝手に廃棄してはいけません。

特に管理人さんが大切に管理すべきものは「竣工図書」や「総会の議事録の原本」など、管理室に保管してある管理組合の重要書類です。こうした書類は管理組合の財産ですので、整理整頓が大好きな管理人さんであっても管理人さんの判断で勝手に捨てることは厳禁です。

重要書類の中には保管期限が定められているものもありますので、どうしても管理室の書庫に収まりきれないといった事情がある場合には、その取り扱いについて必ず物件担当者の指示を仰ぐ必要があります。

ミスしたときは早急に報告

  • 人間だからミスは仕方がない
  • ミスした後の対応が重要

どんなに管理人さんが優秀であっても管理人の仕事に失敗はつきものです。よくある失敗例としては天井の照明を交換する際のカバーの破損や、管理室の電気を消さないで帰宅してしまったなどがあげられます。

管理人さんだって人間ですから失敗することだってあります。

重要なことは、ミスをした後に正直に報告することです。ミスをしたことが必ずしもマイナス評価につながるとは限りません。理事長に速やかに報告すれば「正直な管理会社」として信頼度が向上することだってあり得ます。

管理人さんがミスに気づいたらまずは、物件担当者に報告をしましょう。もちろん、同じミスを繰り返さないように業務のやり方を改善することも重要なことです。