【第1章】マンション管理会社総論

マンション管理人の教科書管理員向け
編集部

「マンション管理の教科書」は『伝え方を変えれば管理組合に届く』をコンセプトに多くの問題を抱える管理組合に有益な情報提供や魅力的なサービスをつなげるプラットフォームです。

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マンション管理業界未経験で定年退職後に管理人に挑戦する皆さんが、初めてでも安心できるように現場で直面することの多い悩みの解決方法や必要なノウハウなど、管理人として最低限必要な知識をまとめています。

【第1章】マンション管理会社総論

【第2章】管理員に必要な予備知識と心構え
【第3章】マンションから求められている管理人像
【第4章】管理人業務の基本
【第5章】管理員の実務
【第6章】ルール違反者やクレーマーへの対応方法
【第7章】管理員業務における重大ミスを未然に防ぐ
【第8章】管理委託契約書の遵守と契約外事項の対応
【第9章】マンション管理の基礎知識

管理会社の置かれている現状

  • 管理会社の担当者の対応が遅い
  • 管理費などの滞納者が増えた
  • 管理人さんの住人への愛想が悪い

こうした、住人のほんの小さな不満が、いずれは感情的な問題につながりマンション全体に悪いうわさが伝染していきます。それが「やり手の理事」や「マンション管理士」に伝わることで結果として「管理委託費の減額」「管理会社の変更」など管理会社にとっては残念な結果になります。

ウェブサイトや週刊誌に書かれている「管理会社のネガティブな情報」をうのみにした住人が、管理会社の「業務の質」や「コスト」に目を光らせています。

また、ウェブサイトで積極的に宣伝をおこなう管理費削減専門のコンサルティング会社やマンション管理士事務所の影響も大きいでしょう。

このようにマンション管理業界は決して安泰ではありません。だまっていても管理を継続できる時代は過ぎ去りました。マンション管理業者は生き残りのために「企業買収」「合併」などにより業界再編をおこなっている最中です。ある程度の企業規模や、他社との差別化が図れなければ生き残っていけません。

マンション管理会社の使命

  1. 資産価値を守る
  2. 住人の安全を守る

管理会社がマンションから求められている重要な使命はこの2つです。管理会社はこの2つを確実におこなってはじめて最低限の仕事をこなしたことになります。昨今流行っている管理会社の「専有部サービス」などの付加価値は、この2つがしっかりと守られた上で取り組むべきものです。

[1] 資産価値を守る

管理会社が取り組むべきマンションの資産価値とは、管理費や修繕積立金などの管理組合の財産を守り、建物の維持管理を適切におこなうことです。

  • 管理組合の財産の管理
  • 建物や設備の維持管理

管理人さんの業務でいえば、住人から不用意に金品を預からないことや管理室で運用する小口現金を施錠して保管するなど財産管理を適切におこなうことです。

また、建物や設備などの不具合を見つけた場合には速やかに会社に報告をおこない改善の提案を管理組合におこなうことが大切です。

[2] 住人の安全を守る

昨今の大震災では、あらためて自然災害の恐ろしさを痛感しました。

一方でマンションに関していえば「現行の耐震基準」をクリアしていれば、一戸建てに比較して建物自体は頑強であることが証明されました。

そして、日常から住人のコミュニケーションが良好なマンションほど復興、復旧が早かったことからもマンション内の「コミュニティ」が不可欠であることがわかりました。

管理会社はマンション内の「コミュニティ」をつくるためのお手伝いをすることも大切な使命です。

管理員への期待と現実

管理会社は生き残りのために、さまざまな方法で「居住者満足度の向上」を目指しています。管理人さんに対する研修制度もそのひとつです。

マンションの現場では住人から「隣人との騒音問題」や「生活上の苦情」といったマンション生活に関連する多くの問題が管理人さんのところに持ち込まれます。このときの管理人さんの居住者対応が管理会社の評価を大きく左右するため、管理人さんは顧客満足度を向上するための重要な役割を担っています。

このように、管理人さんは管理会社にとって大切な役割を担う欠かせない人材であり、それだけやりがいのある立場といえます。

一方で、管理人さんは日常業務において重圧を受けることも確かです。なぜならば、管理人さんは管理会社の社員であるにもかかわらず、職場である担当マンションではひとりぼっちなためストレスを解消する手段が少ないからです。

管理人さんにとっては担当マンションが職場となり、そこで暮らす住人が顧客です。常にたくさんの顧客に接しながら相談できる同僚は側にいません。

また、イレギュラーに起こる「設備のトラブル」や「住人からのクレーム」に臨機応変に対応するのは簡単なことではありません。

このように、管理員業務は決まったことだけを黙々とやれば良いといった簡単な仕事ではありません。

管理員は防災対策の切り札

大震災の発生時に最も頼りになる存在が管理人さんです。管理会社の社員は一部の大規模マンションを除き管理人さん以外に現地に常駐していません。

管理会社は数多くのマンションを管理している上に災害発生時には彼ら自身も被災者になるため、いざというときに会社から管理マンションに駆けつけることは期待できないでしょう。

このように、自然災害発生時には管理人さんが管理会社の代表としてマンションの住人の安全を守るという心構えと準備が必要になります。