マンションや共同住宅での暮らしというと「ご近所付き合いが煩わしい」と感じる方が多いようです。しかし昨今では、住人の高齢化や震災などの影響で、コミュニティの大切さが見直されています。共同生活の中で挨拶が気持ちよく交わされる関係。そして、いざというときに頼れる専門家がいる。そんな新しい暮らしのかたちが求められています。

理事会だけでは対応できない場合には専門委員会の設置を検討しよう

マンション管理の仕事は多岐にわたりますので、理事会だけでは対応できない場面もあります。そこで、専門委員会を設置することがあります。そこで今回は専門委員会の必要性について学んでいきます。

専門委員会の必要性とは

戸建てにお住まいの方は、建物の管理の方法や過程でのルールは所有者自身が自由に決められます。一方で分譲マンションの場合は、区分所有者全員で維持管理のための役割分担やルールを定めていかなかえればなりません。こうした役割を担うのが理事会です。

しかし、マンション管理の業務範囲は、非常に広範にわたりますので、理事会だけではすべての案件に対応することは困難です。そこで、専門知識が必要だったり、長期に渡って取り組む必要がある場合などには、必要に応じて専門委員会や部会が設置されることがあります。

管理組合での専門委員会設置の有無

マンションでの専門委員会の設置の有無

平成25年度マンション総合調査│マンションでの専門委員会の設置の有無

平成25年度マンション総合調査によると、マンション管理組合で専門委員会を設置していいる割合は30.3%となっています。マンション管理の業務範囲は多岐にわたり場合によっては専門知識も要求されるため、理事会だけで対応するのは難しいこともあります。
このような場合に考えたいのが専門委員会の設置です。ただし、専門委員会はあくまでも理事会の下部組織ですので、最終的な責任は理事会にあります。専門委員会の活動報告は、定期的に理事会におこない、最終的な方針を決定するのは理事会の役割です。

 

管理組合で設置している専門委員会の種類

マンションの専門委員会の種類

平成25年度マンション総合調査│設置している専門委員会の種類

マンション管理組合で設置している専門委員会の種類についてみると「大規模修籍や長期修籍計画に関する委員会」が83.4%と最も多く、つぎに「規約・細則の制定や見直しに関する委員会」が19.2%となっています。

専門委員会の設置

標準管理規約では、理事会の責任と範囲内において、専門委員会を設置することが明記されていますので理事会決議で専門委員会の設置が可能です。

ただし、コメントでは、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合等では総会の決議が必要と定められていますので、こうした場合にあてはまらなくても、周知もかねて、総会に諮って専門委員会を設立したほうが後々問題になるリスクを避けることができるでしょう。

標準管理規約
第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。

コメント第55条関係
第55条関係
① 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる。
② 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる。

総括

専門委員会を設置する意義としては、例えば、大規模修繕工事を実施する場合を考えてみると、構想から工事実施まで、必要な工事内容の調査・診断、区分所有者全員への情報提供、意識付け、工事施工者の選定、工事実施等と2~3年要するとともに、その内容は専門的です。

そして、理事会は管理組合の通常業務だけでも多忙な状況にあり、輪番制で1年ないし2年で交替するのが一般的ですので、大規模修繕工事のような長期的なプロジェクトを遂行するにはその継続性に難があります。

また、区分所有者の中に大規模修繕工事をその分野に詳しい人がいても実施する時期に必ずしも理事に就任しているとは限りません。こうした理由から、大規模修繕工事の実施に関する実務を円滑に進めるためには専門委員会を設置して、知識や興味のある方、他の管理組合業務に忙殺されることなく、継続的に従事することが有効であると考えられます。

マンション管理をめぐる問題やトラブルの多くは、建物や設備等のハードの他、居住形態による利害関係の複雑さがその背景にあります。これらの問題に適切に対応するのに管理組合の理事だけでは負担が重すぎる場合には、管理組合内に専門委員会を設置する他、マンション管理士等の外部の専門家の活用を検討するのも良い方法でしょう。