大規模修繕の前に「調査・診断」をおこなって無駄な工事を避けるようにしよう!

大規模修繕の前には「調査・診断」で無駄な工事を避け管理組合向け
管理組合向け
長期修繕計画で定めた大規模修繕の周期は、あくまでも実施時期の目安に過ぎません。実際に管理組合で工事の要否を検討するにあたっては、建物の「調査・診断」をおこなって建物・設備等の劣化状況を把握しておく必要があります。一般的には、長期修繕計画で定めた工事の実施時期の1~2年程度前に、専門家による劣化診断を実施して工事の必要性の判断材料とします。建物の「調査・診断」は工事を実施する上で重要な根拠となるものですから、公正な立場の専門家に発注・依頼することが大切です。

建物の「劣化診断」で建物の状態を把握することから始める

理事会や修繕委員会で、大規模修繕工事を「いつ、どこを実施するか?」の判断は非常に困難で、往々にして過剰修繕につながります。そのようなことを防ぐためには、大規模修繕(外壁修繕や屋上防水)など多額な費用を要する工事では、事前に建物や設備の「診断・調査」をおこなって、実施の必要性を判断するようにします。多額の費用の掛かる大規模修繕の前に建物の調査・診断を実施することによって、経済的に修繕をおこなうことが可能となるのです。

長期修繕計画は目安にすぎない

長期修繕計画で定めた修繕周期は、あくまで各部位の修繕サイクルの目安に過ぎません。実際の工事にあたっては、それぞれの部位の状況や、管理組合の予算など他の事情も考慮しなくてはなりません。つまり長期修繕計画で修繕工事の実施時期が到来してもマンションの状況によっては、実施を延期するといった判断もあり得るということです。

専門家による「調査・診断」が必要な理由

大規模修繕工事の前に実施する「調査・診断」では、建物の「劣化診断」をおこなって、「早急な修繕が必要であるか?」を判断します。「調査・診断」の結果、仮に、早期の修繕が必要とされた場合には、「調査診断報告書」は実際に工事をおこなう際の「修繕設計書」を作成するにあたっての基礎資料となります。

専門家による劣化診断の方法

専門家による劣化診断では、専用の診断機器を使い科学的に検査をおこないます。建築関係ではコンクリートの中性化深度を測定するための「中性化試験」、そして、外壁の「塗膜付着力試験」などをおこないます。

誰に「調査・診断」を発注・依頼する?

「調査・診断」業務は、専門的な知識が必要で、自分たちでおこなうことは難しいため専門の会社に依頼する必要があります。「どの会社に調査を発注するか?」の検討にあたっては、業者が「高度な知識」や「実績」を有していることがポイントになるのは言うまでもありません。

次に、施工を予定している会社とは別に選ぶのが望ましいと言えるでしょう。なぜなら、診断結果は大規模修繕工事の実施をおこなうにあたっての根拠になるので、公正で客観的な調査・診断結果を得られることが大前提になるからです。

仮に、大規模修繕工事の施工会社に依頼すれば、工事の実施を前提とした結論が用意されていることが多いため、お勧めできません。

劣化診断の実施状況

平成30年度の国土交通省の調査結果では、大規模修繕工事を実施するにあたって「建物の各部の劣化状況の調査・診断を実施した」が49.1%となっています。「調査・診断と、区分所有者に対するアンケート調査、両方とも実施した」が41.0%となっています。両方を合計すれば、大多数のマンションでは、大規模修繕工事の前に劣化状況の「調査・診断」を実施していることになります。

この記事のまとめ

管理組合が大規模修繕を企画する際には、事前に建物や設備機器等の劣化状況を把握して、工事実施の必要性を検討することから始めます。

そこで、長期修繕計画で「大規模修繕」の実施時期の1~2年前になったら、専門家に「調査・診断」を依頼しましょう。こうした本格的な「調査・診断」を、わざわざ費用をかけておこなうのは、修繕の要否の判定だけではなく、提案理由を裏づける根拠となるので、大規模修繕を成功(=合意形成)に導くための大切なプロセスとして必要だからです。

それなりのコストが掛かっても、事前調査をすることは、工事の出発点として重要な過程の一つです、もちろん、修繕工事の要否の決定は、専門家に任せ放しにするのではなく、「調査・診断」の結果を基に、管理組合の中で、理事会や修繕委員会が中心となって検討を進めることになります。

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編集部

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