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管理委託契約書が標準管理委託契約書より不利な条件でないかをチェック


マンション標準管理委託契約書と比較チェック

マンションの「管理組合」と「管理会社」が結ぶ「管理委託契約書」は、通常、国土交通省が示す「標準管理委託契約書」をもとに作られています。しかし中には、標準とは大きく異なり、管理組合にとって不利な契約内容となっているケースもあります。この記事では、理事の方でも簡単にチェックできる「管理委託契約書」の基本的な確認ポイントについて学んでいきます。

マンション標準管理委託契約書とは?

「標準管理委託契約書」とは、国土交通省が作成・公表している、分譲マンションにおける管理業務の委託契約の雛形です。管理組合の知識不足によって不利な契約が結ばれないようにする目的があります。

多くの管理会社ではこの雛形をベースに契約書を作成し、個々のマンションの実情に合わせて加筆修正しています。ただし、契約内容のすべてが標準に準拠しているとは限らないため、理事会としても一定のチェックが必要です。

標準管理委託契約書における重要条項

契約書の内容が「標準」と比べてどうなっているかを見るうえで、次の4つのチェックポイントが特に重要です。

チェック項目内容
チェック1:解除に関する記載契約違反があった場合に解除できる条項の有無。損害賠償の請求が可能かも確認。
チェック2:契約の解約に関する記載解約の申入れ期限が標準より長く設定されていないかを確認(標準は3か月前)。
チェック3:滞納者への督促管理費滞納者への督促期間が極端に短く設定されていないかをチェック。
チェック4:緊急時対応地域性や設備特性に応じた具体的な対応内容が記載されているか。

チェック項目の具体例と解説

【チェック1】解除に関する記載

標準契約書では、第18条に解除の要件が明記されています。例えば、義務違反があった場合や破産などの状況が生じたときに契約を解除できる規定です。このような解除条件や損害賠償請求の記載が抜けていないかを確認しましょう。

【チェック2】契約の解約に関する記載

標準契約では3か月前の通知により解約可能とされています。これよりも期間が長く設定されていれば、管理組合が解約しづらくなるため注意が必要です。

【チェック3】管理費等滞納者に対する督促

滞納者への対応について、標準契約では「○か月間督促を実施し、支払いがなければ業務を終了」となっています。この督促期間が過度に短い場合、十分な対応がなされず滞納金が回収困難になる恐れがあります。

【チェック4】緊急時の対応に関する記載

緊急対応業務では、地震や火災、漏水などが発生した際に管理会社が即時対応できるよう、「事前承認なしで対応可」とする規定があります。実際には、マンションの立地や設備の状況を踏まえて、必要に応じて項目を追加しておくことが望ましいです。

契約内容の確認と理解の重要性

平成30年度のマンション総合調査によると、全国の約94.6%のマンションが標準契約書に「概ね準拠」して契約を締結しているとされています。それでも、内容が一部改変されていたり、実際の業務が契約通りに行われていなかったりすることもあるため、理事会として契約の中身をしっかりと理解することが大切です。

また、住民の理解を深めるためには、重要事項説明会などで契約内容を共有することも効果的です。

まとめ

今回は、マンション管理組合と管理会社が締結する「管理委託契約書」について理事でも容易に確認できるチェック項目について説明をしてきました。しかし、実際には「管理委託契約書」の内容は複雑で、マンション管理の知識の乏しい理事がその内容を精査することは簡単ではありません。管理組合にとって不利な契約(管理会社にとって有利な契約)を締結しないように、コストの問題はありますが、マンション管理士等のコンサルタントを顧問として活用することも有効な方法です。

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