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マンション管理組合が管理室等で保管する重要資料の保管・保存期間


マンション管理組合の書類の保管期間

マンション管理組合の理事会において、書類の適切な保管は重要な業務の一つです。書類の量が年々増加する中、どの書類をどれだけの期間保管すべきかを明確にすることは、効率的な管理とトラブルの予防につながります。この記事では、管理組合が保管すべき書類の種類とその保存期間について、最新情報をもとに解説していきます。


書類の保存期間に関する基本的な考え方

マンション管理組合が保管すべき書類の保存期間について、法令で明確に定められているものは少なく、多くは管理組合の判断に委ねられています。

ただし、区分所有法では、管理者に対して管理規約や総会議事録等の保管義務があることが定められています(第33条第1項、第42条第5項、第45条第4項)。これらの書類は、組合運営の根幹に関わるため、永久保存が望ましいとされています。

一方で、その他の書類については、管理組合の実情に応じて保存期間を定めることが推奨されています。東京都やマンション管理業協会などが提示するガイドラインを参考にすることで、実務的にも無理のない運用が可能です。


書類別の保存期間の目安

以下は、東京都都市整備局「マンション管理ガイドブック」および一般社団法人マンション管理業協会のQA情報に基づいて整理した書類別の保存期間の目安です。

分類書類名保存期間備考
会計関連収支決算書・事業報告書永久決算承認後
収支予算書・事業計画書永久決算承認後
監査報告書永久決算承認後
現金・預金出納帳10年決算承認後
領収書・請求書10年決算承認後
預金通帳(非使用分含む)永久
什器備品台帳永久最新分のみ
金融機関届出印(非使用分)5年非使用後
工事関連計画修繕契約書・見積書・履歴・完了届・保証書永久
長期修繕計画書永久過去分含む
小修繕の発注書・請書・完了届10年
総会・理事会関連総会・理事会の議案書・議事録永久
総会の出席票・委任状・議決権行使書10年
理事会の引継書永久
建物・設備管理関連設計図書・建築確認通知書永久建築基準法関連資料含む
建物・設備点検等契約書・報告書10年契約期間満了後
管理費等滞納関連滞納状況・督促履歴10年債権回収後
管理業者関連年次報告書・月次報告書永久管理会社提出資料
管理委託契約書・重要事項説明書10年契約終了後
管理規約関連管理規約・細則原本永久改定履歴含む
契約関連駐車場等の使用契約書5年契約終了後
近隣等との協定書永久
保険証券永久満期分含む
名簿関連組合員名簿(最新分)永久
組合員等異動届5年所有権異動後
訴訟関連訴訟書類(訴状・判決書など)永久
売主関連売買契約書・アフターサービス基準・重説永久
その他誓約書1年退居後
専有部分修繕申請書等永久管理記録として

出典:

  • 東京都都市整備局「マンション管理ガイドブック」
  • 一般社団法人マンション管理業協会「管理組合の議事録等の書類が多くなってきたので文書整理したいと考えていますが、これらの文書の保存期間について定めたものがありますか。」(https://www.kanrikyo.or.jp/)

電子化による効率的な保管も検討を

保管スペースの制約がある小規模マンションなどでは、電子保存(スキャニングによるPDF化など)を活用した文書管理も有効です。2022年1月施行の「電子帳簿保存法」の改正により、一定の条件を満たせば帳票等の電子保存が可能となりました。

管理規約の電子化に際しては、改定のうえ電磁的記録による保存が認められる旨を明記し、クラウドストレージなど信頼性の高いシステムを利用することで、紛失や改ざんのリスクを軽減できます。


まとめ

マンション管理組合の重要書類は、管理運営の証跡としての役割を果たすため、書類ごとに適切な保管期間を設定し、厳重に保管することが求められます。特に、総会議事録や修繕記録、管理規約などの基幹的文書は永久保存が原則です。一方、日常的な帳票類や通知書などについては、保存期間を明確に区切ることで保管スペースの確保と管理の効率化が可能になります。スペースや人的資源の制約がある場合には、電子化による合理的な保管方法も活用しながら、理事会でのルール化を進めていきましょう。今後のトラブル予防やスムーズな引き継ぎにもつながる、堅実な情報管理が信頼される管理組合運営の第一歩です。

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