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マンションの防火管理者に報酬を支払うなら?「防火管理者に関する細則」の雛形を公開


マンションの防火管理者に報酬手当を支払う場合の「防火管理者に関する細則(雛形)」の例

マンションにおける防火管理者は、消防計画の作成や訓練の実施など、住民の命を守るための重要な役割を担っています。しかし現実には、「名前だけの選任」で実務が伴っていないケースも少なくありません。報酬や講習費を支払う場合には、きちんとしたルール整備が必要です。この記事では、防火管理者の役割や報酬の取り決めを明確にするために活用できる細則の雛形をご紹介します。


「防火管理者に関する細則」雛形

以下に、実際のマンションで活用されている細則の全文をご紹介します。報酬額や業務内容、講習費の扱いなども含まれており、すぐに使える実践的な内容となっています。各マンションの実情に応じて調整してお使いください。


〇〇マンション
防火管理者に関する細則
この細則(以下「本細則」といいます)は、〇〇マンション管理規約(以下「管理規約」といいます)第18条(使用細則)の規定に基づき、防火管理者業務について必要な事項を定めることを目的とします。

(趣旨)
第1条 本細則は、管理規約第32条(業務)第14号及び消防法第8条第12項に基づき、〇〇マンション管理組合の安全を確保するために防火管理業務について定めます。

(防火管理者の任命)
第2条 防火管理者の任命は、次の各号に掲げるものとします。
1)理事長は防火管理者の資格を有する理事を防火管理者に任命する。
2)理事長は毎年、理事の中から適任者に講習を受講させ、防火管理者として必要な資格を取得させるものとする。
3)理事長は理事以外の有資格者の組合員を本人の同意を得て防火管理者に任命することができる。
4)防火管理者の任期は1年とする。再任は妨げない。

(防火管理者の報酬等)
第3条 消防訓練等消防計画の実施に要する費用及び前条2号の場合の講習参加諸費用等は、管理組合の管理費より支払うほか、防火管理者としての活動に応ずる以下の報酬の支払いを受けることができる。

報酬(年額) 30,000円

(防火管理者の業務)
第4条 防火管理者は、理事会及び管理委託会社と協力し次の各号に掲げる業務を行う。
1)居住者に対する消防訓練の実施
2)消防計画の作成及び届け出
3)居住者への火災予防対策及び火災発生時に行うべき行動の呼び掛け
4)共用部分における消防用設備等の点検及び維持管理
5)共用部分の専用使用部分であるベランダでの避難経路確保のための監督
6)居住者に対する消防訓練参加の呼びかけ
7)消防署から配布された広報誌等の回覧及び管理
8)その他、防火管理に関し必要な事項

(消防訓練の実施)
第5条 防火管理者は、理事会及び管理委託会社と協力し消防訓練を行う。
1)消防訓練は、毎年1回以上実施する。
2)居住者に対して、消防訓練に積極的に参加するように呼びかけを行う。

(細則の改廃)
第6条 この細則の変更又は廃止は、総会の決議を経なければならない。但し、この細則の変更が規約の変更を必要とする事項であるときは、規約の変更を経なければ、することができない。

(細則原本)
第7条 この細則を証するため、理事長及び理事長の指名する2名の区分所有者が記名押印した細則を1通作成し、これを細則原本とする。
2 細則原本は、理事長が管理組合の事務所において保管し、区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、これを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
3 理事長は、所定の掲示場所に、細則原本の保管場所を掲示しなければならない。

附 則
この細則は、令和〇年◯月◯日(総会決議日)より効力を発する。


細則導入におけるポイントと注意点

この細則を管理組合で導入する際は、以下のような点を踏まえて検討を進めることが重要です。

ポイント解説
報酬の金額管理費の状況や業務負担に応じて適切に設定しましょう。
任命の透明性理事会や総会での承認を経ることで、合意形成がしやすくなります。
決議方法の確認管理規約に関わる場合は、通常の普通決議ではなく特別決議が必要なケースもあります。

まとめ

防火管理者の選任や報酬の支払いを明文化する「防火管理者に関する細則」は、マンションの安全を守るための基本的な仕組みの一つです。とくに報酬や講習費を支出する場合には、管理組合としての合意形成とルール整備が欠かせません。本記事でご紹介した雛形は、すぐに使える実用的な内容となっています。ぜひ自分たちのマンションの実情にあわせて調整し、防火管理の取り組みを円滑に進めるための手段としてお役立てください。

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