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エレベーター保守点検費用の「相場」と「メーカー系・独立系」メンテナンス会社の違い


マンションのエレベーター保守管理

分譲マンションにとって、エレベーターは日常生活に欠かせない重要な共用設備です。最近では、管理費の見直しやコスト削減を目的に、エレベーターの保守点検業者を見直す管理組合も増えてきました。特に、「メーカー系」から「独立系」への切り替えや、「フルメンテナンス契約」と「POG契約」の違いが注目されています。この記事では、エレベーターの点検制度や契約形態、費用の目安、防災対策まで、マンションでのエレベーター管理に関する重要なポイントを解説します。

1階住戸はエレベーター費用を負担しなくていい?

答えは「No」です。区分所有法では、共用部分の費用は持分割合に応じて負担することが原則とされています。使用頻度の差に関係なく、すべての区分所有者が公平に負担します。

法定点検と日常点検の違い

点検種別頻度実施主体内容
法定点検年1回有資格者建築基準法第12条に基づく検査。行政報告が必要。
日常点検月1回目安保守会社使用状況に応じて調整。リモート点検の導入も進行中。

点検の頻度を減らすことでコスト削減が可能ですが、安全性を最優先に考える必要があります。
過去のエレベーター事故の教訓を踏まえ、点検の質と回数を軽視しないことが重要です。

契約形態の違い:「POG契約」と「フルメンテナンス契約」

契約形態内容費用相場(メーカー系)費用相場(独立系)
POG契約消耗品の交換・注油などは含むが、部品交換は別料金月額3~5万円月額2~3万円
フルメンテナンス契約部品交換や修理も含めた定額契約月額4~6万円月額3~4万円

築浅マンションではPOG契約でのコスト削減が可能ですが、経年とともに故障が増えるため、築古マンションではフルメンテナンス契約が安心です。

「メーカー系」と「独立系」の違い

項目メーカー系独立系
所属三菱・日立・東芝などの系列会社メーカー非系列の専門会社
特徴純正部品・技術力に安心感がある最大30%のコスト削減が可能
代表企業三菱ビルテクノ、日立ビルシステムなどSECエレベーター、ジャパンエレベーターなど

独立系業者は複数メーカーに対応し、価格交渉の余地も大きいため、コスト重視のマンションにとって有力な選択肢となります。

メンテナンス会社選定の注意点

国土交通省の「昇降機の適切な維持管理に関する指針」では、価格だけでなく、技術力・実績など総合的な評価が推奨されています。
安さだけで判断せず、住民の安心・安全を第一に考えた選定が必要です。

既存不適格とは?改修の判断基準

既存不適格とは、建築当時の法令には適合していても、法改正後の基準に適合しない状態を指します。
即座に使用不可になるわけではありませんが、安全性向上の観点から改修を検討することが望ましいとされています。

地震時の対応と備え

地震時に閉じ込められた場合の対策:

  • 揺れを感じたらすべての階のボタンを押す
  • 無理な脱出はせず、インターホンで外部と連絡
  • 非常照明が作動するので冷静に対応
  • 簡易トイレや水、ラジオなどの備蓄キャビネットの設置も検討

救急搬送に備えたトランクルームとEMTR鍵

マンションのエレベーターには、ストレッチャー対応のトランクルーム機能が付いている場合があります。
これを利用するにはEMTRという全国共通鍵が必要です。

  • EMTR鍵の交換費用:約4万円
  • 未交換の物件では、管理会社を通じて早めの対応を

まとめ

マンションにおけるエレベーター設備の維持管理は、安全性とコストのバランスを見極めることが鍵です。法定点検と日常点検の違いや、契約形態(POG契約・フルメンテナンス契約)による費用の差を理解し、自身のマンションの状況に適した形態を選ぶことが重要です。また、「メーカー系」と「独立系」では価格差だけでなく対応範囲や技術面も異なります。防災面では備蓄やEMTR鍵などの整備も欠かせません。理事会や管理組合では、安さだけにとらわれず、住民の安心・安全を守るために信頼できる業者選定と長期的な維持管理の方針策定が求められます。

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