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理事(役員)の引継ぎに必要な3つの項目「物品」「業務」「懸案事項」


マンションの理事の引継ぎ

マンションの理事は通常、輪番制で任期が限られており、毎年全員が交代することも珍しくありません。そのため、理事会での取り組みや懸案事項が引き継がれず、運営の継続性が損なわれてしまうことも。この記事では、スムーズな理事会運営のために欠かせない「引継ぎ」の重要性について学んでいきます。

理事会の引継ぎで必要な内容

理事が交代する通常総会の前後には、次期の役員候補者に理事会へ出席してもらい、顔合わせを兼ねた引継ぎを行うのが理想です。引継ぎ内容は、大きく以下の3つに分けられます。

【引継ぎ1】重要書類や鍵などの物品

通帳や印鑑、会計書類、契約書など、管理組合が保有する重要な物品の引継ぎには、チェックリストの作成がおすすめです。名称、保管者、保管場所を明記しておくと、紛失やトラブルを防ぐことができます。

分類主な引継ぎ対象
会計関連預金通帳、印鑑、収支決算書、請求書・領収書
工事関連長期修繕計画書、修繕履歴、契約書
会議関連総会・理事会議事録、議案書
建物管理関連設計図書、点検報告書、管理契約書
管理規約関連管理規約原本、使用細則、使用契約書
名簿関連組合員名簿、変更届
その他売買契約書、修繕申請書等

【引継ぎ2】理事会や役員の業務内容

役職ごとの担当業務や、理事会の進め方、明文化されていないルールなども丁寧に引き継ぐ必要があります。次期理事が不安を抱えずに業務を始められるよう、できる限り情報を共有しましょう。

  • 各理事の担当業務とその内容
  • 次年度以降の予定事業の計画
  • 理事会運営に関する慣習(例:集会所の使用ルールなど)

【引継ぎ3】管理組合の懸案事項等

継続中の案件や未解決の課題も、しっかりと次期理事に伝えることが大切です。中でも、口頭での引継ぎが効果的なケースもあるため、可能であれば対面での申し送りを。

  • 総会決議されたが未処理の事項
  • 組合員からの苦情・要望
  • 管理会社・売主などとの協議内容
  • 大規模修繕や長期計画の進捗状況

理事(役員)の引き継ぎの必要性

多くのマンションの管理規約には、引継ぎに関する明確な定めがありません。しかし、管理組合の運営の継続性を確保するためには、書類や懸案事項の引継ぎは不可欠です。引継書を作成し、文書で記録を残すのが基本ですが、住民同士のトラブルのように書面に適さない内容は口頭で丁寧に伝える配慮も必要です。

そのためには、理事の交代前に次期理事を理事会に招いて引継ぎを行うか、交代後に引継ぎ理事会を開催しましょう。引継ぎが不十分だと、たちまち管理組合の運営に支障をきたします。

まとめ

理事会の引継ぎでは、重要な物品の受け渡しに加え、未解決の案件や管理会社とのやり取りなど、管理組合の継続的な運営に必要な情報をしっかり伝えることが欠かせません。特に、理事任期をまたいで進行する問題や、ルール化されていない運営慣習の共有は、新しい理事会のスムーズなスタートを支える大切な要素です。管理会社に任せきりになっている場合でも、管理人やフロント担当者が交代することはよくあるため、やはり理事同士の引継ぎが非常に重要です。理事の任期は単なるゴールではなく、「次へつなぐ」スタート地点でもあるのです。

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