UPDATE|2024年標準管理規約改正にも対応した議案書ガイド
マンション管理組合の総会議案書とは何かから、必ず必要な5つの必須議案、書き方の基本、サンプル文面、テンプレートの活用方法まで網羅解説。2024年6月7日に国土交通省が改正・公表した標準管理規約による電磁的方法(WEB総会・書面決議)への対応も整理しています。新任理事の方も安心してご参考いただけます。
マンション管理組合の総会議案書は、年に一度の通常総会を開催するうえで欠かせない最重要書類です。区分所有法や管理規約で定められた必須議案を網羅していないと、理事会の責任が問われる可能性もあり、適切な作成・配布が求められます。
本記事では、議案書とは何か、必ず必要な5つの必須議案、議案書の書き方、サンプル文面、2024年6月の標準管理規約改正・公表による電磁的方法への対応まで、新任理事の方にもわかりやすく整理します。
こんな方におすすめの記事です
- 初めて総会議案書を作成する新任理事・理事長
- 議案書のテンプレートや書き方の例を探している方
- 管理会社の作成した原案を理事会で精査したい方
- 2024年改正後の電磁的方法による決議に対応したい理事会
議案書とは|総会で議決する事項を記載した最重要書類
総会議案書とは、マンション管理組合の総会で議決する事項を整理して区分所有者に事前配布する書類のことです。区分所有法や標準管理規約には「議案書」という言葉自体は出てきませんが、大多数の管理組合では総会の議案が記載された書類を「総会議案書」という名称で作成・配布しています。
議案書には「区分所有法」や「管理規約」で必ず議案とすべき項目のほか、管理組合の事情により追加される議案が記載されます。様式については特に定めがないため、原案の作成を担当する管理会社の雛形であったり、管理組合の慣例に合わせて作成されることが一般的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式な法令上の名称 | なし(区分所有法・標準管理規約には「議案書」の文言なし) |
| 実務上の呼称 | 総会議案書、議案書、総会資料 |
| 作成義務 | 議案を事前通知する義務はあるが、議案書の様式は自由 |
| 配布タイミング | 総会開催の2週間前まで(標準管理規約第43条第1項) |
| 主な作成者 | 管理会社(原案作成)→ 理事会(協議・修正)→ 理事長(最終確認) |
議案書は、総会当日の議論の出発点となる重要書類です。議案書の良し悪しが、マンション管理の質や住民の満足度に大きな影響を与えるため、理事会で十分協議をおこなった上で作成することが望まれます。
通常総会で必要な5つの必須議案|法令根拠付き
年に一度開催される通常総会では、区分所有法および標準管理規約で定められた必須議案があります。これらが議案書に記載されていない場合、理事会の責任が問われる可能性があるため、漏れなく上程する必要があります。
| 議案 | 法令根拠 | 決議の種類 |
|---|---|---|
| 1. 収支決算及び事業報告承認の件 | 標準管理規約第59条 | 普通決議 |
| 2. 監査報告承認の件 | 標準管理規約第41条 | 普通決議 |
| 3. 管理委託契約更新承認の件 | マンション管理適正化法第73条 | 普通決議 |
| 4. 収支予算及び事業計画承認の件 | 標準管理規約第58条 | 普通決議 |
| 5. 役員選任承認の件 | 標準管理規約第35条 | 普通決議 |
これら5つの議案は、毎年必ず通常総会で議決すべき事項です。マンション管理組合の運営の基本となるため、議案書の冒頭に整理して記載することが一般的です。
通常総会で必要に応じて追加される議案
必須議案以外にも、マンションの状況や課題に応じて追加される議案があります。代表的なものは以下の通りです。
| 議案 | 決議の種類 | 該当するケース |
|---|---|---|
| 修繕積立金の取崩し承認の件 | 普通決議 | 計画的な修繕工事の実施時 |
| 長期修繕計画の変更承認の件 | 普通決議 | 5年に1回程度の見直し時 |
| 修繕積立金の値上げ承認の件 | 普通決議 | 修繕積立金不足の解消時 |
| 使用細則制定・改正の件 | 普通決議 | ペット飼育・防犯カメラ等の細則整備時 |
| 大規模修繕工事実施の件 | 普通決議または特別決議 | 共用部分の重大な変更を伴う場合は特別決議 |
| 管理規約の変更の件 | 特別決議 | 2026年4月1日施行の改正区分所有法と令和7年10月改正・公表の標準管理規約により、定足数を満たした総会で、出席した組合員およびその議決権の各4分の3以上が基準 |
| 機械式駐車場の解体・平面化の件 | 特別決議 | 共用部分の重大な変更に該当 |
使用細則の制定・改正については使用細則とは|マンション管理規約との違い・具体例10種類・改正手順を解説、機械式駐車場の平面化については「機械式駐車場の平面化とは|4工法・費用・住民合意形成の完全ガイド」もあわせてご覧ください。
議案書の書き方|基本構成と記載事項
議案書の様式に法令上の定めはありませんが、標準的な構成はある程度確立されています。基本的な構成と記載事項は以下の通りです。
| セクション | 記載内容 |
|---|---|
| 1. 表紙 | マンション名、開催日時、場所、議案書のタイトル |
| 2. 招集通知 | 理事長名による招集の挨拶、開催日時・場所、議事事項の概要 |
| 3. 出席方法の案内 | 本人出席・代理出席・書面表決・電磁的表決の方法 |
| 4. 議事次第 | 当日の進行順序の概要 |
| 5. 議案ごとの詳細 | 議案番号・件名・提案理由・決議事項・参考資料 |
| 6. 添付資料 | 収支決算書、監査報告書、長期修繕計画書、見積書等 |
| 7. 委任状・議決権行使書 | 欠席者用の書類 |
議案書のサンプル文面|第1号議案の書き方例
個別議案の標準的な記載例を示します。各議案ごとに「件名」「提案理由」「決議事項」「参考資料の参照」を簡潔に整理することがポイントです。
第1号議案 令和〇年度 収支決算及び事業報告承認の件
【提案理由】
令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日までの収支決算及び事業報告について、別添「収支決算書」「事業報告書」のとおり報告いたします。標準管理規約第59条に基づき、当該決算及び事業報告について総会の承認を求めるものであります。【決議事項】
別添資料のとおり、令和〇年度の収支決算及び事業報告を承認することといたします。【参考資料】
・別添1:令和〇年度 収支決算書
・別添2:令和〇年度 事業報告書
・別添3:監査報告書(第2号議案関連)
このような形式で全議案を整理します。提案理由は明確かつ簡潔に、参考資料は別添として整理することで、区分所有者が理解しやすい議案書になります。
議案書作成の5つの注意点
議案書を作成する際に、理事会として押さえておきたい注意点を整理します。
- 必須議案の漏れがないか確認:5つの必須議案は毎年必ず上程
- 決議の種類(普通決議か特別決議か)を明示:議案ごとに必要な賛成数を区分所有者に伝える
- 管理会社の原案を鵜呑みにしない:管理会社にとって有利な議案になっていないか理事会で精査
- 添付資料は最新版を使用:決算書・長期修繕計画書等は最新の数値を反映
- 配布期限の遵守:標準管理規約第43条に基づき、総会開催の2週間前までに配布
特に管理会社が作成した原案をそのまま総会に上程するケースでは、管理委託契約の更新条件など、管理会社にとって有利な内容になっていないか注意深く確認する必要があります。
2024年標準管理規約改正|電磁的方法による決議への対応
国土交通省は2024年6月7日、標準管理規約を改正し、議案書および決議方法に関する重要な変更を加えました。
| 改正項目 | 議案書への影響 |
|---|---|
| 電磁的方法による議事録作成 | PDF配布・電子署名による議案書配布が公式に認められた |
| WEB会議システムによる総会開催 | 議案書に「Zoom等のURL情報」「接続方法」を記載する必要 |
| 書面決議・電磁的決議 | 議案書に「電磁的方法による議決権行使」の案内を追加 |
| EV充電設備の決議要件の整理 | 建物の躯体部分への加工の程度が小さい工事などは、普通決議で実施可能と考えられる旨が示された |
特にWEB総会の導入は、出席率向上の観点から多くの管理組合で導入が進んでいます。議案書の様式も電磁的方法に対応した記載を含める必要があります。
通常総会と臨時総会の違い|議案書の使い分け
マンション管理組合の総会には「通常総会」と「臨時総会」の2種類があります。それぞれの議案書の特徴を整理します。
| 項目 | 通常総会 | 臨時総会 |
|---|---|---|
| 開催頻度 | 年1回(会計年度終了後2ヶ月以内) | 必要に応じて随時 |
| 主な議案 | 5つの必須議案+追加議案 | 個別の重要案件のみ |
| 議案書の規模 | 大規模(数十ページ) | 小規模(数ページ) |
| 典型的な議題 | 決算・予算・役員選任 | 大規模修繕、管理会社変更、緊急対応 |
| 招集要件 | 理事会の招集 | 理事会または組合員1/5以上の請求 |
通常総会と臨時総会の違いの詳細はマンション管理組合の通常総会と臨時総会|違い・招集手続き・2026年施行の改正をご覧ください。
RELATED|総会・議事録の関連記事
総会運営・議事録の関連情報
まとめ|議案書の良し悪しが管理組合運営の質を決める
マンション管理組合の総会議案書について、要点をまとめると以下の通りです。
- 議案書は総会で議決する事項を記載した最重要書類:法令上の様式定めはないが、必須項目の記載は必要
- 5つの必須議案を毎年必ず上程:決算・監査・委託契約・予算・役員選任
- 追加議案は決議の種類(普通/特別)を明示:区分所有者の判断材料として明記
- 管理会社の原案は理事会で精査:管理会社に有利な内容になっていないか確認
- 2024年改正に対応した電磁的方法を活用:WEB総会・電子議決の選択肢を案内
議案書の良し悪しは、マンション管理の質や住民の満足度に大きな影響を与えます。新任理事の方も、管理会社任せにせず、理事会で議案書の内容を十分に協議することをおすすめします。
