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マンションに防犯カメラを設置した場合の「防犯カメラ運用細則(雛形)」の例


マンションに防犯カメラを設置した場合の防犯カメラ運用細則の雛形)

防犯カメラは、マンションの防犯対策やマナー違反の抑止に効果的な設備ですが、プライバシーの保護や個人情報の取り扱いにも十分な配慮が必要です。カメラの映像をどのように扱うか、誰が閲覧できるのかといった運用ルールを定めることで、トラブルを防ぎ、住民全体が安心して暮らせる環境を整えることができます。この記事では、実際のマンションで使われている「防犯カメラ運用細則(雛形)」をご紹介し、管理組合で細則を整備する際の参考としていただけるようにまとめました。


防犯カメラ運用細則(雛形)

(趣 旨)
第1条 この細則は、〇〇マンション管理規約(以下「規約」という。)第〇〇条(使用細則)の規定に基づき、防犯カメラの管理又は運用に関し必要な事項を定めるものとする。

(定 義)
第2条 この細則において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 防犯カメラ 区分所有者等の防犯、犯罪の予防及び共用部分の維持保全に資することを目的として設置された防犯カメラ、録画装置、映像受像器等の設備をいう。
二 区分所有者 区分所有法第2条第2項の区分所有者をいう。
三 占有者 区分所有法第6条第3項の占有者をいう。
四 役員 規約第35条(役員)に規定する役員をいう。
五 理事長 規約第38条(理事長)に規定する理事長をいう。
六 総会 規約第42条(総会)に規定する総会をいう。
七 理事会 規約第51条(理事会)に規定する理事会をいう。

(防犯カメラ設置の目的)
第3条 防犯カメラの設置はマンション内における犯罪の予防及び汚損・棄損行為等の防止、共同の利益の確保並びに管理組合の財産の維持保全に資することを目的とする。

(映像の保存)
第4条 防犯カメラによる録画は、保守点検又は故障等の場合を除き、常時行うものとする。
2 防犯カメラによる記録映像を保存するものとし、保存期間が経過した記録映像は消去する。

(記録映像閲覧の事前承認等)
第5条 理事長は、区分所有者または利害関係人の理由を付した書面による閲覧請求があった場合は、理事会の決議によりこれを閲覧させることができる。
2 閲覧させる場合は、原則として役員2名以上の立会いのもとに行うものとする。ただし、緊急時においては、役員の判断により実施するものとし、この場合は理事会に事後報告するものとする。
3 前項により映像を閲覧する者は、閲覧した情報について閲覧の目的以外にこれを利用することはできない。

(第三者提供の制限)
第6条 理事長は、前条による承認及び次に掲げる場合を除き、保存された映像を第三者に閲覧させてはならない。
一 警察、裁判所等の法令に基づく照会等があった場合
二 公的な機関より要請があり理事会がやむをえないと判断した場合
三 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

(守秘義務)
第7条 映像を閲覧した者は、正当な理由がある場合を除き、それによって知り得た映像の内容及び関連情報を漏らしてはならない。これらの業務に当たる者でなくなった後も、同様とする。

(映像情報の貸与)
第8条 映像情報の貸与を求められた場合は、理事会の承認を基にこれを貸与するものとし、その利用目的、返却等について記載した書面を受領するものとする。
2 映像情報の貸与の申請については、第5条(記録映像閲覧の事前承認等)の規定を準用するものとする。

(規約外事項)
第9条 この細則に定めのない事項については、規約及び総会の決議で定められたところによる。

(細則の改廃)
第10条 この細則の変更又は廃止は、総会の決議を経なければならない。但し、この細則の変更が規約の変更を必要とする事項であるときは、規約の変更を経なければ、することができない。

(細則原本)
第11条 この細則を証するため、理事長及び理事長の指名する2名の区分所有者が記名押印した細則を1通作成し、これを細則原本とする。
2 細則原本は、理事長が管理組合の事務所において保管し、区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、これを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
3 理事長は、所定の掲示場所に、細則原本の保管場所を掲示しなければならない。

附 則
この細則は、令和〇年◯月◯日(総会決議日)より効力を発する。


「防犯カメラ運用細則」制定の方法

防犯カメラ運用細則の「作成」や「変更」は、管理規約の変更を伴わない限り、総会の普通決議で制定可能です。したがって、管理組合として新たに細則を設ける場合は、規約との整合性を確認した上で、通常の総会決議で進められることが一般的です。ただし、記録映像の取扱いや第三者提供に関するルールなど、住民のプライバシーに関わる内容が多いため、できるだけ住民への丁寧な説明と合意形成を経て導入することが望ましいでしょう。


まとめ

防犯カメラは、マンションの安全性を高める有効な手段である一方で、住民のプライバシー保護や情報管理の観点から慎重な運用が求められます。そこで、防犯カメラを適切に運用するためには、明確なルールを記載した「運用細則」を整備することが重要です。今回ご紹介した雛形は、実際のマンション管理規約との整合性を意識しながら作られており、総会の普通決議によって制定可能な内容になっています。自分たちのマンションの実情にあわせて文言を調整し、住民の理解を得ながら導入を進めることで、防犯対策としての効果を最大限に発揮しつつ、トラブルのない安心した暮らしの実現につなげることができるでしょう。

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