
マンションの長期修繕計画を理事会が見直した結果、将来的に修繕積立金が不足する見込みがある場合、計画通りに修繕工事を進めるためには資金計画も見直す必要があります。特に、毎月の修繕積立金額が適正かどうかを再確認し、必要であれば改定することが大切です。この記事では、長期修繕計画と連動した資金計画の見直しについて学んでいきます。
長期修繕計画にあわせて資金計画も見直しを
大規模修繕工事などの費用は、原則として「修繕積立金」でまかなわれます。しかし、長期修繕計画を見直した結果、「現在の積立ペースでは将来の工事に対応できない」ということも。
たとえ積立金が不足していても、修繕工事を延期するわけにはいきません。そのため、長期修繕計画の内容に応じて資金計画を見直し、必要な修繕を実行できる体制を整えることが求められます。
修繕積立金の積立方式は3種類
修繕積立金の積立方法には、主に以下の3つの方式があります。それぞれの特徴を理解し、自分たちのマンションに合った方法を選ぶことが大切です。
| 積立方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 均等積立方式 | 計画期間の総費用を月数で割って毎月均等に積み立てる | 支払い額が安定し、予測しやすい | 初期からやや高めの負担になる |
| 段階増額方式 | 一定期間ごとに徐々に積立額を増やす | 初期の負担が軽く、導入しやすい | 将来的に大幅な増額が必要になる可能性 |
| 一時金徴収方式 | 工事直前に不足額を一時金として徴収する | 初期の積立負担が抑えられる | 突然の出費に対応できない住民が出る恐れ |
修繕積立金の改定には総会の承認が必要
将来の資金不足が明らかになった場合、修繕積立金の増額や一時金の徴収を検討する必要があります。ただし、これらの変更には総会での決議が必要です。
住民にとっては毎月の負担が増えることになるため、反対の声が出る可能性もあります。そのため、以下のような対応が重要です。
- 資金シミュレーション資料を用意する
- 説明会を開催して丁寧に説明する
- 改定の必要性とメリットを具体的に伝える
住民の理解を得てスムーズに承認を得るには、透明性のある説明が欠かせません。
まとめ
マンションの大規模修繕を実施する際に「修繕積立金が足りない」と慌てないためには、長期修繕計画と資金計画をセットで定期的に見直すことが必要です。積立方式の選定や積立額の見直しは、理事会だけでなく住民の理解も必要不可欠です。修繕積立金の改定には総会での承認が必要となるため、あらかじめ説明会などで十分な情報提供と合意形成を行うことが、将来のトラブル防止にもつながります。理事会としては、長期的な視点で安心できる資金体制を築いていくことが大切です。