最近のマンションでは、エントランスに自動ドアを設置するのが一般的です。安全で快適な暮らしを守るためには点検が重要ですが、実は自動ドアの点検は法律で義務付けられているものではありません。使い方によっては、点検の回数を見直すことで管理コストの削減も可能になるかもしれません。この記事では、自動ドアの保守点検の基本と、コストを抑えるための見直しポイントについて学んでいきます。
自動ドアの点検は法律上の義務ではない
自動ドアはエレベーターとは異なり、法定点検の義務はありません。つまり、法律上は「まったく点検をしなくても問題ない」ということになります。ただし、故障時には人の出入りが妨げられたり、外部からの不審者の侵入リスクが高まったりと、安全性や利便性に大きく影響します。
そのため、多くのマンションでは年に2～4回の定期点検を実施していますが、これはあくまで任意の対応です。実際に「壊れたときだけ修理を依頼する」マンションもあります。
定期点検の効果と内容
自動ドアの点検では、主に以下のような作業が行われます。
| 点検内容 | 概要 |
|---|---|
| センサーの調整 | 誤作動を防ぎ、スムーズな開閉を保つ |
| 機器への注油 | 摩耗防止や動作音の低減 |
| 消耗部品の交換 | モーター部品やゴムパッキンなどの劣化対策 |
点検作業には2〜3時間程度かかり、作業はメーカー系列の専門業者が行うのが一般的です。契約形態には「フルメンテナンス契約（部品交換込み）」と「POG契約（部品代は別）」があり、費用や対応内容に違いがあります。
コスト削減のための点検回数の見直し
自動ドアはエレベーターや機械式駐車場ほど重大事故のリスクが高くないため、使用頻度が少ない場合には点検回数を年2回程度に減らすという選択も可能です。
たとえば、以下のようなケースでは回数の見直しが検討できます。
| マンションの状況 | 点検回数の見直し余地 |
|---|---|
| 世帯数が少ない | 扉の開閉が少ないため、年2回で様子を見ても可 |
| 高齢者中心の居住者層 | 通行頻度が少なく、センサーへの負荷が少ない |
| 築年数が新しい | 機器の劣化が進んでいないため低頻度でも支障が少ない |
ただし、あまりにも間隔を空けると故障の早期発見ができない恐れもあるため、最低でも年2回は実施することを推奨します。
まとめ
自動ドアの保守点検は法律で義務付けられているものではないため、使用頻度や住民構成に応じて点検回数を見直すことが可能です。多くのマンションでは年に2〜4回の定期点検を実施していますが、世帯数が少ない建物や人の出入りが少ない環境であれば、年2回程度への削減も検討に値します。点検費用は契約内容や業者によって大きく変わらないため、回数の調整がコスト削減の現実的なアプローチとなります。安全性を確保しつつ、適切なメンテナンス体制を整えることが、理事や管理組合に求められる判断といえるでしょう。