近年、台風や集中豪雨などによる水害が、マンションにも大きな影響を与えるケースが増えています。とくに地下に設備や駐車場を備えるマンションでは、ライフラインや車両が被害を受ける可能性があります。この記事では、管理組合として事前に準備すべき水害対策について学んでいきます。
マンションで実際に起きている水害の事例
高層マンションの地下電気設備が冠水し、エレベーターや給水ポンプが長期間使えなくなった例があります。管理組合は、地震や火災と同様に、水害も重大なリスクとして備えることが求められています。
管理組合が実施すべき主な水害対策
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住人への掲示による呼びかけ | 飲料水確保、充電、ベランダの片付けなどを案内 |
| 排水口周辺の点検と清掃 | 屋上、共用廊下、バルコニーなどの排水口の詰まりを防ぐ |
| 地下駐車場の対策 | 点検・清掃・車両移動・インターロック解除キーの準備 |
| 強風時の飛散物対策 | 敷地内を巡回し物品の固定や移動を実施 |
| 土嚢の備蓄と配置 | 浸水を防ぐための一時的な止水対策 |
掲示による住民への周知
台風・豪雨に備えて、以下のような注意喚起を掲示板で案内することが有効です。
- ベランダの植木鉢などを屋内に移動
- 排水口の清掃（特にバルコニー）
- 窓のサッシを閉める
- 飲料水の確保
- 携帯・ラジオなどの充電
排水口や排水設備の点検と清掃
屋上のルーフドレンや共用廊下の排水口に落葉やゴミが詰まると、漏水や防水層の劣化の原因になります。定期的な清掃と点検を心がけましょう。居住者にもバルコニー排水口の清掃を呼びかけることが大切です。
地下の機械式駐車場の安全対策
豪雨により排水ポンプの能力を超えると車両の水没が発生します。
- 定期的な排水装置の点検と清掃
- 満水警報発報時には車両を移動またはインターロック解除キーで上部へ
- 強風時には、車両の持ち上げによる落下リスクも考慮して移動も検討
- 一般の方の地下立入は禁止
敷地内の飛散物対策
巡回時に風で飛ばされそうな物品があれば、フェンスにロープで固定するか、安全な場所へ移動しましょう。物品が飛散すると、窓ガラス破損や人身事故の原因になります。
土嚢の備え
地下駐車場や地下室などに浸水の恐れがある場合は、あらかじめ土嚢を備えておきます。いざという時にすぐ設置できるよう、保管場所や使用手順を明確にしておきましょう。
まとめ
台風や集中豪雨による水害は、マンションでも深刻な被害をもたらす可能性があります。管理組合としては、排水口の点検や住民への掲示、地下駐車場の設備点検、土嚢の準備など、事前にできる対策を計画的に実施しておくことが重要です。また、多くの自治体が公表しているハザードマップを活用し、地域の水害リスクを正しく把握することも効果的です。いざという時に備えて、「インターロック解除キー」や「土嚢」は管理室に備え、誰が使うかを明確にしておきましょう。さらに、管理組合が加入しているマンション総合保険の補償内容に水害被害が含まれているかの確認も忘れずに行っておくことが、万一の安心につながります。