
マンションの理事会は、管理組合の意思決定を担う重要な場です。しかし、「どのくらいの頻度で開催すべきか?」という点は、各マンションで異なり、悩ましいところです。回数が多すぎれば理事の負担が増し、逆に少なすぎれば対応の遅れや情報共有の不足につながることも。この記事では、国土交通省の最新調査データなどを参考に、理想的な理事会の開催頻度について考えていきます。
理事会の開催回数の実態とは?
国土交通省が実施した令和5年度マンション総合調査によると、全国の分譲マンションにおける理事会の開催頻度は以下の通りです。
| 理事会の開催頻度 | 割合 |
|---|---|
| 月に1回程度開催している | 35.7% |
| 2ヶ月に1回程度開催している | 27.3% |
| 3ヶ月に1回程度開催している | 25.5% |
| 年に1回開催している | 4.6% |
| ほとんど開催していない | 0.3% |
この調査結果から、月1回程度の開催が最も多いものの、2〜3ヶ月に1回の頻度で開催している管理組合も多いことがわかります。
適切な理事会の開催頻度とは?
理事会の開催頻度に関して法令での定めはありませんが、管理の質を保つためには定期的な開催が必要です。理想は管理会社からの月次報告を受けて月1回ですが、現実には2〜3ヶ月に1回の頻度でも十分とされます。
ポイントは、開催回数ではなく「計画的に実施されているか」です。重要議題がスムーズに処理され、住民の意見やクレームにも迅速に対応できる体制が整っていることが大切です。
フロントマンは理事会を減らしたがる?
管理会社の担当者(フロントマン)は、理事会出席に加え、議案の準備や資料作成などの負担があるため、理事会の回数を減らす方向に導く傾向があります。
もちろんこれは悪意ではなく効率化を目的とした姿勢ですが、あまりにも任せきりにしてしまうと、管理組合の主体性が失われるリスクがあります。
年間スケジュールの一例(年間10回)
理事会の開催スケジュールを事前に決めておくと、理事同士の予定調整がしやすくなり、出席率も高まります。以下は、年10回の開催例です。
| 月 | 内容 |
|---|---|
| 4月 | 前期理事会(引継ぎ) |
| 5月 | 通常総会終了後 理事会 |
| 6月 | 第2回 理事会 |
| 7月 | 第3回 理事会 |
| 8月 | 理事会なし |
| 9月 | 第4回 理事会 |
| 10月 | 第5回 理事会 |
| 11月 | 第6回 理事会 |
| 12月 | 理事会なし |
| 1月 | 第7回 理事会 |
| 2月 | 第8回 理事会 |
| 3月 | 第9回 理事会 |
| 4月 | 第10回 理事会 |
このように毎月とは限らず、必要な時期に集中させる工夫も有効です。
まとめ
理事会の開催頻度は、そのマンションの運営スタイルや理事の負担に合わせて調整する必要があります。ただし、半年に1度程度の頻度では情報共有や問題対応が遅れ、住民の信頼を損ねるおそれがあります。月1回の開催が理想ですが、難しければ2〜3ヶ月に1度を目安に、年間スケジュールを決めて定期的に開催しましょう。管理会社の効率化要望に配慮しつつも、管理組合としての責任を果たすバランスが求められます。理事会はマンション運営の中核です。適切な頻度と計画的な運営で、安心して暮らせる環境づくりを目指しましょう。