
マンション管理組合の理事は、原則として本人が理事会に出席することが求められます。これは、理事が総会で選任される「信任」に基づく職務であるためです。しかし、理事の定数が少ない小規模マンションでは、一人の欠席が理事会の開催自体を難しくすることもあります。この記事では、理事が出席できない場合に家族が代理出席することが可能かどうかについて学んでいきます。
理事会に家族が代理出席できるかどうかは管理規約しだい
理事会に理事本人以外が出席できるかどうかは、管理規約に代理出席に関する定めがあるかどうかにかかっています。管理規約に記載があれば、配偶者や一親等の親族などに限り、代理出席を認めることが可能になります。
たとえば以下のような規定がある場合、理事の配偶者が出席することができます。
理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親等の親族に限り、代理出席を認める。
理事会成立のために必要な出席人数
理事会を開くには、理事の半数以上の出席が必要です(標準管理規約第55条第1項)。そのため、理事の人数が少ないマンションでは、1人の欠席で開催が困難になるケースもあります。
| 理事数 | 開催に必要な人数(過半数) |
|---|---|
| 3人 | 2人 |
| 5人 | 3人 |
| 7人 | 4人 |
このように少人数の構成であればあるほど、代理出席制度の有無が理事会運営に大きく影響します。
管理規約に代理出席のルールを明記しておくべき
実務上は、同居する配偶者の出席に対して委任状の提出を求めないことも多いですが、できれば委任状の提出を求めるルールを明文化するのが望ましいです。以下のようなポイントを管理規約に盛り込むことが検討できます。
- 代理人は配偶者または一親等の親族に限る
- 代理出席には委任状を必要とする
- 理事本人にやむを得ない事情がある場合に限る
まとめ
マンション管理組合の理事は原則として本人が理事会に出席すべきですが、特に小規模マンションなどで理事数が少ない場合には、一人の欠席が理事会の開催を妨げる可能性があります。そのような事態を避けるためには、管理規約に代理出席のルールを設けることが有効です。代理出席を認める場合でも、配偶者や一親等の親族に限定し、委任状の提出を求めるなどの制限を設けておくことで、理事会の信頼性を維持することができます。柔軟な運用を可能にする一方で、安易な代理出席を防ぐためのルール整備が、健全な理事会運営にとって大切です。