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マンションにAEDを設置する場合の有効性と注意すべきポイント


マンションにAEDを設置

心停止などの緊急事態に対応できる「AED(自動体外式除細動器)」は、駅や公共施設だけでなく、マンションの共用部にも設置されるケースが増えています。救急車の到着前に使用できれば、命を救える可能性が高まりますが、導入にはコストや設置場所といった課題もあります。この記事では、マンションにAEDを設置する場合の有効性と注意すべきポイントについて学んでいきます。

AEDの役割とマンションでの使用シーン

AED(Automated External Defibrillator)は、心臓がけいれんを起こして止まってしまう「心室細動」の際に、電気ショックを与えて心臓のリズムを整える医療機器です。
2004年の厚生労働省の通達により、医療従事者でなくても使用できるようになったことで、マンション住民自身が使用できる環境が整いました。

操作は機器からの音声ガイダンスに従えば良いため、特別な訓練がなくても利用が可能です。これにより、救急車の到着前に適切な処置ができる確率が高まり、救命率の向上につながります。

AED導入のメリットと費用面の課題

【主な導入方式とコスト比較】

導入方式初期費用維持管理特徴
レンタル・リースなし月額5,000円前後保守点検・部品交換込みで安心
買い取り20~30万円程度部品交換費が別途必要長期的にはコストを抑えられるが管理が煩雑

一般的にはレンタルやリース契約が主流で、月額費用には消耗部品の交換や定期点検も含まれているため、管理の負担が軽減されます。
特に小規模マンションでは費用負担がネックになることもあるため、導入を検討する際には住民アンケートの実施や理事会での検討が不可欠です。

設置場所選定の重要性

AEDは1分遅れるごとに救命率が約10%低下するとされています。そのため、設置場所の選定は非常に重要です。

【マンション規模による設置場所の考え方】

マンション規模推奨設置場所注意点
小規模マンションエントランス・エレベーターホールアクセスしやすく管理もしやすい
大規模・高層マンション各棟・各階への分散設置が理想エレベーター待ちの時間が致命的になる可能性あり

「1台で十分」とは限らないのがマンションのAED設置。特に高層階や棟が複数あるマンションでは、設置場所を1階のエントランスに限定すると、いざという時に間に合わないリスクがあります。

導入までの進め方と合意形成のポイント

AEDの設置は、費用だけでなく住民の理解と合意形成が重要です。以下の流れで導入検討を進めると良いでしょう。

  1. 理事会で導入提案・情報収集(見積取得)
  2. 住民アンケートで賛否の把握
  3. 設置場所・方式の比較検討
  4. 総会での正式な承認
  5. 設置後は利用方法の掲示や講習会の実施を検討

まとめ

近年では、住民から理事会にAED設置の要望が寄せられるケースが増えています。AEDの設置は、万が一の際に住民の命を守る重要な備えとなりますが、設置には費用負担や設置場所の検討など、慎重な判断が求められます。特に大規模マンションでは、1階のエントランスだけに設置するのではなく、必要に応じて複数台の導入も視野に入れることが理想です。導入前には見積もりや住民アンケートを実施し、住民の理解と合意を得ることで、安心・安全な住環境づくりにつなげていきましょう。

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