
マンションの長期修繕計画は、建物の資産価値を守り、適切なタイミングで修繕工事を進めるための大切な指針です。ただし、その内容が確定するには、総会での決議を経る必要があります。見直しを行っただけでは正式な計画とは言えず、組合員の合意を得るプロセスが欠かせません。この記事では、長期修繕計画の見直しと総会決議の関係について学んでいきます。
長期修繕計画の見直しと総会決議の関係
長期修繕計画を策定または見直した場合は、必ず管理組合の総会で承認を得ることが必要です。これは、たとえ管理会社が作成したものであっても、管理組合としての正式な計画にするためには、組合員の議決が求められるというルールがあるからです。
標準管理規約にも、以下のように定められています。
| 議決事項(標準管理規約 第48条より) | 内容 |
|---|---|
| 第48条五項 | 長期修繕計画の作成または変更には総会決議が必要(普通決議) |
通常総会または臨時総会での決議が必要
長期修繕計画の変更は、「普通決議」で承認される議案です。したがって、以下のいずれかのタイミングで決議を行う必要があります。
- 年1回の通常総会
- 必要に応じた臨時総会
また、総会開催前に「長期修繕計画説明会」などを開いて、事前に組合員の理解を得ることも有効です。計画の内容が複雑な場合や負担増が想定される場合は、あらかじめ丁寧な説明を行うことで総会での円滑な議決につながります。
決議後は組合員への周知と閲覧対応を
総会での承認が得られたあとは、総会に出席できなかった組合員にも計画内容を丁寧に周知しましょう。以下の方法が効果的です。
- 議事録と長期修繕計画をセットで配布
- 掲示板やエレベーター内への掲示
- 管理員室での閲覧体制の整備
長期修繕計画は、「管理規約」「議事録」と同じく、区分所有者や利害関係人が閲覧できるよう、管理員室などに保管しておくことが大切です。
まとめ
長期修繕計画は、計画的な修繕工事の実施や修繕積立金の合理的な算出のために不可欠な存在です。おおむね5年ごと、また大規模修繕工事の完了後には、現状に即した形に見直すことが求められます。そして見直しを行った際には、総会での決議を経て、はじめて正式な管理組合の計画となります。総会での承認を得ることで、区分所有者全体の共通理解と協力を得ることができ、より健全なマンション管理につながります。計画の更新時には、ぜひ説明会や文書配布なども活用し、全員参加型の合意形成を目指しましょう。