
駐車場の空きが増えてきた…そんなお悩みをお持ちのマンション管理組合は少なくありません。高齢化や車離れが進むなか、空き駐車場を収益化する方法として注目されているのが「駐車場のサブリース」です。この記事では、サブリースの仕組みとそのメリット・デメリットについて学んでいきます。
駐車場サブリースとは?その仕組みを解説
駐車場のサブリースとは、マンションの空き駐車場をサブリース会社が一括で借り受け、外部ユーザーに転貸する仕組みです。サブリース会社は、空き区画の有無にかかわらず、管理組合に毎月一定の賃料を支払います。
また、2012年の国税庁の通達により、居住者に優先利用権がある場合には、外部利用者の分だけが課税対象になると明確化されたことも、導入が進んだ理由の一つです。
| 状況 | 課税の有無 |
|---|---|
| 居住者・外部利用者を区別しない | 全体が課税対象 |
| 居住者に優先利用権あり | 外部利用者分のみ課税対象 |
| 一時的な貸し出し(例:工事中の臨時貸与) | 課税対象外 |
サブリースのメリットとは?
サブリースを導入することには、次のようなメリットがあります。
- 空き区画の有無にかかわらず、安定収入が得られる
- 契約手続き・集金・利用者募集などをサブリース会社が代行
- 住人の利用希望に応じて区画を返還できる柔軟性あり
特に、管理の手間を最小限にしつつ収益を確保できる点は大きな魅力です。
サブリースのデメリットと注意点
一方で、サブリースには以下のようなデメリットや留意点も存在します。
- 受け取れる賃料は、相場の約半額程度と低め
- 収入は「収益事業」として課税対象となり、法人税や税理士報酬が発生
- 外部の利用者が敷地内に出入りするため、セキュリティ面の懸念がある
- 需要が見込める立地でなければ、サブリース会社の採算も合わない可能性あり
導入に向けた基本方針と選定のポイント
サブリースを検討する前に、まずは駐車場料金の見直しや、住人向けの利用促進策を優先するのが基本方針です。それでも空きが目立つ場合には、将来的に撤去や用途変更も視野に入れながら、以下の点を踏まえて検討を進めましょう。
- 複数社からの提案を受けて条件を比較検討
- 契約期間や返還条項、トラブル時の対応などを明確に
- 理事会での丁寧な情報共有と合意形成を行う
まとめ
マンションの駐車場をサブリースすることで、空き区画を有効活用し、安定収入を得ることが可能になります。ただし、収入は相場より低く抑えられることが多く、税務上の対応やセキュリティの配慮も必要です。まずは住人への利用促進を図り、それでも空きが埋まらない場合には、サブリースや区画撤去といった次の手を検討するのが現実的なアプローチです。導入に際しては複数の会社と比較検討を行い、管理組合にとって最もメリットのある形で導入することが大切です。サブリースはあくまで選択肢のひとつ。長期的な視点で、マンション全体の運営にとって最適な方法を見極めていきましょう。