
マンションでは、階下への騒音に関するトラブルが非常に多く、特にフローリングを採用した住戸では注意が必要です。そこで多くのマンション管理組合では、床材の遮音性能に関する基準を「管理規約」や「細則」で定めています。遮音等級(L値)の理解は、快適な共同生活の第一歩です。この記事では、フローリングの遮音等級と管理規約の関係について学んでいきます。
フローリングと管理規約の関係
マンションでは、上階からの生活音が下階に伝わりやすい構造になっていることから、フローリングによる騒音トラブルが多発しています。そのため、管理規約や使用細則ではフローリング材に求められる遮音等級が明記されているケースが一般的です。
たとえば、「LL45以上のフローリングを使用すること」や、「上下左右の住戸の承諾を得ること」などの規定が盛り込まれています。工事許可申請の際にこの基準を満たしていない場合、管理組合は工事を承認してはならないとされています。
フローリングの遮音等級とは?
フローリングの遮音性能を示す指標として用いられるのが「L等級(L値)」です。これは、上階で発生した床衝撃音がどの程度下階に伝わるかを数値化したもので、数値が小さいほど遮音性が高いとされます。
一般的に、マンションでは「LL45」以上の等級が求められることが多く、この等級を満たさない床材を使うと、騒音クレームの原因になりかねません。
遮音等級の比較表
| 遮音等級 | 軽量音(LL)※椅子の引き音や物の落下音など | 重量音(LH)※足音や飛び跳ね音など |
|---|---|---|
| L-35 | 通常では聞こえない | ほとんど聞こえない |
| L-40 | ほとんど聞こえない | かすかに聞こえる |
| L-45 | 小さく聞こえる | 意識するほどではない |
| L-50 | 聞こえる | 小さく聞こえる |
| L-55 | 発生音が気になる | 聞こえる |
| L-60 | 発生音がかなり気になる | よく聞こえる |
※L値は数値が小さいほど遮音性能が高いことを示します。
騒音の種類「LL」と「LH」
床衝撃音は主に以下の2つに分類されます。
騒音1|軽量床衝撃音(LL)
椅子の引き音や物の落下音などの軽い音。フローリング材の性能によって遮音効果に大きな差が出ます。高遮音性能の床材の使用が有効です。
騒音2|重量床衝撃音(LH)
子どもの走り回る音や飛び跳ねなどの重たい音。これは床スラブの厚みや梁の配置によって遮音性能が左右されるため、構造的な要因も大きく関わってきます。
フローリングに変更する際のマナーと配慮
管理規約を守ることは当然として、実際にフローリングへ変更する際には上下左右の住戸に丁寧な挨拶や説明を行うことがトラブル防止に有効です。特に「工事後、音が気になるようでしたら遠慮なくお知らせください」といった配慮ある一言が関係を良好に保つ鍵になります。
音の感じ方は非常に主観的なものであり、親しい間柄であれば多少の生活音も許容しやすいという心理的な要素も無視できません。
まとめ
マンションでは構造上、上階の音が下階に響きやすいため、リフォームで床材をフローリングに変更する際には、遮音等級に十分な注意が必要です。フローリングは絨毯や畳に比べ遮音性能が劣るため、管理規約や細則で「LL45以上」などの基準を設けている管理組合が多く見られます。こうした基準を守らずに施工を行うと、騒音トラブルにつながるおそれがあります。理事会としては、フローリングに関するルールを明確にし、居住者への周知を継続的に行うことが重要です。もし遮音等級に関する規定がない場合には、トラブルを未然に防ぐため、早急に管理規約や細則の見直しを検討すべきでしょう。