
マンション管理組合の総会では、区分所有法により議長(通常は理事長)による議事録の作成が義務付けられています。この議事録は、後日のトラブルを防ぐためにも非常に重要な記録です。多くの場合、管理会社の担当者が下書きを作成しますが、内容を確認し、責任を持って完成させるのは理事長の役割です。この記事では、総会の議事録作成のポイントや注意点について学んでいきます。
総会議事録の作成義務とその根拠
マンションの総会議事録は、区分所有法第42条および標準管理規約第49条により、作成が明確に義務付けられています。
| 法令・規約 | 要点 |
|---|---|
| 区分所有法第42条 | 議事録を「書面または電磁的記録」で作成し、議事の経過とその結果を記録する必要があります。議長および出席した区分所有者2名が署名・押印します。 |
| 標準管理規約第49条 | 議長が議事録を作成し、出席組合員2名とともに署名押印。理事長が保管・閲覧対応・掲示義務を負います。 |
総会議事録の記載内容
議事録には、以下の内容を網羅的に記載します。
| 記載事項 | 内容例 |
|---|---|
| 日時 | 令和〇年〇月〇日(〇)〇〇時~〇〇時 |
| 場所 | 集会室、管理室など |
| 組合員総数・議決権総数 | 総会の成立要件確認のため必須 |
| 出席状況 | 本人出席、委任状、議決権行使書面の内訳も明記 |
| 議長による開会宣言 | 総会の開始を公式に宣言 |
| 各議案の説明と採決結果 | 賛成・反対数を明記し、採否を記録 |
| 閉会宣言 | 総会の終了を明示 |
| 議事録署名人の記名・押印 | 議長+出席組合員2名の署名が必要 |
実務における作成手順と注意点
実務上の流れ
- 管理会社が下書きを作成(1週間以内が目安)
- 理事長が内容を精査・修正
- 議事録署名人2名とともに記名・押印
- 理事長が原本を保管し、必要に応じて閲覧対応
注意点
- 質疑応答の記録は必須ではありませんが、採決に影響する重要な質疑は記載が望ましいです。
- 個人情報の取り扱いには注意し、配布前に内容を精査しましょう。
- 虚偽記載には罰則(20万円以下の過料)も定められています。
- 議事録の完成は1ヶ月以内を目指し、スムーズな署名対応が重要です。
まとめ
マンションの総会議事録は、区分所有者だけでなく、賃借人や同居人といった占有者にも一定の効力を及ぼすため、総会に出席しなかった方にも内容が正しく伝わるように、正確で網羅的な記録が求められます。また、議事録の作成や記載に不備や虚偽がある場合には罰則が科される可能性もあるため、管理会社任せにせず、理事長および議事録署名人が責任を持って確認することが重要です。トラブルを未然に防ぎ、透明性の高い運営を実現するためにも、議事録の作成には慎重に取り組みましょう。