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管理費・修繕積立金の滞納者への督促方法|理事会が知っておくべき対応の基本

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分譲マンションでは、区分所有者が毎月納める「管理費」や「修繕積立金」が、マンション全体の維持管理にとって欠かせません。しかし、万が一滞納が発生し、それを放置してしまうと、日常管理や大規模修繕の実施にも支障をきたします。この記事では、理事会としてどのように滞納者へ督促していくべきか、その基本的な対応手順について学んでいきます。

督促は「管理会社まかせ」にしないことが重要

滞納者への督促は、単に管理会社任せにするのではなく、理事会と管理会社が連携して取り組むことが重要です。なぜなら、管理会社からの通知には応じなくても、同じマンションで暮らす理事からの働きかけには応じる例が多いからです。理事会が状況を把握し、必要に応じて積極的に関与することで、早期の解決につながります。

初期対応での督促方法

滞納が判明した段階で、早期に以下の手順を検討しましょう。滞納額が膨らむ前の初期対応がカギとなります。

対応内容目安のタイミング対応者備考
通常文書による督促滞納発生後すぐ管理会社(+理事会)管理組合名での書面投函が有効
電話による督促滞納2ヶ月程度管理会社留守録よりも本人との通話が効果的
訪問による督促滞納3ヶ月程度理事+管理会社直接の面談で原因把握と対応協議
内容証明郵便の送付滞納5ヶ月程度管理会社(文案作成)請求事実の証明として有効

法的措置の検討と対応

滞納が長期化し、初期対応でも改善されない場合は法的手段の検討が必要です。弁護士などの専門家の協力を得ながら、次のような手続きが考えられます。

  • 支払督促(比較的簡易で低コスト)
  • 少額訴訟(60万円以下の請求に対応)
  • 通常の訴訟(複雑なケースや金額が大きい場合)
  • 強制執行(給与や預金の差押え等)

滞納管理費等の「時効」にも注意

管理費や修繕積立金の時効は5年です(最高裁平成16年判決)。内容証明を送っただけでは時効は中断されず、裁判上の請求や差押え等の手続きが必要となります。管理組合としては、早めの対応が求められます。

まとめ

管理費や修繕積立金の滞納が発生した場合、理事会と管理会社が協力して、早期に対応することが重要です。まずは未収金明細で状況を正確に把握し、通常文書・電話・訪問・内容証明郵便などの手段で段階的に督促を進めます。それでも解決しない場合は、弁護士など専門家の助けを得て、支払督促や訴訟といった法的手続きも視野に入れる必要があります。迅速かつ厳格な対応をとることで、他の区分所有者との不公平を避け、新たな滞納者の発生防止にもつながります。理事会としては、徴収の意思と手続きを明確にし、健全な管理組合運営を守っていきましょう。


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