
マンション管理組合の運営に悩みはつきもの。理事会に初めて参加した方の中には、「この判断で本当にいいのかな…?」と不安に感じる場面もあるでしょう。そんなときに頼れる存在が「マンション管理士」です。国家資格を持つマンション管理の専門家として、管理組合のさまざまな課題に中立的な立場からアドバイスしてくれます。
この記事では、マンション管理士の役割や選び方、報酬の相場などについて学んでいきます。
マンション管理士とは?国家資格の専門家
マンション管理士は、『マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)』に基づいた国家資格を持つ専門家です。毎年実施される試験に合格し、指定登録機関への登録を経て初めて「マンション管理士」を名乗ることができます。
【マンション管理士の法的定義】
国土交通大臣の登録を受け、専門的知識をもって、管理組合や区分所有者の相談に応じ、助言や指導、その他の援助を行うことを業とする者。
(マンション管理適正化法 第2条より)
つまり、マンションの運営や管理に関する「相談役・アドバイザー」のような存在だといえます。
主な業務内容と役割
マンション管理士の仕事は多岐にわたりますが、主に以下のような業務を担っています。
| 業務内容 | 解説 |
|---|---|
| 総会・理事会での助言 | 専門知識を活かし、組合運営について中立的な立場でサポート |
| 管理規約の見直し・改正 | 時代や実情に合った管理規約へと整備 |
| 管理費の見直し | 支出の適正化を図り、コスト削減を提案 |
| トラブル対応 | 騒音・ペット・高齢化などの問題に客観的な解決策を提示 |
| 管理会社へのチェック機能 | 業務内容が適正か、第三者視点で評価・提案 |
管理組合の“よろず相談役”として、建物や人間関係の課題まで幅広く対応してくれるのがマンション管理士の魅力です。
なぜ今、マンション管理士が必要とされているのか?
築年数の経過に伴う設備の老朽化、空き家や高齢化の進行など、マンションには様々な問題が発生します。一方、新しいマンションでは居住者間のマナーや価値観の違いからくるトラブルも増えています。
こうした中で、中立的かつ専門的な判断ができるマンション管理士の存在が、円滑な運営に欠かせないものになっているのです。
マンション管理士の報酬と選び方
マンション管理士の報酬には法的な決まりがありません。そのため、各人・各事務所によって金額はバラバラです。実績や経験のある事務所では相応の費用がかかりますが、定年後にボランティア的に活動している方であれば、比較的安価なこともあります。
選び方のポイントは以下の通りです。
| チェック項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 実務経験の有無 | 管理組合の支援経験があるか |
| 顧問実績 | 他の管理組合での継続支援経験があるか |
| 料金体系 | 見積もりを取り、複数比較する |
ペーパー資格者(資格を持っていても実務経験がない人)も多いため、経験値のあるマンション管理士を選ぶことが大切です。
長期的な支援なら「マンション管理士事務所」へ
継続的に理事会や総会に出席し、長期的な視点で組合運営を支えるパートナーが必要であれば、マンション管理士事務所を顧問契約するのが効果的です。定期的な会議参加や書類のチェック、外部専門家との調整役など、プロフェッショナルな支援を受けられます。
まとめ
マンション管理士は、国家資格を持つマンション管理の専門家で、管理組合や理事会の運営における中立的な相談役として重要な役割を担っています。管理規約の改正や管理費の見直し、トラブル解決など、実務に即した助言を提供し、より良いマンション運営の実現に貢献します。報酬に明確な基準がないため、実績や相性をしっかり見極めたうえで信頼できるパートナーを選びましょう。長期的な支援を希望する場合は、マンション管理士事務所との顧問契約も有効な選択肢です。第三者の立場から理事会を支えてくれるマンション管理士の存在は、理事の負担を軽くし、住民の安心にもつながるはずです。