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マンションの大規模修繕の「設計監理方式」と「責任施工方式」2つの方法


マンションの大規模修繕の「設計監理方式」と「責任施工方式」2つの方法

マンションの資産価値を守るうえで欠かせないのが大規模修繕工事です。以前は、管理会社に一任するケースが主流でしたが、近年では管理組合が主体となって発注を行うスタイルが増えてきました。大規模修繕の発注方式には「設計監理方式」と「責任施工方式」の2種類があり、それぞれに特徴と向き不向きがあります。この記事では、2つの方式の違いや選び方のポイントについて学んでいきます。

大規模修繕工事の進め方はこの2つ!

マンションの大規模修繕工事の発注方式には、以下の2つの方式があります。

発注方式概要向いているマンション
設計監理方式設計・監理をコンサルタントに委託し、施工会社とは別に契約する中~大規模マンション
責任施工方式設計から施工までを1社に一括発注する小規模マンション

どちらの方式にもメリット・デメリットがあるため、マンションの規模や理事会の体制に応じて選択することが重要です。

設計監理方式とは?

設計監理方式は、設計と施工を分離して発注する方式です。まず管理組合が設計事務所やマンション管理士などのコンサルタントを選び、修繕設計や工事監理を依頼します。その後、コンサルタントの支援のもと、施工業者を選定します。

メリット

  • 施工と監理が別会社のため、客観的なチェックが可能
  • コンサルタントが管理組合の立場でアドバイスしてくれる
  • 透明性・品質確保がしやすい

デメリット

  • コンサルタント費用が別途かかる
  • コンサルタントの選定に時間と労力が必要

責任施工方式とは?

責任施工方式は、調査・設計・施工をまとめて1社に一括で依頼する方式です。理事会や修繕委員会が施工業者を選定し、その後のやりとりもすべてその業者と直接行います。

メリット

  • 1社とのやりとりで済むため、意思疎通がスムーズ
  • 発注までの準備が簡素で、工事開始が早い
  • 小規模マンションではコストを抑えやすい

デメリット

  • 施工会社が自己監理になるため、品質管理が難しい
  • 第三者によるチェックがないため、専門知識が必要
  • 業者選定の負担が管理組合側にかかる

発注方式ごとの比較一覧

方式メリットデメリット
設計監理方式・品質確保がしやすい
・専門家の客観的なチェックあり
・費用が高くなりやすい
・選定や調整の手間がかかる
責任施工方式・手続きが簡素で早く進められる
・小規模マンションに適している
・品質管理が難しい
・専門的な知見が必要になる場面が多い

最新の採用状況(令和5年度)

国土交通省の調査(令和5年度)によると、設計監理方式が52.7%で最も多く、次いで責任施工方式が37.1%となっています。近年では、品質や透明性を重視する傾向が強まり、設計監理方式が主流となってきています

また、マンションの戸数が増えるほど設計監理方式の採用率が高くなる傾向は引き続き見られ、501戸以上では過半数が設計監理方式を選んでいます。一方、20戸以下の小規模マンションでは、今でも責任施工方式が一定の支持を得ています。

まとめ

マンションの大規模修繕工事を成功させる鍵は、「責任施工方式」か「設計監理方式」かという発注方式の選択だけでなく、信頼できる業者や専門家とパートナーシップを築くことにあります。設計監理方式は品質管理や客観性に優れ、特に大規模マンションに向いています。一方、責任施工方式はスピードとコストの面でメリットがあり、小規模な物件に適しています。それぞれの特徴を踏まえ、自分たちのマンションに合った方式を選ぶことで、資産価値の維持と住環境の向上につなげましょう。

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