マンションで普段何気なく使っている水。その多くが「受水槽方式」と呼ばれる仕組みで供給されていますが、実はこの受水槽には、法律で定められた点検や清掃の義務があるのをご存じでしょうか？とくに受水槽の容量が10㎥を超える場合は、「簡易専用水道」として定期的な管理が必須です。この記事では、受水槽の検査・清掃など、安心して水を使うための維持管理のポイントについて学んでいきます。
受水槽は定期的な検査と清掃が必要です
マンションに設置されている受水槽や高架水槽には、水道法により以下のような管理が義務付けられています。
| 管理項目 | 内容 |
|---|---|
| 年1回以上の清掃 | 受水槽や高架水槽の内部を清掃し、藻や沈殿物を除去します。 |
| 年1回以上の検査 | 厚生労働大臣登録の検査機関による水質検査や施設の状態確認が必要です。 |
| 日常点検 | 水のにごり・臭いの確認、設備の目視点検などを日常的に行います。 |
こうした対応が怠られると、赤さびや藻の発生によって水質が悪化し、住民の健康にも影響を与えかねません。
「簡易専用水道」とは？
簡易専用水道とは、受水槽の有効容量の合計が10㎥を超える施設で、水道事業者から供給された水をいったん貯めて建物内に供給する仕組みです。マンションではよく見られる方式で、下図のようなイメージです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 簡易専用水道 | 受水槽方式で、容量10㎥超。年1回以上の清掃・検査が義務。 |
| 専用水道 | 100人以上の居住者または1日最大給水量20㎥超の施設。さらに厳しい管理が求められます。 |
簡易専用水道では、建物管理者（通常は管理会社や管理組合）が責任をもって適切に管理することが法律で義務付けられています。
放置するとどうなる？実際のリスク
定期的な管理がなされていないと、以下のような問題が発生するおそれがあります。
- 水のにごりや異臭、赤さびの混入
- 水槽内部の藻や汚れによる衛生問題
- ポンプの劣化や機械の故障
- 住民からのクレームや信頼低下
たとえ管理会社に委託していても、うっかりミスや管理漏れが起きることもあります。住民としても、日頃から水の様子に注意を払い、異変を感じたらすぐに管理会社に報告することが大切です。
まとめ
マンションに設置された受水槽や高架水槽は、10㎥を超えると「簡易専用水道」として分類され、水道法により年1回以上の清掃や検査、日常の点検が義務付けられています。定期的な管理を怠ると、赤さびや藻の発生により水質が悪化し、住民の健康や生活に支障が出るおそれがあります。管理会社任せにせず、住民自身も水のにごりや臭いに気を配り、異常があればすぐに連絡することが安心・安全な暮らしにつながります。