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理事を断ることはできる?マンション暮らしで避けられない『順番』との向き合い方


マンションの理事を拒否する方法

分譲マンションに住んでいると、数年に一度は「理事」の順番がまわってきます。けれども、「仕事が多忙」「高齢で体力に不安がある」といった事情で、どうしても引き受けられないという方も少なくありません。そんなとき、「理事を断ることはできるのか?」と悩む方も多いのではないでしょうか。この記事では、理事を辞退することの可否やその際のルール、配慮すべきマナーについて学んでいきます。


理事を断っても法的な罰則はない

マンションの理事は、法律で強制されている義務ではありません。多くのマンションでは、立候補や輪番制によって選出され、一定の順番で理事の役割が回ってきます。たとえその順番が来ても、辞退したからといって法的な罰則が課されることはありません

しかし、辞退には以下のようなリスクや影響もあるため、慎重に判断する必要があります。

判断基準内容
法的罰則なし。強制力は基本的にない。
道義的責任輪番で皆が役目を果たしている中、自分だけ辞退するのは不公平との印象を与える可能性がある。
コミュニティへの影響同じマンション内での人間関係に悪影響を及ぼすことがある。

理事の仕事はどれくらい大変なのか?

「理事」と聞くと、大変そうなイメージを持たれるかもしれませんが、実際には月に1~2回の理事会への出席と議論への参加が中心です。管理会社(フロントマン)が主導するため、専門知識が求められる場面はそれほど多くありません。

ただし、「理事長」は別です。管理組合の代表としての責任があり、総会での議長や支出の承認なども求められます。

役職主な負担
理事理事会への出席と意見表明。比較的軽い負担。
理事長総会の進行、管理会社との折衝、日常の承認業務。時間的・心理的な負担はやや大きい

辞退に対する「負担金」ルールの導入も

近年では、理事を辞退する場合に一定の負担金を支払う制度を導入するマンションも増えています。これは「辞退は自由」としつつも、不公平感を軽減するための仕組みです。

項目内容
設定方法管理規約または細則で明記する必要がある。
目的不公平感の軽減、辞退の抑止力。
注意点金銭負担によって義務が消えるわけではなく、住民感情に配慮が必要。

上手な断り方と代替提案のすすめ

やむを得ない事情で理事を引き受けられない場合でも、誠実な対応を心がけましょう。一方的な拒否ではなく、事情を丁寧に説明したうえで、代替案や協力の意思を示すことが大切です。

たとえば以下のような提案が考えられます。

  • 外部専門家に理事会を委託する「第三者管理方式」の検討を提案
  • 理事辞退者への負担金制度の導入を自ら提案(未設定の場合)
  • 理事以外の形でマンション管理に貢献する意欲を示す

こうした姿勢は、住民同士の信頼関係を損なうことなく、自分自身も無理のない形で関われる方法です。


まとめ

理事の就任に法的な義務はありませんが、管理組合の運営は住民の協力なくしては成り立ちません。辞退には正当な理由が求められ、説明責任も伴います。特に、仕事や家庭の事情、健康上の問題といった理由であれば、理事会で事情を説明することで理解を得られる可能性もあります。一方で、単に「面倒だから」といった理由では、他の住民の反感を買ってしまう恐れもあります。また、負担金制度があるマンションでは、金銭面での対応も選択肢となります。理事を断る場合でも、別の形での貢献を申し出るなど、前向きな姿勢を示すことが、住みよいマンションづくりへの第一歩となるでしょう。

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