
大規模修繕工事はマンションの資産価値を維持し、長く快適に暮らすために欠かせない重要な取り組みです。しかし、いざ工事が始まると「何をしているのか分からない」「生活にどんな影響があるのか心配」といった声も少なくありません。そこで今回は、居住者の皆さんにとっても知っておきたい現場工事の全体像と各工程の内容をわかりやすくご紹介します。この記事では大規模修繕の現場工事の流れについて学んでいきます。
大規模修繕工事の主な工程とその内容
以下の表に、実際の現場で進められる主な工事工程をまとめました。工事の順番や内容、居住者への影響を把握することで、よりスムーズな協力体制が築けます。
| 工事名 | 内容の概要 | 居住者への影響 | |
|---|---|---|---|
| STEP1 | 仮設工事 | 足場・メッシュシート、現場事務所や仮設トイレの設置。足場設置は費用の2~3割を占めるため、計画が重要。 | 足場設置による眺望・採光の制限 |
| STEP2 | 下地補修工事 | コンクリートのひび割れや劣化部の補修。防水・塗装の仕上がりを左右する工程。 | 作業音、立ち入り制限 |
| STEP3 | タイル補修工事 | 外壁のタイル浮きやひび割れの調査と補修。剥がれたタイルの落下事故防止にもつながる。 | 足場からの作業で騒音が発生 |
| STEP4 | シーリング工事 | 劣化した外壁や窓枠のシーリング材を撤去・打ち替え。雨水の侵入や劣化の防止に重要。 | 開口部の一時的な使用制限 |
| STEP5 | 外壁・鉄部塗装工事 | 劣化した塗装を除去し再塗装。鉄部の防錆も含まれ、建物の美観・耐久性に大きく関わる。 | においや塗料の飛散、窓の開閉制限 |
| STEP6 | 屋上・バルコニー防水工事 | 紫外線や風雨で劣化しやすい屋上・バルコニーの防水層を補修。雨漏り予防のため、保証期間を考慮して修繕。 | 屋上・バルコニーの一時的な使用制限 |
まとめ
大規模修繕工事は、住まいの資産価値を守るために10~15年ごとに行われる大切なプロジェクトです。現場工事は、仮設工事から始まり、下地補修・タイル補修・シーリング・塗装・防水といった工程を順に進めていきます。
各工程には専門的な作業があり、建物の構造や立地条件によって作業内容や工期が異なります。特に足場設置や塗装、防水といった工程では、居住者の皆様の生活にも影響が出ることがありますが、事前に工程を把握し、管理組合と協力して進めることで、工事による不便を最小限に抑えることができます。
トラブルのない大規模修繕を実現するためにも、工事の流れを理解して、積極的に広報や合意形成に取り組むことが理事会や修繕委員会にとっても重要です。