
マンションにも当然ながら寿命があります。「あと何年くらい住めるのだろう?」「大規模修繕をしても意味があるのか?」といった疑問は、理事や住民の誰もが一度は感じたことがあるのではないでしょうか。マンションの寿命は単なる建物の老朽化だけでなく、さまざまな要因で決まります。この記事では、マンションの寿命の考え方について学んでいきます。
寿命を考える3つの視点とは?
マンションの寿命、つまり「耐用年数」には、以下の3つの視点があります。
| 耐用年数の種類 | 説明 |
|---|---|
| 物理的耐用年数 | 建物が劣化し、安全性や居住性に問題が生じるまでの期間。雨漏りや構造部材の劣化などが基準。 |
| 経済的耐用年数 | 維持・修繕費がかさみ、新築よりも非効率になるタイミング。費用対効果の観点から見た寿命。 |
| 社会的耐用年数 | ライフスタイルや価値観の変化により、建物の機能やデザインが時代遅れと感じられるまでの期間。 |
これらは相互に関連しており、どれか一つだけで寿命が決まるわけではありません。
実際の寿命は100年超えも可能?
かつては鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションは物理的耐用年数が60年程度とされてきました。これは税法上の法定耐用年数や、一般的なコンクリートの耐久性を基にした目安です。
しかし近年では、適切なメンテナンスが施されていれば100年を超える耐用年数も可能と考えられるようになってきました。特に分譲マンションの場合、建て替えではなく長く維持していく方針を前提に、「建物を延命する」ための計画的な修繕が重視されます。
長期修繕計画における考え方
物理的な寿命を延ばすためには、以下のようなポイントを押さえた長期修繕計画が重要です。
- 各部位ごとに修繕周期を設定
- 劣化診断をもとに中長期での更新計画
- 建物の資産価値を維持するための住民合意形成
つまり、マンションは「寿命が来たら終わり」ではなく、住民と管理組合の努力次第で、より長く住み続けられる資産となるのです。
まとめ
マンションの寿命には、物理的・経済的・社会的という3つの耐用年数の考え方があります。特に鉄筋コンクリート造の建物では、60年という従来の目安を超えて、適切な修繕により100年以上住み続けることが現実的となってきました。
長期修繕計画では「寿命を意識する」よりも「どう延ばしていくか」が大切です。マンションは建て替えるものではなく、住民の手で未来につなげていく資産なのです。