
マンションの大規模修繕工事では、「屋上防水」や「外壁改修」を中心に、建物の寿命を延ばすためのさまざまな補修が行われます。足場を設置するこの機会に、鉄部塗装やシーリング工事なども同時に進めるのが一般的です。この記事では、代表的な補修項目について学んでいきます。
大規模修繕工事の基本補修項目とは?
鉄筋コンクリート造のマンションは、長年の風雨や紫外線の影響により、コンクリートのひび割れや欠損、鉄筋の錆びなどが生じることがあります。これらを放置してしまうと、建物の内部まで劣化が進行し、修繕費用がさらに膨らむリスクもあります。
以下の表は、大規模修繕工事でよく実施される補修項目とその概要をまとめたものです。
| 補修箇所 | 主な内容 | 補修の目的 |
|---|---|---|
| 屋上防水 | シート防水、ウレタン防水 | 雨漏り防止、建物寿命の延伸 |
| 外壁改修 | 塗装、タイル補修 | 美観維持、鉄筋の保護 |
| 下地補修 | クラック補修、欠損補修 | 躯体の劣化防止、安全性の確保 |
| 鉄部塗装 | 扉、手すり、鉄骨階段など | 防錆・耐久性・美観の向上 |
| シーリング打替え | 建具廻り、打継目地 | 水の浸入防止、建材保護 |
| 床仕上げ | 長尺塩ビシート、防滑仕上げ | 滑り防止、バリアフリー対応 |
各補修項目のポイント
屋上防水
屋上は常に雨風にさらされるため、防水層の劣化が早く進みます。膨れや亀裂が見られる場合は、早めの対応が必要です。ウレタン防水やシート防水など、建物の状況に応じて工法を選びましょう。
外壁改修
タイルの浮きやひび割れ、塗装の色あせなど、見た目以上に内部に問題が潜んでいることもあります。再塗装やタイルの張替えは、雨水の侵入を防ぎ、躯体を守る重要な作業です。
下地補修
0.5mm以上のひび割れには、クラックをカットしてシール材を注入する本格的な補修が必要です。見えにくい部分の劣化こそ、計画的にチェック・補修することが大切です。
共用廊下・階段などの床仕上げ
滑りにくく安全な床材への改修が主流です。長尺塩ビシートは防音性や美観にも優れており、居住者からも好評です。
鉄部塗装
錆びが進行すると、見た目だけでなく構造的な劣化につながる恐れも。定期的な塗装で鉄部を守ることが、長寿命化につながります。
まとめ
マンションの大規模修繕工事は、美観の回復だけでなく、建物の寿命を延ばすために欠かせない作業です。屋上の防水や外壁改修、下地補修などは、建物の安全性や資産価値に直結する重要な補修項目です。
足場を設置するタイミングで鉄部塗装やシーリングの打ち替えも同時に行うことで、効率よく工事を進めることができます。理事会としては、施工業者の提案をうのみにせず、補修内容の目的や必要性をしっかりと理解した上で、計画的に実施することが求められます。工事の成否は、事前の情報収集と合意形成にかかっています。