マンションの機械式駐車場は、限られた敷地に多くの車を停められる便利な設備ですが、その裏で多額の「維持費」がかかり続けていることをご存知でしょうか。
「車を停めている人が使用料を払っているから問題ない」と思われがちですが、実はマンション全体の修繕積立金を圧迫する大きな要因になり得ます。
この記事では、機械式駐車場の維持費の目安と、管理組合が知っておくべき会計の注意点、そして維持費の見直し(平面化の検討)を始めるべきサインについて解説します。
機械式駐車場にかかる「2つの維持費」
機械式駐車場を安全に動かし続けるためには、大きく分けて2種類の費用がかかります。
1. 日々の保守点検費(ランニングコスト)
機械を安全に動かすための定期点検や、オイル交換、消耗部品の交換にかかる費用です。
毎月必ず発生する固定費であり、1台あたり月額数千円程度かかります。
2. 将来の修繕・リニューアル費用(数十年に一度の大型コスト)
塗装の塗り直しや、劣化したパレットの交換、モーターや制御盤の修理などにかかる費用です。
さらに、設置から20〜25年が経過すると、数千万円規模の費用をかけて装置全体を新しくする「リニューアル(装置入替)工事」が必要になります。
国土交通省ガイドラインで見る修繕費の目安
では、将来の修繕のためにどれくらいのお金を積み立てておくべきなのでしょうか。
国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、機械式駐車場の種類ごとに、1台あたりの月額修繕工事費の目安が示されています。
- 2段昇降式(地上1段・地下1段): 6,450円/台・月
- 3段昇降式(地下2段を活用した3台構成): 5,840円/台・月
- 3段昇降横行式(上下左右に動くパズルタイプ): 7,210円/台・月
- 4段昇降横行式(地下2段+地上2段の4段構成): 6,235円/台・月
たとえば、20台分の「3段昇降横行式」の駐車場があるマンションの場合、1年間に必要な修繕積立金の目安は以下のようになります。
7,210円 × 20台 × 12ヶ月 = 約173万円
これに日々の保守点検費が加わるため、機械式駐車場の維持には莫大な費用がかかることがわかります。
駐車場使用料を「管理費」に使い切るリスク
機械式駐車場の維持費に関連して、多くの管理組合が陥りがちな落とし穴が「駐車場使用料の使い道」です。
皆様のマンションでは、駐車場契約者から毎月集めている「駐車場使用料」をどのように会計処理していますか?
実は、駐車場使用料を日々の「管理費」として使い切ってしまっているマンションは少なくありません。
これをしてしまうと、将来の機械式駐車場の修繕やリニューアルのための資金(修繕積立金)が圧倒的に不足してしまいます。
国土交通省の「マンション標準管理規約」では、駐車場使用料は日々の管理に要する費用(保守点検費など)に充てた後、残額を修繕積立金として積み立てることが推奨されています。
可能であれば、駐車場単体の収支(黒字か赤字か)を明確にするために、管理費や修繕積立金とは別に、駐車場専用の別会計を設ける「区分経理」を導入するのが理想的です。
維持費の見直し(平面化)を検討すべき3つのサイン
もし、ご自身のマンションで以下の3つのサインのいずれかが見られる場合は、これ以上無駄な維持費を払い続ける前に、機械式駐車場の「解体・平面化」を検討するタイミングかもしれません。
1. 駐車場の空き区画が増えている(稼働率の低下)
車の大型化などに伴い、サイズ制限に引っかかって車が入らず、空き区画が増えているマンションが急増しています。
空き区画が多い状態で放置すると、駐車場は「赤字」を生み出す設備になってしまいます。
(※空き区画問題の背景については、空きが埋まらない本当の理由。「車離れ」ではなく「サイズと現代ニーズのミスマッチ」をご参照ください。)
2. 駐車場使用料だけでは維持費を賄えていない
近隣の相場に合わせて駐車場使用料を安く設定している場合、月々の使用料だけでは保守点検費や将来の修繕費を賄いきれない(赤字状態になっている)ことがあります。
3. メーカーから「部品供給終了」の通知が来た
設置から15〜20年以上が経過すると、メーカーから「古くなったため部品の供給を終了します」という通知が届くことがあります。
これは実質的な寿命のサインであり、次の手を打つべき明確なタイミングです。
(※通知が来た際の対処法は、メーカーからの「部品供給終了」通知は寿命のサイン?取るべき3つの選択肢で解説しています。)
こうしたサインが見られたら、多額の費用をかけて装置を入れ替える前に、機械式駐車場を解体して「平面化」するという選択肢を検討してみてください。
平面化すれば、日々の保守点検費や数千万円のリニューアル費用が不要になり、管理組合の財政を大きく改善させることができます。
(※平面化の工法には、地下ピット式の平面化「4つの工法」比較表と選び方の基本で整理した4つの選択肢があります。)
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装置の入れ替え(更新)には数百万〜数千万円の費用がかかります。
空き区画が増えているのであれば、初期費用だけで判断せず、平面化を含めた「30年間のトータルコスト」で比較することが重要です。
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