機械式駐車場の解体・平面化工事において、理事会が絶対に後回しにしてはいけない課題があります。
それは「工事後の駐車区画の再抽選ルールの整理」です。
平面化によって駐車可能台数が減る場合、再抽選ルールの整理を後回しにすると、総会で反対意見が噴出し、議案が否決されるリスクが高まります。
この記事では、トラブルを防ぐための再抽選ルールの決め方と、合意形成のポイントを解説します。
(※合意形成の全体プロセスは、平面化を理事会で検討する進め方。合意形成から総会決議までのステップで解説しています。)
台数が減る平面化特有の「陣取り問題」
機械式駐車場を平面化すると、これまで立体的に停められていた台数が平置きになるため、駐車可能台数は減少するのが一般的です。
「台数が減るなら、今停めている自分はどうなるのか?」「使いやすい区画は誰が使えるのか?」──現在駐車場を利用している住民にとって、これは切実な問題です。
この不安を解消しないまま「まずは工事だけ承認してください」と提案しても、「自分の駐車場がなくなるかもしれない」という不安から、反対票が投じられてしまうのは当然の心理です。
(※そもそも駐車台数を減らせるかは条例上の附置義務にも関わります。詳しくは平面化の壁「駐車場附置義務」は緩和できる!自治体への相談と手続きをご参照ください。)
再抽選ルールを決める3つのステップ
公平で納得感のあるルールを作るためには、以下のステップで進めてください。
ステップ1:必要台数と提供可能台数の把握
まずは住民アンケートなどを通じて、現在駐車場を使っている人のうち、「平面化後も引き続きマンション内の駐車場を使いたい人」が何人いるかを正確に把握します。
また、サイズ制限で従来の機械式駐車場を諦めて外部の月極を借りていた人が「平面化後は戻りたい」と希望するケースも少なくありません。
現契約者だけでなく、潜在的な希望者も含めた「真の必要台数」を把握しないと、後で揉める原因になります。
ステップ2:優先順位の基本方針を決める
希望者が平面化後の区画数を上回る場合、誰を優先するかの方針を決めます。
- 現在の利用者を優先する案:
既存の既得権に配慮し、現在契約している人の中だけで再抽選を行う方法です。 - 全住民を対象にゼロベースで抽選する案:
過去にサイズ制限で停められず外部を借りていた人も含め、完全に公平に抽選をやり直す方法です。
どちらが「正解」ということはなく、マンションの規模や住民構成によって最適解は異なります。
理事会だけで決めずに、説明会で両案のメリット・デメリットを示した上で、住民の意見を踏まえて方針を固めるのが安全です。
ステップ3:外れた人への代替案を用意する
抽選から漏れた人が発生する場合、近隣の月極駐車場の相場や空き状況を理事会でリストアップして案内するなど、生活への影響を和らげるフォロー策を準備しておくことが重要です。
「外れたら自分で探してください」では住民の不満が爆発するため、理事会が候補リストを提示するだけでも印象は大きく変わります。
なお、工事期間中の代替駐車場の手配と予算化については、忘れがち!工事中の「代替駐車場」手配と費用予算化の重要性もあわせてご覧ください。
料金の「格差」も同時に設計する
再抽選と同時に導入したいのが、「区画ごとの料金格差」です。
平面化された後でも、出入り口に近い便利な区画と、奥まっていて停めにくい区画が存在します。
一律料金で抽選すると不満が高まりますが、「便利な区画は高く、不便な区画は安く」設定することで、納得感のある再分配が可能になります。
具体的な料金差の設定は、近隣の月極駐車場相場との比較や、現状の使用料収入とのバランスを見ながら、無理のない範囲で段階的に決めていくのがおすすめです。
【無料ダウンロード】理事会・総会の説明資料にも使えます
再抽選ルールの整備と並行して、住民に「なぜこの工法で平面化するのか」を論理的に説明する準備も必要です。
当窓口では、4つの平面化工法の特徴を比較表で整理し、「なぜこの工法がうちのマンションに合うのか」を明確に示せるガイドブックを無料でプレゼントしています。
総会での配布資料や、住民への説明の根拠としてそのままご活用いただけます。
冊子『平面化工法の選び方』を無料でダウンロードする
