機械式駐車場の最大のデメリットである「厳しい車両制限(車高・車幅・重量)」。
平面化工事を行えば、高さの制限がなくなり、流行りのハイルーフ車や大型SUVも自由に停められるようになると期待する管理組合は多いでしょう。
しかし、「平面化すればどんな車でも無条件で停められる」と思い込むのは危険です。
選ぶ工法や現地の形状によっては、工事後も目に見えない「制限」が残る場合があります。
この記事では、平面化後に注意すべき車両制限の落とし穴について解説します。
鋼製平面化工法に残る「重量制限」
屋内・屋外どちらも対応。「鋼製平面化工法」の仕組みとメリットの記事で解説した通り、この工法は地下ピットの上に鉄骨と鋼板で「人工的な床」を造るものです。
そのため、地面に直接停める埋め戻し工法とは異なり、鋼製の床板には設計上の耐荷重制限があります。
標準仕様で2.5t、強化仕様で3t程度が一般的です。
近年の大型SUVや、重いバッテリーを積んだEV(電気自動車)の中には、車両総重量がこの制限に近い車種が存在します。
管理規約で駐車できる車両の重量制限をしっかりと定めておかなければ、将来的に床板が歪むなどのトラブルにつながります。
これから見積もりを取る場合は、将来のEV普及を見据えて「想定耐荷重が2.5tか3tかを確認する」ことを強くお勧めします。
(※耐荷重を左右する内部構造の確認ポイントは、鋼製平面化で確認すべき内部構造3点|耐荷重3t仕様とボルト接合を推奨する理由でも詳しく解説しています。)
見落としがちな「アプローチの高さ制限」
平面化工事をしても、駐車場そのものより先に、車が通る「アプローチ部分」に高さ制限が残ることがあります。
たとえば、マンション1階の柱と梁に挟まれたピロティ下の駐車場や、上階の住戸が張り出した「持ち出し構造」の駐車場では、入口の梁下や上階のスラブが物理的な天井として残ります。
平面化で機械装置がなくなっても、この建築躯体の高さは変えられません。
特に注意したいのは、駐車場の入口にあたる梁下の有効高さです。
古いマンションでは入口の梁下が1,900〜2,100mm程度しかないケースもあり、機械式時代の「車高1,550mm制限」が撤廃されても、この梁下高さを超える車両は入庫できません。
ルーフキャリアやルーフボックスを装着した車両の場合、車検証上の車高に積載分が加わるため、さらに余裕を見ておく必要があります。
平面化を検討する段階で、駐車区画の上空だけでなく、車が出入りする経路の有効高さを実測しておくことが重要です。
平面化で「車幅は広がるが、ドア開閉スペースは設計次第」
機械式駐車場の車幅制限は、左右のフレーム(ガイドレール)に挟まれた狭いパレット幅で決まっていました。
平面化でこのフレームを撤去すれば、車を停められる最大幅は確実に広がります。
車幅1,850mmや1,900mmといった大型SUVが入庫可能になることは、平面化の大きなメリットです。
ただし注意したいのは、「区画線の引き方次第で、ドアの開閉スペースが十分に取れるかが変わる」という点です。
たとえば旧パレット3台分の幅を、そのまま3区画として均等に割り直すと、車1台あたりの幅は広がるものの、隣の車との間隔(ドア開閉用クリアランス)が窮屈になることがあります。
高齢の住民やお子さん連れの世帯にとっては、「停められる」と「乗り降りしやすい」は別問題です。
場合によっては、「3区画を2区画に減らして1台あたりの幅をしっかり取る」「両端の壁際の区画は車幅制限を別途設ける」といった割り付けの工夫が必要です。
業者から提示された区画割り図面を見て、「車幅1,800mmの車が並んだときに、運転席ドアが乗降に支障のない角度(おおむね60度程度)まで開けられるか」を必ずシミュレーションしてください。
埋め戻し工法なら制限はなくなるが…
一方、ピットに砕石を敷き詰める屋外ピットに最適な「埋め戻し工法」の仕組みと注意すべきリスクであれば、こうした人工床の重量制限の心配はなくなります。
しかし、埋め戻し工法は屋外限定であり、排水の問題や地盤への影響など別の制約が存在します。
また、屋外であってもアプローチの高さ制限や区画の割り付けの工夫は建物構造・敷地形状に起因するため、工法を変えても解消されない点には注意が必要です。
(※どの工法が自分のマンションに合うかは、平面化工法の判断フローチャート|屋外・屋内・予算・再設置から選ぶ最適解で1分でチェックできます。)
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