機械式駐車場(地下ピット式)を撤去し、平面駐車場に変えようと決めた管理組合が次に直面するのが、「どの工法で工事を行うか」という問題です。
「よくわからないから管理会社の言う通りにしよう」と安易に決めてしまうと、マンションの環境に合わない工法を選んでしまい、後から建物の構造に悪影響が出たり、無駄な補修費がかかったりするリスクがあります。
ここでは、代表的な4つの平面化工法の仕組みと、それぞれのメリット・デメリットを比較します。
1. 鋼製平面化工法(最もポピュラーな工法)
地下のピット(穴)空間はそのまま残し、ピットの中に鉄骨の柱と梁を組み上げ、その上に鋼製(鉄製)の床板を敷き詰めて平面駐車場を作る工法です。
現在、最も多く採用されています。
(※詳しくは屋内・屋外どちらも対応。「鋼製平面化工法」の仕組みとメリットで解説しています。)
- メリット:
屋外・屋内のどちらでも施工可能です。工期が比較的短く、床板を外せば元のピット空間が現れるため、将来「やっぱりまた機械式駐車場を設置したい」となった際にも対応しやすい(可逆性がある)のが特徴です。 - デメリット:
鉄製の床であるため、長期的にはサビを防ぐための定期的な塗装メンテナンスが必要です。また、業者によって使用する鋼板の品質(めっきの種類など)に大きな差があるため、業者選びが重要になります。
2. 埋め戻し工法(コストを抑えたい屋外向け)
地下ピットの中に砕石(石や土砂)を大量に投入して穴を完全に埋め尽くし、その上をアスファルトやコンクリートで舗装する工法です。
(※詳しくは屋外ピットに最適な「埋め戻し工法」の仕組みと注意すべきリスクで解説しています。)
- メリット:
構造がシンプルで初期費用が安く済みます。一度埋めてしまえば、鋼製平面化のような鉄部の塗装メンテナンスも不要になり、トータルコストに優れます。 - デメリット:
大量の砕石の重さがかかるため、建物の基礎に影響を与える恐れがあり、「屋外の独立したピット」でしか採用できません(建物の中やピロティ下などの屋内ピットには不向きです)。また、将来機械式に戻すことは事実上不可能です。
3. EPS工法(建物の負担を軽くしたい屋内向け)
ピットの中に、土砂の代わりに超軽量な「EPS(発泡スチロールの巨大なブロック)」を隙間なく積み上げて空間を埋め、上部をコンクリート等で舗装する工法です。
(※詳しくは建物の負担を減らす「EPS工法」。メリットと水害リスクの注意点で解説しています。)
- メリット:
埋め戻し工法と比べて圧倒的に軽く、建物の構造体に余計な荷重(重さの負担)をかけません。そのため、埋め戻しができない「屋内ピット」に最適です。 - デメリット:
発泡スチロールは「水に浮く」性質があるため、雨水が流れ込むような屋外ピットや、地下水が湧き出るような場所では、ブロックが浮き上がって床が隆起する危険があり採用できません。
4. 平面化ロック(固定化)工法(すぐにお金が出せない場合の暫定策)
機械装置を解体・撤去せず、現在のパレット(車を乗せる台)を動かないように専用の金具や溶接でガッチリと固定し、地上1段目だけを平面駐車場として使う工法です。
(※詳しくはすぐに撤去できない場合の暫定策「平面化ロック(固定化)工法」とは?で解説しています。)
- メリット:
大掛かりな解体工事がないため、4つの工法の中で費用が最も安く、工期も数日で終わります。可動部をなくすことで、事故のリスクと点検費用の負担を大きく減らせます。 - デメリット:
あくまで既存の古い機械を固定しているだけなので、鉄部のサビや腐食は進み続けます。恒久的な解決策ではなく、本格的な平面化工事を行う予算が貯まるまでの「数年間の時間稼ぎ(暫定策)」として割り切って使う工法です。
工法選びの比較早見表
| 項目 | 鋼製平面化 | 埋め戻し | EPS工法 | 固定化(ロック) |
|---|---|---|---|---|
| 適用場所 | 屋外・屋内どちらもOK | 屋外のみ | 屋内のみ(水が浸入しない環境) | 条件次第 |
| 初期費用 | 中程度 | 安い | 高め(割高になりやすい) | 最安 |
| 工期 | 短い | やや長い(舗装の養生が必要) | やや長い | 最短 |
| 将来の再設置 | 比較的容易 | 困難(砕石を掘り出す必要あり) | 可能(ブロック撤去の手間あり) | 容易 |
| 位置づけ | 恒久的対策 | 恒久的対策 | 恒久的対策 | 暫定的対策 |
まずはご自身のマンションが「屋外か、屋内か」を確認し、この表を参考に検討を進めてみてください。
(※4つの工法から自マンションに合うものを絞り込みたい方は、平面化工法の判断フローチャート|屋外・屋内・予算・再設置から選ぶ最適解で1分で診断できます。)
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工法選びを間違えると、「費用をケチって屋内に土砂を埋めたら建物の基礎にヒビが入った」「雨水が入る場所にEPSを使って床が浮き上がった」といった取り返しのつかないトラブルにつながります。
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