「どうせ誰も使っていない空き区画ばかりだから、機械式駐車場の定期点検を止めてしまおう」
マンションの維持費削減のために、このような議論が理事会で出ることがあります。
実際に、保守点検の契約を解約して設備をそのまま放置しているマンションも存在します。
しかし、機械式駐車場の点検を止めて放置することは、住民の命に関わる重大な事故を引き起こす可能性があり、極めて危険です。
この記事では、点検を停止するリスクと、すぐに撤去費用が用意できない場合の安全対策について解説します。
機械は「動かさなくても」劣化する
「使っていなければ壊れないだろう」というのは大きな誤解です。
機械式駐車場は屋外や地下ピットといった過酷な環境に設置されているため、稼働させていなくても湿気や雨水によって急速に劣化が進みます。
特に危険なのは以下のポイントです。
1. ワイヤーやチェーンの腐食による「落下リスク」
車を載せる重いパレット(鉄板)を吊り上げているチェーンやワイヤーは、定期的な注油(グリスアップ)がなければすぐに錆びてしまいます。
錆が進行して強度が落ちると、ある日突然チェーンが切れ、パレットが落下する大事故につながります。
2. 転落・挟まれ事故のリスク
使用停止中の機械式駐車場は、子どもにとっては格好の遊び場に見えてしまいます。
パレットと壁の間の隙間や、腐食で脆くなった点検用マンホールの蓋から、深さ数メートルの地下ピットに転落する危険があります。
3. 排水ポンプの故障による「水没リスク」
地下ピット式の駐車場では、雨水などを排出する「排水ポンプ」が設置されています。
点検を止めると、このポンプが故障していることに気づけません。
大雨の日にピット内が冠水し、他の区画に停めている車まで水没させてしまう恐れがあります。
また、溜まった水が腐敗して悪臭や害虫を発生させ、衛生環境も悪化します。
(※排水ポンプの重要性については平面化後も必要?地下ピットの「排水ポンプ」の点検と水害対策もご覧ください。)
放置による事故は「管理組合の責任」に
万が一、点検を停止している期間に重大な事故が起きたらどうなるでしょうか。
機械式駐車場にはエレベーターのような法定点検の義務はありませんが、建築基準法では所有者・管理者に「常時適法な状態に維持するよう努める義務」が定められています。
点検を停止し、危険を知りながら放置していたとみなされれば、管理組合の責任問題(損害賠償責任など)に発展する可能性が非常に高くなります。
撤去できない場合の暫定策「平面化ロック(固定化)工法」
「点検を続けなければいけないのは分かったが、撤去や平面化の費用(数千万規模)がすぐには出せない」という管理組合も多いでしょう。
そのような場合に、低コストで安全を確保する手段として注目されているのが「平面化ロック工法(固定化工法)」です。
これは、使っていない機械式駐車場の可動部(パレット)を溶接や専用金具で物理的にガッチリと固定し、動かないようにしてしまう工事です。
パレットを固定してしまえば落下の危険がなくなり、複雑な機械の点検も不要になるため、維持費を大きく削減しつつ安全を確保できます。
費用も本格的な平面化工事の数分の一で済むため、「今後の本格的な方針が決まるまでの数年間のつなぎ」として非常に有効な選択肢です。
(※固定化の費用やコスト削減効果については、すぐに撤去できない場合の暫定策「平面化ロック(固定化)工法」とは?で詳しく解説しています。)
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使っていない機械式駐車場を放置するのは危険です。
まずは安全を確保し、維持費の流出を止めることが急務です。
「機械式駐車場の相談窓口」では、暫定的な安全対策である「固定化工法」をはじめ、本格的な「鋼製平面化」「埋め戻し」「EPS」の4つの工法の仕組みや費用の違いをまとめたガイドブックを無料で配布しています。
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