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管理会社主導の発注に潜むリスクと中間マージン


管理会社主導の発注には、物件を理解した相手と進められる安心感があります。ただし、施工会社の手配まで任せると、中間マージンで費用が膨らむことがあります。先に結論を示すと、管理会社が悪いという話ではありません。任せきりにせず、見積りの内訳と選定の経緯を組合が確認できるかが要点です。

管理会社主導とは、日頃の管理を委託している会社が、大規模修繕の取りまとめや施工会社の手配を担う進め方です。総会運営や住民説明の支援を受けやすい利点があります。

管理会社主導の利点

まず長所を整理します。一律に避けるべき方式ではありません。

  • 物件の修繕履歴や住民事情を把握した相手と進められます。
  • 総会の運営や住民への説明で、支援を受けやすい場合があります。
  • 日頃の窓口がそのまま使え、連絡の負担が軽くなります。
  • 緊急の不具合にも、既存の体制で対応してもらいやすいです。

これらの利点は実務上ありがたいものです。問題は利点ではなく、施工会社の手配を任せきったときの構造にあります。

中間マージンが生まれる仕組み

管理会社が施工会社を手配する場合、間に入る分の費用が上乗せされることがあります。これが中間マージンです。

管理会社が施工会社を選び、組合は管理会社経由で発注します。このとき、管理会社が施工会社から紹介の対価を受け取ったり、見積りに自社の取り分を上乗せしたりすると、組合が払う総額は膨らみます。

上乗せ自体がただちに違法というわけではありません。問題は、その分が見えにくく、組合が妥当性を判断できないまま支払う点にあります。情報が一方に偏ると、適正な金額かどうかが分からなくなります。

注意したいサイン

費用が不透明になりやすい状況には、いくつかの兆候があります。

  • 施工会社が1社しか提示されず、比較の見積りが出てこない。
  • 見積りが一式表記ばかりで、数量内訳や単価が示されない。
  • 施工会社の選定理由の説明が乏しい。
  • 相見積りを取りたいと伝えると、消極的な反応が返ってくる。
  • 工事項目が多めで、本当に必要かの説明が薄い。

これらは不正の証拠ではありません。ただ、確認を進める手がかりにはなります。

制度面の背景

発注の透明化は、行政も問題意識を持っている分野です。

国土交通省は、マンション大規模修繕の発注について実態調査や注意喚起を行っていると伝えられています。設計コンサルや手配側が施工会社からマージンを受け取り、高額・過剰な工事へ誘導しうる事例を挙げ、発注の透明化や相見積りでの適正な検討を促しているとされます。管理会社主導の場合も、考え方は共通します。

中間マージンの懸念は、特定の会社の問題ではなく、手配を任せきる構造から生まれます。だからこそ組合側のチェックが要ります。

組合が取れる対応策

費用が膨らむのを防ぐには、組合が主導権を一部持つことが役立ちます。

  • 施工会社は1社に絞らず、同じ条件で複数社から見積りを取る。
  • 見積りは一式でなく、数量内訳と単価の根拠を示してもらう。
  • 施工会社の選定理由と経緯を、書面で残してもらう。
  • 管理会社と施工会社の間に、資本関係や継続的な利益関係がないか確認する。
  • 必要に応じて、第三者の専門家にセカンドオピニオンを求める。
  • 修繕委員会を作り、見積りの検討と住民説明を組合側で担う。

これらの手順は管理会社を疑うためではなく、双方が納得できる発注にするためのものです。

まとめ

管理会社主導の発注は、物件を熟知した相手と進められる利点があります。一方で、施工会社の手配を任せきると、中間マージンで費用が膨らむことがあります。これは特定の会社の問題ではなく、手配を任せる構造から生まれる懸念です。組合は、相見積りや内訳の確認、選定経緯の記録、利害関係の確認といった手順で、費用の妥当性を見える状態にできます。管理会社を一律に避ける必要はありません。利点を生かしつつ、透明性を確保する進め方を組合が選ぶことが、適正な発注につながります。


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