第三者管理方式とは、区分所有者ではない外部の第三者が管理者になる管理の形です。実務では管理会社が管理者を務める例が中心になっています。理事のなり手不足を補える反面、発注者と受注者が同じになる利益相反のリスクを抱えます。仕組みと長所・短所を順に整理します。
第三者管理方式とは何か
第三者管理方式は、マンションの管理者を区分所有者以外の第三者に任せる方式です。ここでいう管理者とは、区分所有法上で管理組合を代表し業務を執行する立場を指します。
従来は理事会の理事長が管理者を兼ねるのが一般的でした。第三者管理方式では、その役割を外部の専門家や管理会社に委ねます。
第三者にあたる主な担い手は次のとおりです。
- 管理会社(最も多い形態)
- マンション管理士
- 弁護士や司法書士などの専門家
このうち実務で広く使われているのが、管理会社が管理者になる形です。この記事では、この管理会社型を中心に説明します。
国の呼び方と最近の位置づけ
第三者管理方式は、国の正式な用語では「外部管理者方式」と呼ばれます。そのうち管理会社が管理者になる型は「管理業者管理者方式」として区別されます。
国土交通省は2017年に「外部専門家の活用ガイドライン」を示していました。2024年6月の改訂では、管理会社が管理者になる方式が新たに対象に加えられました。それまで明確に整理されていなかった管理会社型に、国の指針が及ぶようになった形です。
この方式は実際に広がっています。国土交通省の調査では、管理者業務を受託する管理会社は2023年時点で167社あり、2020年と比べて約3割増えました。
背景には、理事のなり手不足や区分所有者の高齢化があります。理事会の運営を続けることが難しいマンションが増えています。
仕組みと決め方
第三者管理方式を導入するには、管理者を選ぶ手続きが必要です。区分所有法第25条では、管理者の選任と解任は集会、つまり総会の決議によると定められています。
導入までの大きな流れは次のとおりです。
- 理事会や検討の場で方式を比較する
- 必要な規約変更の内容を整理する
- 説明会などで区分所有者に説明する
- 総会で管理者の選任を決議する
管理者の業務範囲や任期、解任の条件は、管理者委託契約や規約で定めます。あいまいなまま導入すると、後から責任の所在が問題になります。契約条項の確認は、導入時の重要な確認事項です。
メリット
第三者管理方式の長所は、理事の負担を軽くできる点にあります。専門知識を持つ担い手が管理者になることで、運営の質も期待できます。
主なメリットは次のとおりです。
- 理事のなり手を確保しにくい組合でも運営を続けられる
- 管理者が専門知識を持ち、判断が速くなりやすい
- 区分所有者が日常の管理実務から解放される
- 法改正や制度変更への対応を任せやすい
高齢化が進むマンションや、所有者が遠方に住む投資型のマンションで導入が検討されています。
デメリットと利益相反のリスク
一方で短所もあります。最も注意すべきは、管理会社が管理者を兼ねるときの利益相反です。
管理会社が管理者になると、工事の発注者と受注側が同じ会社になる場合があります。修繕積立金の使い方を決める立場と、その支払いを受ける立場が重なるおそれもあります。この構図では、組合にとって最適でない判断が通りやすくなります。
利益相反の詳しい論点は別の記事で扱います。ここでは、第三者管理方式を選ぶなら監督とチェックの仕組みが必要になる、という点を押さえてください。
2024年6月のガイドライン改訂でも、利益相反への対策や監事による監督が方式の前提として整理されています。導入の検討では、チェックの仕組みをあわせて考えることが欠かせません。
そのほかのデメリットは次のとおりです。
- 管理者への報酬が別途かかり、費用が増えやすい
- 区分所有者の関与が薄くなり、運営が見えにくくなる
- 管理者の業務をチェックする体制を別に整える必要がある
- 管理者を解任したいときの手続きを事前に定めておく必要がある
費用がどの程度かかるかは型や契約によって異なります。報酬が発生する点を前提に、業務範囲と見合っているかを確認します。
メリットとデメリットの整理
ここまでの長所と短所を表にまとめます。
| 観点 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 理事の負担 | 大きく軽くなる | 関与が薄れ運営が見えにくい |
| 専門性 | 専門知識で判断が速い | 監督できる人材が組合内に育ちにくい |
| 費用 | 運営の手間が減る | 管理者報酬で費用が増える |
| 公正さ | 第三者の視点が入る | 管理会社型は利益相反のおそれ |
導入の判断は、メリットだけでなくチェック体制を組合が持てるかどうかで考えます。
まとめ
第三者管理方式は、区分所有者以外の第三者が管理者になる仕組みで、多くは管理会社が担います。国の用語では外部管理者方式と呼ばれ、管理会社型は管理業者管理者方式とされます。2024年6月のガイドライン改訂でこの型が対象に加わり、受託する管理会社も2023年に167社へと増えました。理事のなり手不足を補える長所がある一方、管理会社が管理者を兼ねると利益相反のおそれがあり、費用増や運営の見えにくさも生じます。導入するなら、管理者を監督しチェックする仕組みをあわせて整えることが、判断材料の中心になります。
