大規模修繕で設計監理方式を採るとき、設計コンサル(調査・仕様作成・施工会社の選定補助・工事監理を担う専門家)の中立性が、発注の適正さを左右します。コンサルが施工会社と利益でつながっていると、組合に不利益が生じることがあります。見極めの確認事項を先に押さえておくことが役立ちます。
設計監理方式そのものは、適正に運用すれば有効な仕組みです。専門家が組合側に立って仕様を整え、工事を監理します。問題になるのは中立性が崩れたときであり、方式自体を避ける話ではありません。
中立性が問われる背景
2026年6月の報道では、関東地方のマンション大規模修繕をめぐり、施工会社と設計コンサルあわせて計約40社の独占禁止法違反、つまり入札談合が認定される方針とされました。設計コンサルが受注調整に関与し、受注業者から受注額の数パーセント程度をマージンとして得ていた構図が指摘されています。
この件は設計監理方式で起きました。設計コンサルが組合側ではなく受注業者側の利益に傾くと、見積り合わせが形だけになります。だからこそ、コンサルを選ぶ段階で中立性を確かめる意味があります。
なお、この件は2026年6月の報道時点では公正取引委員会の方針を固めた段階で、正式な命令の発出前とされていました。社名も伏せられています。構造から学べる点を取り出すことが、組合にとって実用的です。
報酬の出どころを確認する
中立性を見るとき、最初に確認したいのは報酬の流れです。コンサルが組合からだけ報酬を受け取る形か、それとも施工会社からも何らかの利益を得る余地があるかを見ます。
確認したい点を挙げます。
- 報酬は組合との契約に基づくものだけか
- 施工会社からの紹介料やマージンを受け取らない取り決めがあるか
- 候補となる施工会社とのあいだに資本や役員の関係がないか
- 過去に特定の施工会社へ偏って発注していないか
報酬が施工会社側からも流れる構造があると、組合のための助言が崩れやすくなります。契約書や説明で出どころをはっきりさせることが大切です。
業務範囲と利益相反を切り分ける
コンサルの役割は、調査、仕様作成、施工会社の選定補助、工事監理に分かれます。これらを担う立場が、施工する会社と独立しているかを確かめます。
- 設計監理を担う立場と施工する立場が別の会社になっているか
- 選定の基準があらかじめ書面で示されているか
- 候補社の集め方をコンサル任せにせず組合も関与できるか
- 監理段階で施工会社をかばう動機がない体制か
選定をすべてコンサルに任せると、候補社の独立性が見えにくくなります。組合が経路を分けて候補を集めると、相互のつながりを抑えられます。
契約前に確認したい事項
契約を結ぶ前に、書面で次の点を確かめます。口頭の説明だけでなく、文書として残すことが後の確認に役立ちます。
- 業務の範囲と報酬の内訳が明記されているか
- 利益相反がないことの確認や表明があるか
- 見積り合わせや入札の進め方が透明な手順になっているか
- 組合が記録を確認・保管できる取り決めになっているか
一律に否定も信頼もしない
コンサルを入れると必ず談合になる、という見方は正しくありません。中立性が保たれたコンサルは、組合の知識不足を補い、適正な発注を支えます。
大切なのは、信頼できるかどうかを印象で決めず、報酬の出どころ・利害関係・手順の透明さという確認事項で見ることです。確認の結果として中立性が保てる相手を選べば、設計監理方式は組合の味方になります。判断は確認材料をそろえたうえで組合が行う形が望ましいといえます。
まとめ
設計監理方式では、コンサルの中立性が適正発注の鍵です。2026年6月の報道が示したように、コンサルが受注業者と利益でつながると組合に不利益が生じえます。報酬の出どころ、施工会社との利害関係、選定や監理の手順の透明さを書面で確認しましょう。方式やコンサルを一律に否定するのではなく、中立性を保てる相手かどうかを材料に基づいて見極めることが、割高発注を防ぐ近道になります。
